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礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。 ◎教育者は最も陰湿なやりかたで人を殺す 昨日は、戦時中、大日本青少年団の「少年団員」用に作られた「われらは大君のもの」という「問答」を紹介した。典拠は、長浜功氏の『教育の戦争責任』(大原新生社、一九七九)の二五七~二五九ページである。 長浜氏によれば、大日本青少年団の「問答」には、三種類のものがあった。男女青年団用の「大東亜戦争」、女子青年団用の「銃後の誓」、そして、昨日、紹介した少年団用の「われらは大君のもの」である。長浜氏の『教育の戦争責任』には、これら三種の問答の全文が紹介されている。 昨日は触れなかったが、長浜氏は、これらの「問答」を、矢川徳光の論文「『戦時教養問答』について」(『青少年指導』一九四二年三月号)から引用している。 矢川徳光(一九〇〇~一九八二)と
礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。 ◎西部邁氏は、いったい何に絶望していたのか 西部邁氏の入水〈ジュスイ〉が報じられた直後、インターネット上に、これは「偽装自殺ではないのか」、最近、安倍政権に批判的だったので「殺されたのではないか」などの言説があらわれた。 そういう出まかせを言ってはいけない。西部氏は、権力もしくは何らかの勢力によって抹殺されなければならないほど重要な人物ではない。危険な思想家というわけでもない。西部氏は、しかるべき理由、もしくは、しかるべき事情があって、「自殺」したのである。その理由や事情は、もちろん本人以外の者にはわからない。しかし、自殺であったことは、まず間違いない。 二〇一七年の一〇月二二日に死ぬ気だったところ、総選挙と重なったので延期したということを、チャンネル桜代表の水島総氏に
礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。 ◎あなた達は略奪や強姦をしたかも知れぬが 昨日の続きである。昨日は、上原文雄『ある憲兵の一生――「秘録浜松憲兵隊長の手記」』(三崎書房、一九七二)から、「浜名湖口、連合軍捕虜の引渡し」の節の前半を紹介した。本日は、その後半を紹介する。 当日は未明より新居駅に出張して、新居分隊長と共に待機した。 駅前の商店や民家では戸を締め、婦女子は遠くへ避難していた。どうしたことか鉄橋の袂〈タモト〉の機関銃陣地は警戒兵がそのまま配置している。小学校の部隊本部へ憲兵を飛ばして、陣地を撤去するように連絡するなどのこともあった。 八時頃、艦隊から上陸用舟艇三隻が列を造って、今切れの湖口から進入して来た。鉄橋上に立って手振りで、案内して、誘導し新居駅北側のホームに最も接近した湖面に接岸させた。
礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。 ◎内田百間と「漱石全集校正文法」 たまたま、『送り仮名法資料集』〔国立国語研究所資料集3〕(秀英出版、一九五二)という本を見ていたところ、そこに、内田百間の「送り仮名論」が載っていることに気づいた。 タイトルは、「動詞の不変化語尾について」で、雑誌『東炎』の一九三五年(昭和一〇)に掲載されたものだという。 論旨は、送り仮名は、動詞の不変化語尾も含めるべきだ(「尽す」でなく「尽くす」)というものであるが、その部分の紹介は省き、「漱石全集校正文法」や「ゲーテ全集文典」に言及している末尾の部分を紹介してみよう。 大正六年〔一九一七〕、漱石全集第一版が岩波書店から刊行せられた時、私は同門の二三君と共にその校正にあたつた。 これより先数年、先生〔夏目漱石〕のまだ在世せられた当時、
礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。 ◎曼陀羅国神不敬事件とは何か 戦中、日蓮門下の法華宗に加えられた宗教弾圧である「曼陀羅国神〈マンダラ・コクシン〉不敬事件」は、今日、ほとんど知られていない。本日は、小笠原日堂『曼陀羅国神不敬事件の真相』(無上道出版部、一九四九)の「はしがき」の全文を引用することによって、この事件の概略を紹介してみようと思う(九~一二ページ)。 は し が き 一九四一年七月八日、深夜沈深、唱題三昧裡、絶食既に七日、獄窓に端座して待つ、満願数時間後に迫る現世生命の最後臨終を。 ―昭和法難回顧録― 右は昭和十六年、奇しくも日本敗亡の戦争と同年に起つた日蓮聖人曼陀羅国神不敬問題に当り、軍閥政権の為め弾圧の的となつた所謂法華宗昭和法難事件に際し、死を以て解決せんとした私の獄中回顧録の一
礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。 ◎伊藤博文、ベルリンの酒場で、塙次郎暗殺を懺悔 以前、大場義之さんという未知の研究者から、『大津事件の謎に迫る』(文藝春秋企画出版部、二〇〇六)という本を送っていただいた。オリジナルな考証が光る労作だと思ったが、その時は、大津事件の全体像に、変更を迫るほどの問題提起はないという印象を持った。 昨日、久しぶりにこの本を読んでみたが、これはなかなかの問題作かもしれない、と思いなおした。しかし、本日は、そのことについて解説している余裕がない。 本日は、同書の、二四六~二四七ページから、憲法調査中の伊藤博文が、ベルリンの地で、塙次郎暗殺を懺悔したことに触れているところを紹介したい。 平成一五年(二〇〇三)三月、瀧井一博氏による『文明史のなかの明治憲法』〔講談社、二〇〇三〕という
礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。 ◎石原莞爾がマーク・ゲインに語った日本の敗因 昨日の続きである。早瀬利之氏の『石原莞爾 マッカーサーが一番恐れた日本人』(双葉新書、二〇一三年二月一七日)から、石原莞爾がジャーナリストのマーク・ゲインに対し、日本の敗因などについて語っている部分を紹介する。 この部分は、マーク・ゲイン『ニッポン日記』(筑摩書房、一九五一)に依拠しているようだが、早瀬氏の文章は、非常によくまとまっているので、そのまま紹介する。 翌二十六日〔一九四六年四月二六日〕、アメリカのアルトン検事とUP通信杜のカメラ記者・オクノが来た。オクノは検事とすれ違いに入ってきて写真を撮った。 二十七日には、「シカゴ・サン」のマーク・ゲイン記者とポップ・コクレン記者がやっと石原の入院先を聞きつけて取材にくる。マ
礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。 ◎国会図書館所蔵「発禁図書」の来歴 一九八〇年(昭和五五)に国立国会図書館が発行した『国立国会図書館所蔵 発禁図書目録―1945年以前―』という冊子がある。「はしがき」で一ページ、「凡例」で一ページ、そのあと、アイウエオ順に書名を並べた本文が一二四ページ分、「著者名索引」が二七ページ分、奥付で一ページ。ただこれだけのシンプルな本であるが、見ていて飽きることがない。 この目録が作られた目的等については、「はしがき」で、収集整理部長の林修氏が次のように述べている。ここに全文を紹介させていただくことにする。 この目録は、昭和51年以来数次にわたって、米国議会図書館から返還されてきた接収発禁図書と、当館が受けついでいる帝国図書館旧蔵のものとを合せて、当館が現在所蔵している発禁図
礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。 ◎「変体仮名」廃止の経緯(春日政治『国語叢考』より) 今日の私たちにとって、江戸時代の庶民が読んでいた読本〈ヨミホン〉、草双紙〈クサゾウシ〉、瓦版の類を読むことは、ほとんど不可能である。それは、私たちの多くが、いわゆる「変体仮名」についての知識を欠いているからである。 今日、私たちが使用している「ひらがな」は、ほぼ一音に一字が対応している。しかし、かつては、「変体仮名」というものが存在し、必ずしも「一音一字」でなかった。そうしたことは、もちろん知っていたが、明治期に「変体仮名」が廃止された経緯について解説した本には出会ったことなく、以前からそのあたりのことが知りたいと思っていた。 一昨日、高円寺の古書展で春日政治〈カスガ・マサジ〉『国語叢考』(新日本図書、一九四七)を入
礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。 ◎福沢諭吉の異色作『かたわ娘』 福沢諭吉が偉大な啓蒙思想家であることは、誰もこれを否定しない。しかし、思想家・文筆家としての福沢のユニークさを、原典にあたって確認した経験がないという人は、意外に多いのではないだろうか。そのような人にお奨めなのが、初期の異色作『かたわ娘』(一八七二年=明治五年)である。 当時の福沢は、民衆の知的レベルを効果的に向上させようという戦略を持っており、その戦略に従って、『西洋事情』(一八六六)、『学問のすゝめ』(一八七二)などの啓蒙書を発表し、普及させていった。 そうした中で、『かたわ娘』(『寓言かたわ娘』とすべきか)は、これまで、あまり注目されたことはない。これには、タイトルに「差別語」が使われているという事情も関わっていると思われる。しかし
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