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ヌール・アル・アシュカルさん。(Aysarさん撮影) 徹底的な殺戮が続くパレスチナ・ガザ地区。国際社会の衆目の中で、すべての命がすり潰されるような民族浄化が続いています。ガザ地区のD4P現地取材パートナー、Aysar(アイサール)さんによる寄稿記事です。 突然の爆弾で足がずたずたに 「道路で友達と遊んでいたときです。とつぜん砲弾が落ちてきて爆発し、みな怪我をしました。私の怪我が、一番酷いものでした」 悲しみに満ちた目でそう語るのは、ガザ地区北部のベイトラヒアに住む13歳の少女、ヌール・アル・アシュカルさんです。 すぐに病院へ搬送されましたが、足はずたずたに引き裂かれており、切断するしかほかありませんでした。今は松葉杖を使用していますが、瓦礫だらけの街では困難が伴います。できれば「義肢」を装着したいと思っていますが、イスラエル軍は、医療品をふくむあらゆるものの搬入を厳しく制限しているため、そ
2021年4月、具志堅さんと訪れた糸満市・束辺名(つかへな)グスク近くの壕で。(安田菜津紀撮影) 記事中に戦没者の方のご遺骨の写真を掲載しています。 「遺骨には、戦死者には、人と会う権利がある。あなたが撮った写真の掲載されたものが、偶然、遺族の元に届くことだってあり得る。生まれた家のテレビに映されたり、その居間で新聞が開かれたりするかもしれない。写真を通してこの人が家に帰れるようにと、念じながら撮って下さい――」 2021年4月、沖縄戦の戦没者遺骨収集を続ける「ガマフヤー」代表、具志堅隆松さんの活動現場を初めて訪れたときのことだ。旧日本軍の壕から次々と掘り出される遺骨を前に、私がシャッターを切ることを躊躇していると、具志堅さんがこう、語りかけてきた。 その後も具志堅さんと共にガマや壕に入るとき、必ずこの言葉を心に刻みなおすようにしている。伝える者として、そして「本土」に生まれ育ち、今なお沖
レイシャル・プロファイリングの問題や技能実習制度を描き話題となったNHKドラマ『東京サラダボウル』。本作の在日外国人社会考証を担当した、社会学者の下地ローレンス吉孝さんに、ドラマなどの作品を通して差別を描くこと、日本社会に横たわる排外主義やマイクロアグレッションなどの問題についてうかがいました。 ※本文には「ハーフ」や「ミックス」という言葉が使われています。これらの言葉にはいろいろな議論があり差別的とされる場合もありますが、実際に人々のアイデンティティの一つとして使用されている場合も多く、本記事ではカッコをつけて使用しています。 下地ローレンス吉孝さん(本人提供) ドラマで「差別」を描く難しさ ――NHKで放送されたドラマ『東京サラダボウル』には、レイシャル・プロファイリングの問題や技能実習制度が描かれ話題となりました。下地さんは本作の在日外国人社会考証を担当されましたが、特に意識したこと
引き下げられた生活保護基準を巡り、生存権を保障する憲法25条や生活保護法に違反するとして、29都道府県で1000人を超える原告が国を提訴した「いのちのとりで裁判」が続いている。 訴訟の詳細については、小久保哲郎弁護士がこの記事中で語っている。 「社会保障の権利性を取り戻す裁判に」―生活保護費引き下げ訴訟から(弁護士・小久保哲郎さんインタビュー)2023.5.23 大幅な引き下げの背景には、「生活保護を恥と思わないのが問題」(片山さつき議員)など、一部政治家らがバッシングを扇動してきた実態がある。2012年3月に発足した自民党の生活保護に関するプロジェクトチームの座長も務め、保護費削減を主導してきた世耕弘成氏は、生活保護利用者の「フルスペックの人権」の制限も厭わない発言(※)をしていた。 (※)『週刊東洋経済(2012年7月7日号)』の紙面にて、世耕弘成氏は生活保護制度について「フルスペック
