ソニーグループは1月20日、かつての主力だったテレビ事業を分離すると発表した。日本メーカーはどのような方向に進むのか。日本工業大学大学院技術経営研究科の田中道昭教授は「日本の製造業は大きな危機に直面している。背景にあるのが、『試作』を担ってきたものづくり中小企業の衰退だ」という――。 ものづくりの「静かな危機」 第1章:静かに進む「試作の消失」という構造的危機 日本の製造業はいま、外からは見えにくいが、内側から確実に進行している危機に直面している。その正体は、試作を担ってきたものづくり中小企業の衰退である。 この問題は、新聞の見出しになりにくい。倒産件数が急増しているわけでもなければ、象徴的な巨大工場が閉鎖されるわけでもない。むしろ、熟練者が一人現場を離れ、受けられる仕事が少しずつ減り、次の世代が入らないまま、工場や作業場が「音もなく縮小していく」ことで進行する。そのため、社会全体として危