皇室を存続させるには「伝統の創造」が必要 皇室典範改正問題をめぐり、わたしが言いたいことはただひとつ、「皇室存続のためには、新しい伝統を創造しなければならない」ということだ。 「伝統の創造」という一見奇妙な表現で念頭に置いているのは、『創られた伝統』(原題を直訳すれば、『伝統の発明』)という本の議論である。編者のひとり英国の歴史家ホブズボウムは同書のなかで、われわれが古来のものと思っている伝統のなかには、じつは新しい時代につくられたり、再編成されたりしたものが少なくないと指摘している。 その例として、ブーディカ、ウェルキンゲトリクス、アルミニウスがあげられる。いずれも古代ローマと戦った族長たちであり、なかでもカエサルが『ガリア戦記』で強敵として描いたウェルキンゲトリクスはよく知られている。そんなかれらは元来は古代史の一登場人物にすぎなかったが、各地でナショナリズムが高まると、「外敵から祖国