徹底的な殺戮――民族浄化が続いている。 2025年3月18日、イスラエル軍はガザ地区での「停戦」以降、最大規模の空爆をガザ地区全域で行った。 今この瞬間にも、いつ爆弾が降り注ぐかわからない空の下で生活し、人々の声を丹念に取材して歩くD4P現地取材パートナーのAysar(アイサール)さんに、本記事を寄稿して頂いた。 ガザ市街地の中心にある避難民のテント群。(Aysarさん撮影) パレスチナの人々は「人間」として映らない 「停戦」下の静謐なラマダンの夜、200万のガザの人々は、突如再開された戦火に深い衝撃を受けました。無数の爆弾がガザ全土に襲いかかり、悪夢が再び人々を捉えたのです。 イスラエルは、和平交渉を優位に進めるため、深夜の空爆という手段を選びました。その犠牲となった400人以上のパレスチナ人の多くは、幼い子どもたちと、その母親たちでした。 人々は、静かに眠りについていたり、断食前のスフ
※この記事は、性被害についての記述を含みます。 2025年2月27日に掲載した記事『あの日の「告発」から6年が経ち見つめた今』に、たくさんのコメントをありがとうございました。6年を経て、実名で広河隆一氏からの被害を公表した理由は、記事に記した通り、数々の「告発」の声によって積み上げられてきたはずのものが土台から崩され、加害が矮小化されていくことに危機感を覚えたからです。 こうして言葉にしたことで、自分の心が発していた声に初めて、じっくりと耳を傾けることができました。逆に言えばこれまで、「自分の心身の出すサイン」を見ないふりをすることで、走り続けようとしていたのかもしれません。 以前にも、それに気が付く小さな「きっかけ」はありました。ここ数年、縁あってボクシングを続けています。ある時、トレーナーの藤岡奈穂子さんに「自分の体にもっと関心を持ってみて」と言われ、その何気ない言葉に「衝撃」を受けた
※この記事には、性被害に関する内容が含まれています この文章を書くまでに、長い、長い時間がかかりました。 報道写真の月刊誌「DAYS JAPAN」の元編集長でフォトジャーナリストの広河隆一氏による、長年に渡っての性暴力やパワーハラスメントに対する告発が2018年から相次ぎ、2020年12月には外部有識者で構成する検証委員会の報告書が公表されました。 ところが、被害者の声を伝える文春オンラインに掲載された記事で名誉を毀損されたとして、広河氏が文藝春秋を提訴し、2025年1月22日、東京地裁が同社に55万円の支払いを命じる判決を言い渡しました。 広河氏の主張していた記事の削除や謝罪広告の掲載は認められなかったものの、「部分的にその訴えが認められた」という知らせが届き、私の心の奥底にあった何かが一気に冷え込み、凍りつきました。それからこの文章を書いては消し、消しては書き、を繰り返しました。 なぜ
本日、日本外国特派員協会(FCCJ)にて、映画『Black Box Diaries』をめぐる記者会見が行われ、参加してきました。問題を提起する弁護士らの会見に続き、伊藤詩織さんの会見、及び映画上映も予定されていましたが、伊藤さんは体調不良によりドクターストップがかかり、伊藤さんの会見と映画上映は見送られました(そのため伊藤さん側は文書資料で声明などを発出)。SNS上では多くの問題が議論され、様々な情報が飛び交っていますが、本問題を理解し、考えていくうえで、本日の会見および声明などを参照することは、どんな言葉を発するにしても重要な基盤となるはずです。 《動画》記者会見:伊藤詩織氏のドキュメンタリーにおける倫理的懸念 原題:Press Conference: Ethical concerns over Shiori Ito documentary ※問題を提起する弁護士らの者会見の模様は下記に
※本記事では訴訟の内容をお伝えするために、差別文言を記載している箇所がありますのでご注意ください。 2025年2月5日、私(安田菜津紀)が提起していたネット上のヘイトスピーチに関する裁判の判決が確定しました。改めて、支えて下さったみなさまに感謝致します。 「発端」となったのは2020年、Dialogue for Peopleの公式サイトに掲載した『もうひとつの「遺書」、外国人登録原票』という記事でした。 私の父は、私が中学2年生の時に亡くなっています。その後、高校生になり、戸籍を手にしたことから、父が在日コリアンだったことを知ります。「なぜ父は、何も語らなかったのか」――。死者に尋ねることはできず、古い記録を頼りに、父やその家族の歩みをたどる「旅」をしました。その過程で、ルーツを容易に語ることができない、差別の実情があることを改めて知ることになります。 そうしたことを綴った記事をシェアした
