本論では、性と人格が結びついているという主張、および、セックスワークは自身の「性的自己決定権」や「性的人格権」を侵害する行為であるため社会的に許容するべきではないとする主張をとりあげ検討する。まず「人格」という曖昧な言葉の分析を行ない、それがいくつかの違った意味を含んでいること、そして、personとしての「人格の尊重」は、自律や自己決定の尊重を含むことを主張する。次に、セックスワークが性的自由や自己決定権の放棄につながるとする見解は、「譲渡できない権利」という概念に含まれる「請求しないこと」と「放棄すること」とを混同した結果生じた支持できない見解であることを示す。最後に、自己決定や同意にもかかわらずある種の性的行為は危害をもたらす可能性があり、これが「性的人格権」を提唱する人々が危惧している点であると解釈することができることを示唆する。 In this paper I will exam