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有楽町駅周辺は昭和の時代、関西系百貨店「そごう東京店」と「数寄屋橋阪急」が賑わいを見せていたが、再開発の波によりその姿は変わりつつある。今後も続く再開発において、過去の栄光を振り返りつつ、都市景観の進化とともに消えゆく百貨店の面影を探る。 再開発で消える昭和の記憶現在の読売会館、右側は有楽町駅。そごう閉店後は核店舗として「ビックカメラ有楽町店」が出店する。優しく弧を描く建物は間もなく築70年を迎えるオールドタイマーだが、近い将来再開発で消える予定。左側に写る新有楽町ビルも再開発のため解体中だ(画像:若杉優貴) 昭和の時代、国鉄有楽町駅のそばには、関西系の百貨店がふたつ営業していた。そのひとつが、有楽町駅の北側に1957(昭和32)年から2000(平成12)年まで存在した「そごう東京店」だ。通称「有楽町そごう」として知られていた。 もうひとつは、駅の南側に1956年から2012年まであった「
いすみ鉄道の長期運休は、脱線事故と経営危機が重なり、地域の鉄道事業に深刻な影響を及ぼしている。収益悪化と補助金依存が続く中、行政と地元企業がどのように支えるべきか、鉄道の将来を左右する難題が迫る。 千葉県の外房線、大原駅から上総中野駅を結ぶいすみ鉄道が長期にわたって運休している。運休の原因は、2024年10月に発生した脱線事故だ。この事故以降、運休が続いている。 2024年4月には、いすみ鉄道が「修繕工事や全線の安全点検を行うなど、まずは利用者の多い大原~大多喜間の復旧に向けて取り組んでおります」と発表したが、具体的な復旧予定は明らかになっていない。 脱線事故は2024年10月4日、国吉駅と上総中川駅の間で発生した。この事故では、車輪8軸のうち6軸が脱線した。幸い負傷者はなかったが、事故原因は経年劣化した木製枕木が疑われている。そのため、全線で運転が直ちに休止され、調査と復旧作業が続いてい
国産哨戒機P-1は、稼働率3割台・改修費4,000億円・改修期間10年の重荷を抱え、現場では旧型P-3Cの方が重宝される逆転現象も。信頼性なき国産開発の末路と、米製P-8A導入という現実的選択肢を検証する。 海上自衛隊は哨戒機(味方の艦隊や領空・領海を警戒・保護するための軍用機)更新を進めている。今まで使用していたプロペラ機P-3Cを、国産ジェット機P-1に置き換えようとしている。 しかし、P-1は信頼性や能力が不足している。そのため更新はうまくいっていない。海外派遣では従来のP-3Cを重宝するありさまである。 この問題はどのように対処すべきだろうか。 漫然と進めている改修による解決は不適当である。それよりも別機材への置き換え、今なら米国製P-8Aへの置き換えを図るべきである。
「もう新宿に用はない」 立川が今選ばれる理由! 「住みたい街ランキング」急上昇も、裏で迫る人口減! この人気は持続可能なのか 立川市は、中央線のハブとして高い利便性を誇る。都市機能も充実しているが、少子化や高齢化の進展により人口構造が変化している。北口再開発や南口の生活文化の融合が進む中、持続可能な都市設計が求められる。特に、子育て世代や高齢者への支援強化が今後の重要な課題となる。 東京西部の多摩地域(三多摩)の代表的な都市といえば、立川市が必ず挙げられる。近年、その注目度はますます高まっている。 リクルートの「SUUMO住みたい街ランキング2025 首都圏版」で、立川は15位にランクインした。2021年の25位から、わずか4年で10ランクも上昇したことになる。現在、立川市は首都圏のベッドタウンとして知られる流山おおたかの森(16位)よりも上位にあり、都心の中目黒(20位)、表参道(29位
