放射能をめぐる社会混乱は、福島原発事故1年が経過し、ようやく沈静化の方向に向かいつつあります。この混乱がなぜ起こったのか。そして今後に日本に生きる個人と社会が巻き込まれないようにするにはどうすればよいのか。また差別や非合理的な行動で苦しむ人が出ないようにする適切な防護策はあるのか。こうした問題を省察する時期にきているのではないでしょうか。新しい視点から問題を考えるために、日本政治思想の研究者である石川公彌子さんに、寄稿をいただきました。 石川さんは「今の自分の地位や秩序を維持するべき」とか「子供を守らなければならない」という刷り込みに直面した母親たちの過剰反応が問題の背景の一つと指摘しています。軍国主義に社会が向かった1930年代に母親たちが直面した状況との類似性があるとも述べています。この興味深い意見を受け止めながら、私たち一人ひとりが放射能パニックの意味を考え、そして現代の日本人とその