知的障害者が容疑者となった事件について、検察が起訴や求刑などの判断に福祉の専門家の意見を取り入れる試みが始まっている。専門家の助言に基づき検察側が異例の「執行猶予付き判決」を求めた事例も。知的障害者は受刑者の5分の1ほどだが、裁判で検事が外部の助言を受ける仕組みはこれまでなく、試みは全国に広がりそうだ。 試みは平成24年6月、長崎県でスタート。臨床心理士や社会福祉士らでつくる「障がい者審査委員会」に対し、検事が処分内容の検討を依頼。審査委員会は意見書を作成し、検察側が起訴・不起訴の判断や求刑の参考にする仕組みだ。 法務省によると、23年度の新たな受刑者2万5499人のうち、知的障害者は21%の5532人。起訴・不起訴を決める権限を一手に持つ検事が、処分の判断に外部の意見を入れるのは「従来は考えられなかった」(検察幹部)という。