政府の原子力規制委員会が進める原発の安全審査で、最終的な結論を出す前に国民からの意見募集や公聴会などの実施が計画されている。 一部原発の審査作業が大詰めを迎えた中で突然「後出し」の新ルールを追加するのは問題だ。 原発再稼働に必要な安全審査は大幅に遅れている。予定になかったハードルが加われば、審査がさらに長引くことになる。規制委には再稼働を遅らせたい意図があるのではないかとの疑念すら持たれかねない。 規制委の役割は、科学的な知見に基づいて原発施設に関する安全性を高めることにある。規制委は、あくまで迅速で専門的な審査に徹すべきである。 田中俊一委員長は会見で「最終的な決定を出す前に、いろいろなご意見を聞くべきではないかと考えている」と話し、審査終了前にパブリックコメントの募集や公聴会を検討する考えを示した。方法によっては、審査そのものに影響を与えかねない。 福島第1原発事故を受け、過酷事故対策