眼前に広がる密林がすべてダムの底へ沈む…。ブラジル北東部パラ州、世界最大の河川アマゾン川の支流沿い。完成すれば発電量で世界3位となる「ベロモンテ水力発電所」の建設予定地へ日本のメディアとして初めて足を踏み入れた。 アマゾンの地方都市アルタミラから南へ赤土の道を車で2時間以上。濃い緑色をしたシングー川沿いにトタン家屋が点在する集落が現れた。ダムは完成すると高さ90メートル、幅3・5キロ。琵琶湖の面積の約8割の熱帯雨林516平方キロが水没し、この集落を含め先住民族ら1万6千人が立ち退きを迫られるとして、国内外から批判を浴びている。 総工費110億ドル(約8800億円)、総発電量はわが国の標準的な原発10基分に相当する1100万キロワット。中国の三峡ダム、ブラジルとパラグアイにまたがるイタイプ水力発電所に次ぐ規模であり、2015年の電力供給開始を目指し、ブラジル政府は6月1日、ダムの着工を認可し