「誰にも迷惑をかけない」が美徳とされる日本。その価値観が、移動困難層の孤立、インフラ設計の分断、現場の非効率を招いているのではないか。文化心理学調査と都市交通分析を通じて浮かび上がる、“共感欠如型社会”の経済的損失とは何か。 日本人はなぜ、困っている人を助けようとしないのか――。 都市の駅構内で、ベビーカーを押す母親が階段前で立ち尽くす光景。郊外のバス停で、重い荷物を抱えた高齢者が誰の手も借りずに乗り込もうとする姿。これらは見慣れた日常風景だ。多くの人はその脇を何もせずに通り過ぎる。そして、その無関心は批判されることなく、むしろ「その人の問題」として処理される。 一橋大学と名古屋大学の研究チームが発表した調査は、こうした光景にある構造を浮き彫りにする。日本人は、米国人に比べて他人への共感的な関心が低く、困っている人に対して 「それは本人の落ち度だ」 とみなす傾向が強い。助けを求めることも苦
「年1万5000円でごみ出しOK」――福井地裁の判決が、町内会非加入者とインフラ利用の新たな関係を可視化した。見えざる地域コストに市場価格がついた今、都市生活の“サブスク化”が現実味を帯び始めている。 ある日突然、当たり前のように使っていたごみ収集所が使えなくなったとしたら――。福井県で起きた、町内会を退会した男性が「ごみ収集所を使う権利」を裁判で訴え、勝ち取ったというニュースは、ひとつの“ご近所トラブル”を超え、都市生活の基礎構造そのものを揺さぶっている(『福井新聞』2025年4月17日付け記事)。 判決の要点はこうだ。裁判所は、退会者がごみ収集所(以下、ごみステーション)を使用するには 「年1万5000円」 の負担が適切であると認定した。利用拒否は認められないという判断である一方、無料ではない。これは単なる金銭の話にとどまらず、都市の基礎サービスを誰が、どのように維持し、支えるのかとい
八王子は「東京」を名乗っていいのか? マツコが「納得いかない」「23区感出すな」と語る理由! 移動のリアルから考える 「東京出身」の一言が、地価・通勤・都市ブランドの実態とねじれを浮かび上がらせる。人口58万人、新宿から特急で約40分の八王子市を起点に、「都市名 = 資産」の構図と、それを巡る移動と感情の不均衡に迫る。いま問われるのは、属する場所ではなく繋がる力のリアリズムだ。 東京都心で桜が開花する少し前の2025年3月17日、マツコ・デラックスのひとつの発言が静かな波紋を広げた。 「東京出身っていって、「八王子」としてじゃなくて「東京」として語るのが納得いかないわ~」 「八王子を馬鹿にしているわけではないのよ」 「東京の多摩地区問題ってあるわよ。地方に行ったときに、どさくさにまぐれて“23区感”出すじゃない。多摩の人って。東京から来ましたって」(以上『スポニチアネックス』2025年3月
「ただだから」の一言が突きつけた、移動の価値と地域の未来。65歳以上が3割を超える地方都市で起きた公共交通トラブルが、制度と現場、福祉と経済の断絶をあぶり出す。今こそ問われる、移動インフラの社会的意義。 熊本県の北西部に位置する荒尾市で起きた、産交バスのドライバーによる高齢障がい者への暴言トラブル。「ただ(=無料)だから乗っている」という一言が世間をざわつかせた。2025年4月13日、西日本新聞が報じた。 背景には、一個人の暴言だけで片づけられない、公共交通という社会インフラの本質的な機能と価値の再定義が求められている。 本稿では、単なる道徳の問題ではなく、移動というサービスが果たす役割と、その継続性を左右する見えざるバランスについて掘り下げる。 尊厳を支える移動権の本質「バス乗務員の不適切発言に関するお詫びとお知らせ」(画像:産交バス) 高齢者や障がい者に対する運賃の無料化施策は、日本各