記事中に差別文言の記載があります。ご注意ください。 2025年2月12日、埼玉総合法律事務所にてとある裁判に関する記者会見が開かれた。被告は埼玉県南部の川口市や蕨市に暮らすクルドの人々に対し、ヘイトスピーチやヘイトデモを繰り返してきた渡辺賢一氏(日の丸街宣倶楽部)だ。そうした街宣活動の差し止めや、その被害に対する損害賠償を求め、本件裁判は昨年24年末に提訴されている。 会見の様子。(佐藤慧撮影) 原告は川口市内にある一般社団法人「日本クルド文化協会」だ。その代表理事であるシカン・ワッカス氏は、ヘイトデモやネット上の差別扇動の影響などにより、「(クルド人の知人が)アパートや駐車場を借りようとしても、“クルド人”だというだけで断られるようになった」「顧客が減るなど、事業にも影響が出ている店もある」「子どもたちへのいじめも発生している」と、差別による被害の実態を語った。 被告は2023年9月以降
これが同じ大地なのだろうか。2024年1月、パレスチナ・ヨルダン川西岸地区のダハリーヤ郊外を訪れた時、緑豊かな丘を、羊たちが悠々と歩く光景がそこにはあった。 2024年1月に訪れたダハリーヤ郊外、オディさんたちが放牧をしていた土地。(安田菜津紀撮影) ところが2025年1月、再び訪れた丘は掘り返され、褐色と化し、羊たちは姿を消していた。 増加の一途をたどる入植者 「入植者たちは昨年、何度も襲撃しに来ては、ここにあるものを全て壊していきました。つい10日ほど前にもやってきたばかりです」 前年も私たちも迎え入れてくれたオディ・アブシャルクさんが指差す先で、彼らの小屋は瓦礫と化し、バラバラに崩されたコンクリートの壁から、へし折られた鉄杭がむき出しになっていた。 破壊された家屋の前に立つオディさんと息子のカラムさん。背後の土地は変わり果てていた。(安田菜津紀撮影) 昨年の取材記事はこちら。日々誰か
支援者に見守られながら法廷に入っていくワヨミさん(遺影を持っている女性)、ポールニマさん(ワヨミさんの左)。(安田菜津紀撮影) 2021年3月6日に名古屋入管で亡くなったウィシュマ・サンダマリさんの遺族による国賠訴訟が続いている。 2017年6月、ウィシュマさんは「日本の子どもたちに英語を教えたい」と、英語教師を夢見てスリランカから来日したものの、その後、学校に通えなくなり在留資格を失ってしまった。2020年8月に名古屋入管の施設に収容されたが、同居していたパートナーからのDVと、その男性から収容施設に届いた手紙に、《帰国したら罰を与える》など身の危険を感じるような脅しがあったことで、帰国ができないと訴えていた。 真相解明にとって欠かせない「証拠」のひとつが、ウィシュマさんが最後に過ごしていた居室を映した監視カメラ映像295時間分だ。2022年3月の提訴からすでに3年近く、弁論も第16回を
2025年1月30日、京都府同志社大学にて「住民自治で差別を許さない人権条例を求めよう緊急集会」が開催され、オンライン含め100名以上が参加した。神奈川県川崎市で19年に制定された「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」は、差別禁止条項に加えヘイトスピーチ(差別扇動)への刑事罰が盛り込まれている。こうした実効性のある具体的な条例が各自治体へ広がることが求められているが、現在京都府で進められている条例案は、「当事者不在」のまま、「制裁規定も差別禁止条項もない」状態で制定されようとしている。 権利侵害・人権侵害の問題である差別を、さも「内心の問題」かのように取り扱う骨子案の「基本理念」。人権の保障は公的機関にも責務がある。(佐藤慧撮影) 差別というものがどれほど人間の尊厳を奪い、止めどない殺戮へと繋がるものかということは、その究極の形として、占領・民族浄化を行うイスラエルや、それを放置・容
