キャッサバの農園を延々と歩き、ついに私たちはナイジェリアの村Otuegweの近くにある原油流出現場の端に到着した。そこには沼地が広がっていた。私たちはカメラとノートを頭上にかかげ熱帯のぬるい水の中を進んでいった。沼が見えるはるか前から原油の臭いがしていた。給油所の悪臭と腐った植物のにおいが重く混ざり漂っていたのだ。 奥に行けば行くほど、吐き気が増してくる。まもなく私たちは軽質のナイジェリア原油の中を泳いでいた。この原油は世界で最高品質と言われるものだ。ニジェールデルタ地帯を縦横に走る数百本ものパイプラインは作られてから40年も経つものだが、そのうち1本が腐食し数ヶ月に渡って原油を垂れ流していたのである。 今では森も農園もすべてが虹色の油で覆われている。井戸は汚染され住民は途方に暮れるばかりだ。どのくらいの量が漏れ出したのかもわからない。 「網も小屋も魚籠も失った」とOtuegwe村長であり