地道な捜査で容疑者に行き着いた警察の労は多としたいが、サイバー犯罪に弱い社会の重大な課題は残されたままだ。 遠隔操作ウイルス事件で警視庁などの合同捜査本部は、威力業務妨害容疑で、東京都内在住の男を逮捕した。 男は自己顕示欲のせいか、証拠に直結する記録媒体を江の島のネコの首輪に仕込んだ。その映像が防犯カメラに残され、逮捕につながった。 現実空間に身をさらした敵失を逃さなかった捜査といえる一方、容疑者がネット空間に潜み続けていれば、逮捕に至らなかったことになる。犯罪者が安穏とできる場所がある社会は、正常とはいえない。時代の変化が生んだ新たな犯罪に対応するための態勢づくりと法の整備は喫緊の課題だ。 事件は、パソコンの遠隔操作を通じて爆破や無差別殺人の犯行予告などが送信され、パソコンの持ち主4人が誤認逮捕された。 「真犯人」を名乗る犯行声明は「(警察に)醜態をさらさせてやりたかった」と動機を記した
パソコン遠隔操作事件で逮捕され、自宅マンションから連行される片山祐輔容疑者=10日午前8時36分、東京都江東区 誤認逮捕が相次いだパソコン遠隔操作事件。「真犯人」を名乗る男に振り回され、謝罪に追われた各地の警察幹部らは10日、容疑者の逮捕に複雑な表情を浮かべた。 横浜市のホームページに小学校への襲撃予告が書き込まれた事件で少年を誤って逮捕した神奈川県警。サイバー犯罪を担当する幹部は「警察がだらしないと言われてもしょうがない」と自戒する一方で「罪のない人の貴重な時間を奪った犯人は悪質だ」と憤った。 大阪市に殺人予告のメールを送ったとしてアニメ演出家の男性を業務妨害罪で起訴、その後取り消した検察の幹部は「真犯人のいることが明らかになった時からずっと望んでいた結果だ」と胸をなで下ろした。 失態を踏まえ、慎重な姿勢を崩さないのは三重県警の幹部。伊勢神宮を破壊するとネット掲示板に書き込んだとして津市
横浜市のホームページに小学校襲撃予告を書き込んだとして逮捕され、保護観察処分を受けた男子大学生(19)が、神奈川県警の再聴取に対し「やっていない」と事件への関与をあらためて否定していることが18日、県警への取材で分かった。 大学生は逮捕当初、容疑を否認していたことから、県警はパソコン遠隔操作事件に巻き込まれた可能性もあるとして、横浜地検と協議しながら捜査経緯などを調べる。県警によると、捜査員が17日夜、大学生の自宅を訪れ、約1時間にわたり話を聴いた。 大学生は7月1日に威力業務妨害容疑で逮捕された時には「やっていません。不当逮捕だ」と供述。送検後の地検の調べに一転して「小学生を脅そうと思った」と容疑を認めたという。「真犯人」を名乗る人物から弁護士などに届いたメールに、この事件についての手口も説明されていた。
東京都渋谷区で平成9年、東京電力の女性社員が殺害され現金を奪われた事件で、強盗殺人罪に問われたネパール国籍の受刑者に対する無期懲役の確定判決の根拠が揺らいでいる。 受刑者の再審請求審で東京高検が行ったDNA鑑定の結果、被害者の体内から検出された体液のDNA型が、現場に残された受刑者以外の男性の体毛と一致した。被害者が第三者と現場の部屋に行ったことは「考えがたい」とした2審有罪の論拠に疑問が生じたことになる。 大阪地検特捜部による郵便不正事件と押収資料改竄(かいざん)・犯人隠避事件を検証した最高検は、「検察再生」のキーワードに「引き返す勇気」をあげた。判決に影響を与え得る鑑定結果が出た以上、改めて審理を尽くすべきではないか。 受刑者は、捜査段階から一貫して犯行を否認していた。現場には受刑者の体液、体毛が残されており、DNA型も一致していた。 1審は第三者が犯人である可能性を指摘し、無罪とした
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く