米国のトランプ政権は、ICC(国際刑事裁判所)や、そのトップである赤根智子所長を制裁対象に指定した。早稲田大学公共政策研究所の渡瀬裕哉さんは「赤根所長個人への制裁に対し、同情が寄せられるのは当然だろう。ただ、国際政治の現実において、個人への同情と国家の政策判断は切り離して考えるべきだ」という――。 ICC制裁は「トランプの暴走」ではない 2026年8月、米国のトランプ政権はICC(国際刑事裁判所)所長・赤根智子氏を含む複数の関係者を制裁対象に追加した。さらに10月、ICC自体に対する制裁を発表している。日本のメディアはこれを「法の支配への挑戦」「国際刑事司法の解体」といった調子で報じ、高市政権の及び腰な対応を批判する識者も多い。 しかし、この一連の報道には根本的な見落としがある。今回の制裁は、トランプという一人の指導者の気まぐれや衝動ではなく、米国が半世紀近くにわたって維持してきた対ICC