なぜ日本は「EV戦争」に乗り遅れた? 中国「充電5分」「交換3分」という現実! BYDとNIOが仕掛ける次世代戦略、日本の課題とは EV失速の裏で脚光を浴びる「電池交換式」。中国NIOは3分交換・3000拠点を実現し、CATLと世界最大規模の網を構築中。一方、日本は実証段階にとどまり、普及は商用車が中心。30秒交換の小型モビリティなども登場する中、EVインフラ戦略の優劣が国際競争力を左右し始めている。 電気自動車(EV)は世界的に急速に普及した反動で、近年は需要が減少している。一方で、ハイブリッド車(HV)のシェアは増加傾向にある。ただし、EVの技術進歩が止まったわけではない。そのなかでも次世代EVにおいて重要な技術のひとつとして注目されているのが「バッテリー交換式EV」である。 EVは車載の大型バッテリーに電力を蓄え、その電力で走行する。だが多くのEVではバッテリーの充電に時間がかかる。
「世界で一番嫌い」 マツコ・デラックスはなぜ「二子玉川」を拒絶するのか? 理想化された街に漂う“らしさ”の呪縛、再開発と多様性の葛藤を考える 都市の魅力は単なる利便性や快適さにとどまらず、文化的・階層的な要素が複雑に絡み合う。マツコ・デラックスの発言が示すように、街の「らしさ」が人々の移動欲求に与える影響は深い。都市の再開発が進む中で、独自の価値観を持つ場所への関心が高まっている。都市と人々の関係性を再考することが、未来の都市形成の鍵となる。 東京都心から郊外へ、あるいは下町から副都心へ。人々の移動には、単なる地理的な意味だけではなく、階層性、文化性、情緒性といった複雑な要素が絡み合う。 タレントのマツコ・デラックスが2015(平成27)年1月の「月曜から夜ふかし」(日本テレビ系)で語った 「二子玉(にこたま。二子玉川の意味。東京都世田谷区の地区)ってほんと世界で一番キライかもしれない街な
長崎新幹線「有明海ルート」の提案は、佐賀県の反対を回避し、福岡県とのアクセス改善を目指す新たな道を開く。しかし、建設費用や技術的課題など解決すべき問題も山積している。 新幹線のルートがなかなか決まらない。この問題は、最近話題になっている北陸新幹線ばかりが注目されているが、西九州新幹線の存在も忘れてはならない。 福岡都市圏に近い佐賀県が、フル規格での整備に原則反対している。そのため、国は妥協点を探るべく、当初案の佐賀駅ルートのほか、佐賀市北部をかすめるルートや佐賀空港を通るルートなどを示し、佐賀県と協議を続けている。しかし、いまだに合意には至っていない。長崎~武雄温泉間の部分開業から、すでに2年が経過した。 現在示されているルートのなかでも、特に佐賀空港を経由する案は大きく遠回りになる。そのため、福岡県内からは「筑後船小屋を通せ」という声や、「久留米を通すべきだ」という声が上がっており、誘致
「不正が許せない」 ついに中央線グリーン車で“赤ランプ狩り”発生? SNSで広がる困惑の声、もはや「グリーン車警察」か? 自力救済が可視化する制度設計の限界とは 2025年3月、JR中央線のグリーン車に導入された新制度が、SNSで「グリーン車警察」の出現を招いた。善意の第三者による“私的検札”は、制度の設計ミスが引き起こした副産物に過ぎない。赤ランプ問題を根本から解消するには、誤解の余地をなくした「間違えようがない」設計が求められる。 2025年4月、SNSである種の異変が可視化された。X(旧ツイッター)のまとめメディア「トゥギャッター」には、「中央線グリーン車内で、赤ランプの席にいる客に「不正乗車してますね」と声をかける人が出没してる」というタイトルでさまざまな報告が集められた。 それは、鉄道業務を委託されたわけでもなければ、制服も社員証も持たない民間人による“私的検札”の出現である。公
