評価:★★★★★ 哲学の分かりにくさには、大きく二つの種類があります。一つが、純粋に論理的な難しさ。特に強い論理性への志向を持つ現代の分析哲学などを学ぶと、論理学や数学と類似の難しさを感じます。 哲学のもう一つの難しさは、もう少し根が深く微妙なものです。それはしばしば「一体何がテーマなのか分からない」という困惑の形を取って現れます。実際、哲学を勉強してみようかな、と思って世評の高い哲学書を読んでみると、何の断りもなく細密な議論が始まって数ページでノックアウトされることが、よく起きます。典型的には、大学一年生がカントの『純粋理性批判』やハイデガーの『存在と時間』を読んで返り討ちにあう、というパターンです。 そういう場合は「自分とは波長が合わなかったな」と割り切って他の本を当たる、というのも現実的な対処の一つです。哲学にも色々な分野があるし、哲学者も星の数ほどいます。中には説明の上手い人もいれ