論点『忍び寄る国民の危機 政治への監視怠るな』ジャーナリスト 堤 未果|日本農業新聞4月2日 かつてニュージーランドのジム・ポルジャー首相は、自国を訪問中の橋本龍太郎元首相に行政改革成功の秘訣を聞かれ、こう答えたという。 「国民が何が起きているか分からないでいるうちに、急速かつ強権的に改革を進めることだ」 個人情報を統制 小選挙区制で占めた多数議席をたてに強硬な改革を進めたニュージーランドは、一国だけの話ではない。米国では9・11直後、究極の個人情報一元化法である「愛国者法」がそれと同じ状況を作り上げている。 「テロとの戦い」という緊急事態で国民の目が政治からそれている間に、いつの間にか大統領の権限が強化され、一元化された個人情報が思想チェックや経済徴兵制、悪質な住宅ローン勧誘などに利用された。国民がおかしいと気付いた時には、すでに社会のあらゆる場所が「監視国家」と化していたのだ。 だが私