「5月23日に花が旅立ち、 まもなく5年です。 私たち家族や周りの人たちの苦しみは続いています。 続いているどころか、増しているんです」 2022年12月、木村響子さんがフジテレビと制作会社を提訴してから、2年あまりが経った。プロレスラーだった娘の木村花さん(当時22歳)は、シェアハウスで共同生活を送るフジテレビの番組『テラスハウス』に出演し、SNSで大量の誹謗中傷にさらされた末、2020年5月23日に亡くなった。響子さんは、人権を無視した番組制作、配信、放送だったのではないかと、安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求訴訟を提起したが、フジテレビ側の不誠実な対応が続いているという。2025年1月29日、響子さんは弁護団と共に会見を開いた。 「フジテレビ、制作会社ともに、“なかったこと”にしようとしていると、この5年ずっと感じています」 弁護団と共に会見に臨んだ木村響子さん(登壇者中央)(佐藤
エルサレムでインタビューに応じてくれたメイールさん。(安田菜津紀撮影) 「この狂気を止めるんだ」――2023年10月、イスラエル軍によるガザ侵攻が始まった直後、イスラエルの高校教師、メイール・バルヒンさんは、犠牲になった子どもたちの写真とともに、Facebookにそう投稿した。 ところがこの投稿をきっかけに、教員の職を解雇され、さらには「反逆罪」などの疑いで逮捕される。その後起訴はされず解雇も無効となったももの、再び勤務校に出向いてみると、一部の生徒らから「人でなし!」「お前は癌だ!」と唾を吐かれ、叩かれるなどの暴力に見舞われた。 治安維持法を敷いた大日本帝国を想起させるような事態を前に、メイールさんが今何を思うのか、2024年12月、西エルサレムでインタビューを行った。 子どもたちは大人の映し鏡 ――ソーシャルメディアへのポストをきっかけに逮捕されることとなりましたが、投稿を通してどんな
「キングスガーデン」開発計画により取り壊された家に残る「ダビデの星」。(佐藤慧撮影) イスラエルによるパレスチナ・ガザ地区への軍事侵攻「停戦」が伝えられている。もちろん、一刻も早く武力侵攻を止めるべきだっただろう。しかし圧倒的な力の格差と占領体制のもと、桁外れの大量虐殺を続けてきた側が「少しの間、殺すのを自粛します」と言うことを、「停戦」「合意」と称することに、改めて力を持つ側の傲慢と欺瞞を感じずにはいられない。そしてそれはイスラエル一国の問題ではない。国際法の軽視や武力による現状変更などを容認・追認する国際社会は、今まさにその占領政策を直視し、人権を基軸とした世界のために行動できるか否かが問われている。 国際法を無視した殺戮や占領が続いているのは、ガザだけではない。ガザとは飛び地となっている、東エルサレムを含むパレスチナ・ヨルダン川西岸地区では、世界の目がガザへと向いている中、アパルトヘ
光州の5.18民主化記録館に展示された、遺体が並ぶ尚武館の写真。(2023年7月、韓国・光州にて。安田菜津紀撮影) 2024年12月3日夜、韓国の尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領が布告した「非常戒厳」は、市民や国会議員の迅速な行動により数時間後には解除されました。こうした権力の暴走に対する市民の行動の背景には、過去の凄惨な歴史があります。 「済州4・3」や「光州民主化運動」など、日本の植民地支配と地続きの構造は、多くの文学作品にも描かれてきました。 東京大学東洋文化研究所教授の真鍋祐子さんに、韓国の民主化運動の歴史や、今年ノーベル文学賞を受賞したハン・ガン氏の作品などについて伺いました。 真鍋祐子さん(佐藤慧撮影) 犠牲の上の民主化を破壊した「非常戒厳」 ――12月3日の夜、突然の非常戒厳が宣布されました。第一報を聞いた時、どう感じられましたか。 たまたまフェイスブックを眺めていたのですが、
