日本有数の高級ホテルである「ホテルオークラ東京」本館の建て替えが間近に迫っている。8月末に閉館し、9月から建て替え工事を開始、東京五輪直前の2019年春に新装オープンとなる予定だ。 オークラ東京は、日本モダニズム建築の傑作と言われており、特に海外から高い評価を受けている。閉館の知らせを受け、海外の著名人らが存続を求める声を上げるなど大きな反響を呼んだ。 日本は建築物を長期間利用せず取り壊してしまうことが多い。こうしたケースでは、経済的利益と文化的価値という対立軸で議論されることが多いのだが、それは物事の一面を見ているに過ぎない。付加価値をどこに見出すのかで、経済合理性に対する考え方も変わってくる。 現実問題として、オークラが閉館を断念するという選択肢が残っていないことは明らかだが、一連の出来事は、成熟国家日本における付加価値のあり方に関して、多くのことを問いかけている。