オバマ米政権は環太平洋連携協定(TPP)の議会承認取得を断念した。ホワイトハウス高官が十一日、表明した。来年一月に就任するトランプ次期大統領はTPPからの脱退を明言しており、現状での協定発効は絶望的になった。安倍政権が、参院で審議中のTPP承認案と関連法案の採決を急ぐ理由はなくなった。 アデエモ米大統領副補佐官(国家安全保障・経済担当)は電話記者会見で、TPPの取り扱いは「議会と次期大統領が協議することになる」と述べた。同席したローズ副補佐官も「国内の政治情勢は理解している」と議会承認は難しいとの考えをにじませた。 オバマ大統領はTPPを政治的遺産(レガシー)にしたい考えだったが、米上院の過半数を制した共和党の重鎮が来年一月までの議会で承認する可能性を否定。オバマ氏は在任中の承認を諦めざるを得なくなった。トランプ氏が翻意しなければ、現在の協定が発効する可能性はなくなる。