「赤ランプのまま座ってる」 中央線グリーン車「無賃乗車」トラブル! 罰則強化では根本解決にならないワケ 利用者心理と制度設計の摩擦を考える 2025年3月15日、JR中央線快速および青梅線にグリーン車が導入され、快適性向上を目指す一方で、「無賃グリーン乗車」の問題が浮上。利用者心理と制度設計のズレが、制度への信頼を揺るがしている。罰則強化だけでは根本解決にはならず、柔軟な制度設計が求められる今、快適な移動空間の未来をどう築くべきか、議論が進んでいる。 2025年3月15日、JR中央線快速および青梅線にグリーン車の営業サービスが始まった。通勤通学の混雑緩和や快適性の向上が狙いとされ、多くの利用者から歓迎の声が上がっている。 一方、SNS上ではある異変が静かに広がっていた。 「また赤ランプのまま座ってる人がいる」 「アテンダントが来るまで払わない感じ、何なんだ」 といった報告が相次ぎ、無賃グリ
日本に「戦車」は本当に必須なのか? 防衛省も認める削減方針に、なぜか「軍事オタク」が猛反発するワケ 海空優先vs感情論の衝突を考える 日本の戦車保有数は減少の一途をたどる。島国である日本にとって、戦車は死活的戦力ではないからだ。だが、一部の軍事オタクは「戦車不要論」への反発を繰り返す。彼らは抽象的思考を苦手とし、防衛政策全体の視点を欠いている。現実には、日本の安全保障力100パワーのうち、戦車の価値は0.1にも満たない。なぜ彼らは通用しない理屈を振りかざすのか――その背景を徹底検証する。 日本にとって戦車は必須ではない。島国では死活的価値をもつ戦力ではない。政府や防衛省もそのように考えている。だから戦車保有数の削減を進めている。 しかし、軍事オタクは 「それは『戦車不要論』だ」 と口角泡を飛ばして反発する。その内容は誤謬(ごびゅう。論理的な誤り)だらけであり現実では通用しない。それにも関わ
山陰新幹線、ついに現実路線へ? 中速鉄道の夜明け! 新大阪~舞鶴1時間短縮、在来線活用と新線建設のハイブリッド、この鉄道でなぜ地域は活性化するのか? 地方の活性化とコスト削減を狙う中速鉄道の導入が、いよいよ現実味を帯びてきた。航空機や自家用車からのモーダルシフトを促進し、180km/hで運行される新線は、都市圏の通勤圏拡大に寄与し、インバウンド需要にも対応。新幹線の代替として、地域経済の発展を加速する可能性を秘めている。 海外では中速鉄道(通常の在来線と新幹線の間の速度帯で運行される鉄道)が当たり前に存在しているが、日本でもようやく注目され始めた。2025年2月26日の衆議院予算委員会の集中審議で、石破茂総理が福島伸享衆議院議員(有志の会)の質問に答えた。質問は、中速鉄道に対する政府の姿勢に関するものだった。 石破総理は次のように答弁した。 「仮にフル規格の新幹線があと30年くらいで全国に
EV革命? 「BYD」遂にゲームチェンジャーに? 5分充電で400km走行可能、テスラ超え、VW超え、トヨタも戦々恐々? 覇権争奪戦勃発か BYDは、2023年に427万台の販売を達成し、世界第6位に躍進。新技術「スーパーeプラットフォーム」で、充電時間を5分に短縮し、EV市場に革命を起こす可能性が高まった。この革新は、BYDがEV業界をリードするカギとなり、競争環境を一変させる。 中国の大手電気自動車(EV)メーカー、比亜迪(BYD)は、世界市場で大きな躍進を見せている。2023年の販売台数は427万台に達し、ホンダや日産を抜いて世界第6位となった。この結果、2023年に初めてトップ10入りを果たした2022年の302万台から大幅に増加した。今年の2月には新車販売が前年比164%増の32万台超となり、中国の新エネルギー車市場で首位を維持し、その地位をさらに強固なものにしている。 ブルーム
鉄道オタクはなぜ「経営者」気取りなのか? ネットが歪める鉄道愛の現在地! 穏健派オタクは大迷惑? その知識を社会の資産にする方法とは【連載】純粋鉄オタ性批判(1) インターネットが変えた鉄道オタクの生態系。時刻表から経営戦略まで、情報が溢れる現代で「疑似経営者」と化す彼ら。しかし、その熱量は時に「利用者不在」の暴走を招く。新幹線礼賛、地方鉄道切り捨て…データと理論武装した彼らに欠けた視点とは?鉄道オタクは敵か味方か?変革を迫られる鉄道業界、彼らの知識と情熱を「社会の資産」に変える処方箋を示す。 鉄道は、単なる移動手段ではない。そこには、技術、歴史、文化、そして人々の記憶が凝縮されている。しかし、近年、一部の鉄道オタクによる過激な行為や偏った言動が、この豊かな世界を歪めてはいないだろうか。本連載「純粋鉄オタ性批判」では、本来の鉄道趣味の姿を問い直し、知的好奇心と探究心に根ざした健全な楽しみ方
