多くの業界で市場が成熟段階に達し、新たな成長源を探している中で、新規事業やイノベーションを牽引するリーダーが以前にもまして熱望されている。こうした傾向は、最近のDIAMONDハーバード・ビジネス・レビューが、頻繁にリーダーシップの特集を組んでいることからも見て取れる(だいたい2〜3か月に1回はリーダーシップの特集。残りはマーケティングと戦略論が多い)。ただ、リーダーシップの研究に関しては、経営学よりも政治学の方がずっと先行している。そこで、政治学ではリーダーシップがどのように語られているのかを知りたくて、この本にたどり着いた。 ジョセフ・ナイはアメリカの政治学者であり、本書のタイトルにある「ソフト・パワー」という概念を広めたことで知られる。ナイは『ソフト・パワー』に続いて、『リーダー・パワー』、『スマート・パワー』と立て続けに著書を出しているので、3冊連続でレビューしてみようと思う。 ナイ