◇『異常な契約 TPPの仮面を剥ぐ』 (農文協・2730円) ◇社会的規制の撤廃がもたらす危機 反TPP(The Trans-Pacific Partnership Agreement=環太平洋経済連携(パートナーシップ)協定)の立場を露骨に示す邦題だが、実は原題を忠実に訳している。編著者はオークランド大学教授。TPPを立ち上げた4カ国のひとつであるニュージーランドと続いて参加した豪州から19名の法律家・エコノミストが寄稿して、2010年にオバマ政権主導で推進されるようになったこの協定につき様々な分野と視点から精緻に分析している。 日本では昨年末に菅前首相が「国を開く」というキャッチフレーズで関係国との協議開始を指示、大震災でいったん先送りしたものの、今また野田首相が農業再生策に絡めながら参加に熱意を示し始めた。 けれどもわが国での推進論には首を傾(かし)げたくなる。関税撤廃で貿易と投資を