汐留vs大阪、汐留はなぜ「敗北」したのか? 国鉄跡地の再開発! 導線、組織…成功と失敗を分けた要因を考える 国鉄清算事業団が抱えた「負の遺産」、汐留と梅田の巨大貨物駅跡地。2000年代、両地区は再開発の旗印のもと華々しく変貌を遂げた。しかし、2024年現在、明暗が分かれている。うめきたは「グランフロント大阪」が年間数千万人が訪れる一大拠点に成長。対照的に、汐留はオフィス空洞化と商業施設撤退が深刻化し、「都心のガラガラ施設」の烙印を押された。日本初の鉄道ターミナルと西日本の鉄道貨物輸送を支えた汐留と梅田に、なぜこれほどの差がついたのか。都市開発の光と影を追う。 大赤字を抱えて、1987(昭和62)年に分割民営化された国鉄――。その資産の一部を引き継いだ清算事業団が所有した東京の汐留駅と大阪の梅田貨物駅は、一等地にもかかわらず長年開発が進まなかった。 しかし、2000年代になってようやく動き出
トヨタが2025年に新たなEVを欧州市場に投入すると発表し、国内でのEV批判が収束しつつある。日本車の信頼性と技術力に対する期待が高まる中、EV市場の今後に対する消費者の関心は二分され、選択肢の不足や技術面での懸念が購入意欲を左右している。 電気自動車(EV)市場には賛否が渦巻いている。一般的にEVは環境性能が高いとされるが、その評価はどの基準で測るかによって大きく変わる。「Tank to Wheel」、つまり駆動用バッテリーからホイールまでのエネルギー効率やCO2排出量の観点では、EVの環境性能は高く評価されがちだ。 しかし、「Well to Wheel」、すなわち ・化石燃料の採掘から輸送 ・燃料の生産 ・発電 ・送配電 までを含めたエネルギー効率やCO2排出量を考慮すると、状況は異なる。原油の供給源や燃料の種類によってエネルギー消費量やCO2排出量が変動するため、必ずしもEVが環境に
「赤字ローカル線は廃止すべき」と言う人へ! それなら同時に「固定資産税も全額払え」と主張してもらえませんか? 地方鉄道の赤字問題が深刻化する中、「赤字なら廃止」との声が高まる。しかし、鉄道は単なる営利企業ではなく、公共インフラとしての重要な役割を果たしている。税制優遇措置や地域経済への貢献を踏まえ、存続の議論は単なる収益性の問題にとどまらず、地域価値創造の視点から再考すべき時期に来ている。 ローカル線の赤字問題が深刻化し、多くの路線で存続の是非が議論されるようになっている。この問題について、インターネット上では「鉄道会社は民間企業だから、赤字なら廃止は当然」という意見が目立つ。 しかし、これはインターネット上だけの話ではない。鉄道ファンでない人と話すと、大抵 「誰も乗らないのに、なぜ維持する必要があるのか」 と当たり前のように質問されることが多い。だが、この議論には重要な視点が欠けていると
東海道線「快速アクティー」廃止! 神奈川県の「支離滅裂」要望で鉄道弱体化? 鉄道行政のプロ不在が招いた悲劇を考える 神奈川県鉄道輸送力増強促進会議が提出した要望リストは、地域住民の利便性向上を目指すものの、鉄道事業者との議論不足が目立つ。特に、東海道線の快速アクティー廃止問題を通じて、自治体と鉄道事業者の間にある情報格差と専門知識の欠如が浮き彫りになった。2023年のダイヤ改正で実現した停車駅増加に対しても、地域の真のニーズに応えるには、さらに深い議論が必要だ。 交通行政には道路や土木計画の専門家が多くいても、鉄道行政に携わる人々のなかで、鉄道の線路配線や列車ダイヤといった運輸計画の本質的な議論を行える専門家は少ない。 そのため、自治体は 「鉄道に関する情報の非対称性」 によって、発言力を失っていると筆者(北村幸太郎、鉄道ジャーナリスト)は京葉線通勤快速廃止問題を通じて感じている。結果とし