月浦ふれあい公園から眺めた水俣湾と不知火海。(安田菜津紀撮影) 小高い丘の上からは、家々の彼方に、不知火海の水面まで見通すことができる。そこに建つ水俣病センター相思社に併設された水俣病歴史考証館には、この地域の営みや、水俣病事件を伝える重要な資料がいくつも展示されている。丘のすぐ下は、水俣病が多発した地だ。 考証館の奥の壁には、相思社に寄せられた猫たちの写真がびっしり貼られている。 考証館の壁に貼られた猫たちの写真。(安田菜津紀撮影) 猫実験で判明した結果、チッソは隠蔽 1957年から62年にかけて、チッソは800匹以上の猫で実験をし、水俣病の原因が、自社の排水であることをつかんでいた。けれどもその結果を隠蔽し、患者たちに不当な見舞金契約を結ばせた。「水俣病が甲(チッソ)の工場排水に起因することが決定した場合においても新たな補償金の要求は一切行わないものとする」という約束をさせ、患者たちを
2014年のイスラエル軍の攻撃で破壊された市場跡。2018年2月、ガザ地区で。安田菜津紀撮影 中東で戦火が拡大しています。今年4月、シリアの首都ダマスカスのイラン大使館がイスラエル軍による空爆を受け、イラン革命防衛隊の幹部らが死亡しました。イランは報復としてイスラエルを攻撃、その後も応酬が続いています。 10月26日にはイラン国内の複数の軍事基地をイスラエル軍が直接攻撃。米国をはじめ大国の思惑も錯綜し、ますます混沌とした状況が広がる現在の状況を、国際政治学者の高橋和夫さんと考えていきます。 高橋和夫さん(『中日新聞』提供) 「報復攻撃」の応酬を続けるイランとイスラエル ――この10月26日にイスラエルがイランに対し行なった「報復攻撃」について、どうご覧になっていますか? 両国間で対立が続いてきているので、どちらが先に手を出したかの判断も難しく、これが「報復」とは言いにくい面があります。一番
※本記事中に性暴力に関する記述があります。 2024年10月24日、注目していた裁判の一審判決が言い渡された。判決までに要した時間は4年――。その間の1日、1日が、被害者にとってどれほどの苦痛を強いられるものだったか。 被告は「社会福祉法人グロー」(滋賀県)元理事長、および「社会福祉法人愛成会」(東京都)元理事の北岡賢剛氏だ。氏による長期間、幾度にも渡る性暴力、ハラスメント被害をうけた原告2名は、北岡氏と「社会福祉法人グロー」(以下、グロー)に対し、法的責任と損害賠償を求めて提訴した。 結果として東京地裁(野口宣大裁判長)は、北岡氏に220万円、「グロー」に440万円の支払いを命じる判決を言い渡した。 裁判の過程で繰り返される二次加害や、人権感覚をアップデートできない権力者とその周囲の「黙認」による構造的暴力、法制度の不備や消滅時効の捉え方など、この裁判が社会に問いかけるものは多岐にわたる
10月27日(水)衆院選の投開票日、JRN報道特別番組「総選挙2024 <ザ・ジャッジ>有権者の審判は」に出演した。 この社会には、投票という形で自身の意思を表明することができない人たちも、共に生きている。だからこそ選挙の度、マイノリティの人々が強いられてきた人権の問題を、「多数決」で決めてしまうことの暴力性についても考える。 選挙特番は他局との兼ね合いもあり、時間が厳密に決められている。限られた時間内ではあるが、質問できたこと、できなかったことをまとめた。 ※差別の深刻さを伝えるため、ヘイトスピーチにあたるような文言が掲載されています。 ①自民党 森山裕 幹事長(質問:選択的夫婦別姓) 一般社団法人NO YOUTH NO JAPAN代表理事の能條桃子さんが先に選択的夫婦別姓について尋ねてくれた。それに対しての返答は、「党内でも色んな議論があり、国民世論でも色んな考えがある。もうちょっと時
パレスチナで続く凄惨な殺戮や占領に対して、ヒップホップの音楽やラップで抵抗と連帯の声をあげる人々がいます。ドイツ・ベルリンに拠点を置く音楽ライター・翻訳家の浅沼優子さんに、パレスチナ・ヒップホップ3曲を選んでいただき、D4Pがおすすめする曲とともにご紹介します。 1990年代からアラブ圏に浸透したヒップホップ。今回ご紹介したリスト以外の曲にもぜひ耳を傾けてみてください。 ▶浅沼優子(あさぬま ゆうこ)さんプロフィール フリーランスの音楽ライター、翻訳家、字幕制作者、通訳。2009年よりベルリンに拠点を移し、それをきっかけにDJやアーティストのブッキング業務に携わるようになる。2020年にブッキング・エージェンシー「setten」を立ち上げ、現在は音楽イベントのプロモーションやキュレーションも行っている。訳書に『アンジェラ・デイヴィスの教え: 自由とはたゆみなき闘い』(河出書房新社)がある。
