曽野綾子さんが一昨日の1面コラム「小さな親切、大きなお世話」で、カトリックの修道院について書いておられた。かつては「自由がなく、この世の快楽や便利とはおよそ無縁の生き方を選ぶ場所」だった。それでもそこに暮らす人は「充実感をもって生きていた」という。 ▼ところが第2バチカン公会議以来「開かれた教会」が叫ばれてきた。その結果修道院も厳しい規則が取り除かれるようになり、個人の希望もかなえられる所が増えた。するとその頃から修道士や修道女を志願する人が減ってきたのだそうだ。 ▼目から鱗(うろこ)の思いがした。修道士も修道女も、俗世界の欲求を断ち神からの使命に従ったからこそ、高貴な生き方として尊敬を集めた。それが俗世界と変わらない生活をし、欲求も入れられるようになっては、もう憧れの対象ではなくなりつつあるらしい。 ▼現代の日本では自衛隊や警察、消防などがそれに近い存在といえる。修道院ほどではなくとも規
「警察はもう信用できない」と、遺族は怒りをぶつける。そう思うのも当然だ。 千葉県警習志野署員がストーカーの被害届を先送りし、親睦旅行に行っていた問題だ。警察当局は真摯(しんし)に事件を再検証し、信用を回復してほしい。国民の信頼なくして治安は維持できない。 昨年12月、長崎県西海市で2人の女性が殺害された。千葉、三重、長崎の3県警にストーカー被害の相談をしていた女性の、母親と祖母だった。 事件後、3県警は「重大事件に発展するという危機意識が不足していた」との検証結果をまとめ、遺族に謝罪した。しかし、習志野署員が被害届の受理を先延ばしにし、北海道旅行をしていた事実は伏せられていた。その後の調べでは、県警幹部らが組織的に隠蔽(いんぺい)を図った可能性も出ている。 娘へのストーカー被害を相談する父親に、習志野署の担当者は「刑事課が一人も空いていないので、1週間待ってほしい」と答えたという。2日後、
薄型テレビの販売が激減するなか、家電各社がインターネットに接続し、好みの番組や映画などを楽しめる「スマートテレビ」に活路を求めている。4月2日には民放5局などが、放映時間に関係なく、いつでも視聴できる「ビデオ・オン・デマンド(VOD)サービス」を開始。パナソニックが対応機種を売り出した。ソニーは独自配信の映画や音楽に対応した新製品を投入する。ただ、視聴可能なコンテンツはまだ少なく、次世代テレビの“本命”といわれるスマートテレビの普及には課題も多い。 「パソコンよりも操作が簡単。大画面の『スマートフォン(高機能携帯電話)』という感覚だ」 パナソニックの技術担当者は、今月から順次販売を始めた新製品に胸を張る。 新製品は、民放5局などが始める新サービス「もっとTV」に対応した業界初のモデルだ。番組の視聴中に専用ボタンを押すと、見逃した過去の放映や関連番組を有料で視聴できる。NHKも参加を検討して
日本の観光資源の目玉として期待されるアニメや漫画を集めたイベント「東京国際アニメフェア」(実行委員長・石原慎太郎東京都知事)が24日、東京・有明の東京ビッグサイトで一般向けに公開された。過激な性描写の漫画などの販売規制を強化し、昨年4月施行された「改正東京都青少年健全育成条例」に反対する出版社などは、31日から別のイベント「アニメコンテンツエキスポ」を開く。昨年は東日本大震災で双方とも中止され、今回が初めての分裂開催。両者とも歩み寄りの意思は見せるものの、来年以降の開催方式は未定だ。(今村義丈) 会場には、アニメ制作会社のディスプレーや、キャラクターグッズを販売するメーカーのブースが並ぶ。来場者はグッズを購入したり、コスプレ姿のスタッフと写真を撮ったりしながら歩く。 初日の入場者4割減 各ブースには人だかりができていたが「客数が思ったほどではない」「子供向けがちょっと多すぎるのでは」と、分
「消費税」混迷 結論出せぬ民主党へ募る不信(3月25日付・読売社説) 活発に議論するが、なかなか肝心の結論を出せない。 そんな民主党の未熟な政治文化が、改めて浮き彫りになった。 民主党の消費税率引き上げ関連法案の党内審査は、増税反対派の抵抗で紛糾が続き、法案了承を今週に持ち越した。 法案修正の焦点である景気弾力条項について、党執行部は「経済状況の好転」という増税の条件を法案に追加した。だが、反対派は納得せず、経済成長率の数値目標の明記を求め続けている。 数値目標の設定は事実上、増税阻止が目的である。執行部は、断じて応じてはならない。 再増税の時期については、当初の「2016年度」から1年遅らせた。さらに、「法制上の措置」から「法制上の」を削除し、再増税法案の提出も曖昧にした。 15年度に消費税率を10%に引き上げる見通しさえ立たない中で、再増税の時期などを明示する意味は乏しい。この条項の修
AIJ問題 厚年基金の財務改善が急務だ(3月25日付・読売社説) 巨額の年金資産を消失させたAIJ投資顧問について、証券取引等監視委員会が金融商品取引法違反の容疑で強制調査に着手した。 ハイリスクの投資を繰り返し、損失を膨らませながら、「安定的な収益が得られる」と偽って勧誘し、運用委託契約を結ばせた疑いが持たれている。集めた約1500億円の資金のうち1200億円を失ったという。 詐欺まがいの極めて悪質な行為である。刑事告発を視野に調査を進める監視委には、厳正な責任追及を求めたい。 AIJ問題では、顧客の大半を占める厚生年金基金の在り方が問われている。 厚年基金は自前の企業年金に加え、国に代わって公的年金の一部も運用し、退職者に支給する。かつては高利回りを確保できたが、近年は株安や低金利で運用益を得られず、年金の給付に必要な積立金が不足している基金が多い。 しかも9割の基金はいまだに運用目標
24日、野田佳彦首相が都内での講演で「環太平洋連携協定(TPP)はビートルズだ」と発言したことが、ビートルズの故郷イギリスで波紋を呼んでいる。同国ではマスコミ各局がこの首相発言を夕方のトップニュースで取り上げるなど、発言の真意をめぐって憶測が飛び交っている状況だ。 野田首相はこの日行われた講演会で、「日本はポール・マッカートニーだ。ポールのいないビートルズはあり得ない」と発言。さらに「米国はジョン・レノンだ。この2人がきちっとハーモニーしなければいけない」としてTPP交渉における日米両国の連携を強調した。 この発言が伝えられるとまもなく、「ビートルズと同様、TPPも日米のいさかいが原因で解散することを見越しているのか」など、日米同盟に対する首相の真意を探ろうとする意見が国内外で飛び交った。 特にビートルズを送り出したイギリスではテレビ各局が夕方のトップニュースとして首相の発言を紹介。独立放
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