EVは、もはや未来の選択肢ではない。英国の最新研究によれば、EVの平均寿命は18.4年、ガソリン車と同等であり、走行距離も最大20万kmに達する可能性が示された。バッテリーの寿命や信頼性の向上により、EVは経済的に見ても環境的に見ても持続可能な選択肢となりつつある。 日本人ドライバーにとって、電気自動車(EV)は長らく他人事のように捉えられてきた。しかし、21世紀も四半世紀を迎え、いよいよ現実的な選択肢として浮上しつつある。 EVへの乗り換えを検討する際、最も重要なのはコストが従来のカーライフと見合うかどうかだ。車両価格は依然としてEVのほうが高い傾向にあるが、燃料費の安さやメンテナンスコストの低さを考えれば、長く乗ることで価格差は縮まる可能性が高い。 そうなると、EVはできるだけ長く乗ったほうが経済的に有利ということになるが、これまで耐用年数については疑問視されてきた。しかし、その懸念は
リニア中央新幹線の名古屋開業を控え、静岡・浜松の東海道新幹線停車本数増加が議論に。現行ダイヤで十分対応可能との分析が示唆され、所要時間に与える影響は最小限であることがわかった。 2025年1月30日、静岡県の鈴木康友知事とJR東海の丹羽俊介社長が面会した際、丹羽社長が「リニアの名古屋開業後はひかりの静岡・浜松停車を1時間2本に増やす」と発言し、大きな注目を集めた。 また、国土交通省は2023年10月20日に、リニア中央新幹線の開業にともない、東海道新幹線が静岡県内の駅に停車する回数を1.5倍に増やした場合、10年間で1600億円以上の経済効果が見込まれるとの試算を発表した。それに対し、静岡県の川勝平太知事(当時)は 「単なる頭の体操」 「国にダイヤの決定権がなく実現できるかどうかわからない」 「そうしたことを10か月かけてやったことは、お粗末であり呆れている」 とコメントしたが、この時点で
京都府南丹市は、北陸新幹線小浜・京都ルートの工事開始を阻止すべく要望書を提出した。小浜・京都ルートの行方は、いよいよ八方塞がりの様相を呈し始めている。 京都府南丹市が北陸新幹線小浜・京都ルートの工事に着手しないよう求める要望書を提出した。小浜・京都ルートの行方はいよいよ八方塞がりの様相を示し始めた。 京都府中央部に位置する南丹市。その東部で福井県と接する美山町は、三国岳、長老山など標高900m級の山々に囲まれ、アユの漁場として知られる美山川が流れる。川沿いに建つのは国の重要伝統的建造物群保存地区に選ばれたかやぶき民家の「美山かやぶきの里」。貴重な生態系を有する西日本屈指の天然林・芦生の森もある。 まさに日本の原風景ともいえる姿の美山町は人口約3500人。1960(昭和35)年までは1万人を超えていたが、今は半分以下に減少した。かつて11校あった小学校は統廃合を繰り返し、美山小学校だけに。そ
2024年、ラーメン店の法的整理による倒産が72件に達し、過去最多を記録した。一方、町中華は地域密着型の経営で変わらず繁盛している。高コストや消費者の移動傾向の変化にも影響されず、生き残る理由は「小さくても強い経済構造」にある。進化を続ける町中華が、今後も街角で暖簾を掲げ続ける秘密を探る。 帝国データバンクの調査によると、2024年に法的整理で倒産したラーメン店は72件に達した。これは前年の53件から3割以上の増加で、過去最多を大きく更新する結果となった。この背景には、原材料費や人件費、電気代などのコスト高騰と、依然として根強い「ラーメン1杯 = 1000円の壁」が存在している。 その一方で、昭和から続く「町中華」は今も変わらず街角で暖簾を掲げ続けている。店内には年季の入った木製のカウンターがあり、壁には色褪せたメニュー表が掲げられている。ラーメン1杯600円、餃子350円、チャーハン70