昨年10月以降のイスラエルによるガザ侵攻に対して、アメリカのバイデン政権はガザへの人道支援を行い、停戦を求める姿勢を見せつつも、一貫してイスラエルの「自衛」を支持してきました。そうしたダブルスタンダードに、若者を中心にバイデン政権や民主党に対する抗議の声も上がっています。 次期アメリカ大統領候補であるトランプ氏とハリス氏の選挙戦では、イスラエルに関する姿勢もひとつの争点となっています。 世界の超大国アメリカは、民族浄化を推し進めるイスラエルをなぜ支持し続けるのか?国際政治学者の三牧聖子さんと考えました。 三牧聖子さん(本人提供) 討論会で明らかになった、トランプ氏とハリス氏の共通点 ――9月11日に行われたトランプ・ハリス両氏のテレビ討論会、どのようにご覧になりましたか? ハリス氏がトランプ氏を追い詰める局面が目立ち、互いが互いの政策を批判し合いましたが、ガザに関しては、あれほど対照的な二
本記事はライターの小川たまかさんによる寄稿記事です。 今年4月、私は沖縄で長く女性運動を続けてきた高里鈴代さんたちに話を聞くために那覇へ飛んだ。1995年の事件や、それ以前から続いてきた沖縄での性暴力と、声を上げた女性たちの話を聞くためだった。 このとき、またすぐに沖縄を訪れたいと思ったが、このわずか2ヵ月後に米兵による性犯罪が発覚し、しかもこの事実を外務省や沖縄県警が沖縄県に伝えていなかったとして大きく報道されることになるとはまさか思わなかった。 事件が初めて報道されたのは、6月25日。 沖縄県議会選挙(6月16日)と沖縄慰霊の日(6月23日)への影響を懸念した外務省が情報を伏せたのではないかという憶測も飛んだが、上川陽子外相は「被害者のプライバシー保護」が理由だとした県警を踏まえて防衛省に情報提供しなかったと説明した。 那覇地裁で行われた7月の初公判、8月後半に行われた少女とその母への
Dialogue for People(ダイアローグフォーピープル)は、写真や文章、多様な表現を通じて、世界中の人々が対話に希望を見いだせる世界観を伝えていきます。国家・人種・宗教・性別など、あらゆる境界線を乗り越えた平和な世界を目指して。
※本文中に性暴力に関する描写があります。ご注意ください。 バリ島を経由し、小型の旅客機に乗り換えると、眼下にはいくつかの島々からなる小スンダ列島が見えてくる。それらはインドネシアに属するが、その東端、ティモール島は、東半分と飛び地のオエクシが、2002年に東ティモール共和国として独立している。今世紀初の独立国家だ。 面積は岩手県程度で、人口は130万人余り。非常に小さな国家だが、地域ごとに多様な言語が話され、色鮮やかな布(タイス)や、唐辛子やにんにく、ライムなどでつくる独特の調味料(アイマナス)のバリエーションの多さには目を見張るものがある。バリ島からすぐ、ということもあり、沿岸部の景色はまさに「南の島」そのもので、観光化が進んでいないぶん、少し街から離れた天然のビーチから覗く海は透き通るようだ。
「このような悲劇が二度と繰り返されることがないよう祈ります」 2021年8月6日、広島市で行われた平和式典に駐日イスラエル大使が参加し、イスラエル大使館の公式Twitter(現X)は、このようなメッセージを投稿した。その前年も、さらに前の年にも、ほぼ同様の文言が発信されている。 そして今、イスラエルは、ガザでの凄惨な虐殺を続けている。 イスラエル駐日代表は2009年から広島市の平和式典に参加し、今年も出席の意向だ。ネット上ではXを中心に、招待を取り消すよう「ランチタイム・ツイデモ」が連日行われている。他方、パレスチナ暫定自治政府の駐日代表部には、今年も招待状が送られていない。 長崎市は、8月9日に行われる平和祈念式典について、イスラエル駐日大使への招待状送付を「保留」としている。一方、これまでと同様、パレスチナ代表部には招待状を送るとした。 広島市の対応はなぜ問題か。中東地域研究を専門とす
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