政府が夏の電力需給対策を決定したことで、企業は厳しい節電対策が求められる。自家発電の増強や製品の作りだめ、電力に余裕のある工場への生産移管など対策を練っている。だが、猛暑になれば電力不足は深刻化。発電施設の増設などによるコスト負担に伴う業績への影響に不安が広がっている。 ■工場で融通 製紙大手の日本製紙グループ本社は、発電設備に余裕のある九州の工場から関西の4工場に供給する。15%の節電目標が設定された関西電力管内の工場には自家発電設備がないからだ。 九州の八代工場(熊本県)にはバイオマスや石炭火力など複数の自家発電設備を備え、最大発電量は14万キロワット以上。関西電力管内での節電で不足するとみられる2400キロワットの電力を融通して4工場の生産を維持する。 昨年の電力不足の経験から、自家発電設備の増設に取り組んだ企業は少なくない。移動式の発電機を導入しているのはアサヒビール。移動式発電機