なぜ地方は「ドラッグストア」だらけなのか? 食料品がこんなに安い理由は? イオンに匹敵する地方の新たな支配者、乱立の背景を探る 地方の風景における「ドラッグストア」の急成長は、モビリティ環境の変化と深く結びついている。イオンの店舗数を上回る2万3041店舗を誇るドラッグストア業界は、低価格の商品と高利益率商品を巧妙に組み合わせ、地域密着型のビジネスモデルで急速に拡大。高齢化社会に対応した地域医療拠点としての役割も果たし、今後の再編と競争激化が予測される。 地方の風景と聞くと、多くの人がイオンを思い浮かべるだろう。しかし、実際に地方を巡ると、そのイメージが誤りであることに気づく。現在、地方で最も存在感を放っているのは、乱立する「ドラッグストア」だ。 2025年1月、X(旧ツイッター)まとめメディア・トゥギャッターでも「田舎にはイオンしかないというのは解像度が低い→ドラッグストアが乱立していて
琵琶湖大橋の開通から60年、湖西地域の発展を支えた交通インフラとしての役割は顕著だ。しかし、今なお新たな架橋計画は進まず、現行インフラで十分とされる背景にはどのような理由があるのか。湖の水運から近代交通網まで、地域発展の裏側に迫る。 筆者(碓井益男、地方専門ライター)は、これまで当媒体で「なぜここに橋を作らないのか」といった架橋に関する記事を執筆してきた。今回は日本最大の湖「琵琶湖」に焦点を当てる。 離島への架橋が進む現代でも、日本地図を眺めると「なぜここには橋がないのか」と疑問に思う場所は多い。琵琶湖もその一例だ。滋賀県の面積の大半を占める琵琶湖には、東西を結ぶ橋がわずか2本しかない。 ・大津市今堅田と守山市今浜を結ぶ「琵琶湖大橋」 ・大津市丸の内町と草津市新浜町を結ぶ「近江大橋」 のみだ。琵琶湖の橋といえば瀬田の唐橋を思い浮かべる人も多いが、これは厳密には琵琶湖から流れ出る瀬田川に架か
鉄道趣味は日本社会に深く根付いた文化であり、その楽しみ方には成熟した視点と感情的な態度に差がある。近年、SNSを通じた情報交換が活発化し、鉄道オタクの社会的影響力は無視できなくなっている。本稿では、鉄道オタクとしての成熟度を測るポイントを明らかにし、社会との調和を意識した趣味の楽しみ方を提案する。 鉄道趣味は、日本で広く浸透した趣味のひとつだ。鉄道オタクのなかには、経済や都市計画と絡めて鉄道を語る人もいれば、車両の形式や運行ダイヤに精通する人もいる。いうまでもなく“知的遊戯”である。 一方で、その楽しみ方が未熟だと指摘されることもあり、鉄道オタク全体の印象を悪くしてしまうケースもある。 では、 ・成熟した鉄道オタク ・未熟な鉄道オタク の違いは何か。単に知識量の多さで決まるわけではない。本稿では、両者の違いを見極めるポイントを示し、鉄道趣味の在り方を考える。 ポイント1「鉄道の「社会的役割
村上総務大臣は自治体の統廃合を進めるべきだとし、現行の1700以上の自治体を300~400に集約する持論を提案した。この改革が実現すれば、移動環境や物流網、公共交通に大きな変化が生じ、地方と都市間で新たな格差が生まれる可能性が高い。 2月14日、村上総務大臣が「現在1700以上ある自治体は300から400で済む」という持論を展開した。人口減少を前提に、行政の効率化を模索する発言だが、これが実現すれば、日本の移動環境はどう変わるのだろうか。 日本の人口減少が避けられない現実となるなか、行政の枠組みが大きく変わる可能性がある。しかし、自治体の統廃合は単なる行政区分の問題ではない。それは、 ・道路 ・鉄道 ・バス ・タクシー ・物流 さらには住民の移動のあり方そのものに根本的な影響を与える。 例えば、ある町が隣の市に統合された場合、住民はこれまで徒歩圏内にあった役所に行くためにバスや車を使わざる
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