原発の重大事故を想定した防災対策の国際基準を導入するため、内閣府原子力安全委員会が06年に国の原子力防災指針の見直しに着手した直後、経済産業省原子力安全・保安院が安全委事務局に対し「社会的混乱を引き起こす」などと導入を凍結するよう再三文書で要求していたことが分かった。結局、導入は見送られ昨年3月、東京電力福島第1原発事故が起きた。導入していれば周辺住民の避難指示が適切に出され、被ばく人口を大幅に減らせた可能性がある。【比嘉洋、岡田英】 安全委が15日、保安院からの文書や電子メールなど関連文書を公開した。 国の防災指針は79年の米スリーマイル島原発事故を受け、80年に策定された。しかし原子炉格納容器が壊れて放射性物質が大量に放出されるような重大事故は「我が国では極めて考えにくい」として想定しなかった。 02年、国際原子力機関(IAEA)が重大事故に対応する新たな防災対策として、住民の被ばくを