失語症になっても「漢字が読める」 【養老】日本の文化とそれ以外の文化とのいちばん大きな違いのひとつは、日本語を例にとればよくわかる。というのは、日本語は脳の2カ所を使わないと読めないんです。 【楳図】漢字がですか。 【養老】いやそうじゃなく、失読症という病気があるんです。文字が読めなくなるという病気です。大脳皮質のどこかが壊れると、そういう症状が起こってくる。 で、一般に世界の人が字が読めなくなる場合、大脳の角回という場所が壊れるんです。脳にはふつうシワと言われている溝と山がたくさんありますが、その溝と溝の間の山の部分にちょっと角張ったところがあって、この部分を角回というんですが、その角回が壊れると世界の人は字が読めなくなる。 【楳図】へー。 【養老】ところが、日本人の場合はそこがやられても漢字を読むのに不自由しない。ただし、仮名は読めなくなる。 【楳図】あれえ、不思議ですねえ、なぜでしょ