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2023年8月23日から25日にかけて、コンピューターエンターテインメントに関する国内最大級のカンファレンスCEDEC2023が神奈川県・パシフィコ横浜においてオンラインセッションをふくめたハイブリッドで開催されました。8月24日には、立教大学大学院人工知能科学研究科所属の周 済涛氏と、同研究科に所属する三宅陽一郎特任教授が「アクションゲームにおけるディープニューラルネットワーク付きステートマシンを用いたキャラクターAI強化学習」と題するセッションを行いました。本稿では同セッションを要約することで、ゲーム業界の次の15年を担うかも知れない新たなAI技法を紹介します。 AI技術の2大潮流とゲーム業界の関係はじめに登壇者となった三宅氏は、今回のセッションを理解するための背景知識となるAI技術史について話す導入パートを行いました。1960年代に誕生したAIは3度のブームを経て現在に至るのですが、
人工知能学会誌において2021年から連載が始まったレクチャーシリーズ「AI哲学マップ」は、AI研究と異分野を接続する試みです。哲学、現象学、記号論、コンピュータ史、認知科学、社会心理学など人文科学系の分野を哲学側に立てて、AI研究者との自由な議論を展開しています。プロジェクトを進める清田陽司氏と三宅陽一郎氏が、AI哲学マップの狙いや現在地についてセッションを行いました。 AI哲学マップの目指すところレクチャーシリーズとしてAI哲学マップが始まったのは、コロナのパンデミックによってコミュニケーションのあり方が変わっていった時でした。オンラインでは対面時のような広がりのある議論がなかなかできないことが学会としても課題になりつつあり、社会に目を向けると研究者として何ができるのかと考えざるを得ない状況が続いていました。そこで、人工知能研究の視点のひとつとして哲学という層を加えることを目標に始めたの
ほとんど人間が手を加えることなくAIが小説や脚本を執筆できるようになったら、人間の作品と区別がつかない楽曲を制作できるようになったら、AIツールを使ってビデオゲームのコンテンツを誰でも自由に作れるようになったら、それら成果物の著作権は最終的に誰に帰属すべきでしょうか。また、それらが既存の著作物に酷似していた場合、著作権侵害の責任は誰が負うべきでしょうか。 ディープラーニングをはじめとした機械学習モデルの発展によってAI技術の社会適用の可能性が大きく広がると同時に、AIモデルが生成した創作物や成果物の著作権や利権について明確な法整備が必要な時代に突入しました。 人工知能と著作権というテーマは、6月14日から6月17日まで開催された「第36回人工知能学会全国大会」においても重大な議題のひとつでした。今回、新型コロナウイルスの影響でハイブリッド開催となった同大会から、「AIによるクリエイティビテ
時代を先取りし過ぎた『がんばれ森川君2号』『アストロノーカ』のゲームAIはどのようにして開発されたのか?:懐ゲーから辿るゲームAI技術史vol.4 1997年に、当時の最新のAIを導入したプレイステーション用ソフト『がんばれ森川君2号』を、翌年には『アストロノーカ』を立て続けに世に送り出した、現モリカトロン株式会社代表取締役の森川幸人氏。学生時代までコンピューターすらまったく知らなかったのに、やがて独学でAIをマスターし、いち早くゲームAIの開発に成功したその功績は、今でこそ広く知られていますが、いずれも発売当時はまったく評価されなかったそうです。 あまりにも時代を先取りし過ぎた『がんばれ森川君2号』と『アストロノーカ』は、いったいどのようにして開発されたのでしょうか? そして日本初のゲームAI専門会社、モリカトロンを設立した動機と目的とは? 森川氏にたっぷりとお話を伺いました。 『がんば
ビデオゲームにおけるキャラクターの動きは、アニメーションアセットという素材を組み合わせて作成されます。しかし、キャラクターモデルによって関節構造やコリジョン、環境は異なるため、同じアセットをすべてのキャラクターに適用できるわけではありません。 特に、多様な形状のパーツをカスタマイズできる3Dロボットゲームでは、必然的にアニメーションアセットの種類も増えてしまいます。このため従来のカスタマイズロボットゲームでは、アニメーションシステムとカスタマイズ機能を両立させるために、作中に登場するパーツデザインの種類を限定せざるを得ませんでした。 プロシージャルアニメーションという自動生成技術もありますが、従来の方法はアニメーションを変形させることで地形に沿った姿勢を形成するような仕組みであり、あらかじめアニメーションアセットが用意されていることが前提条件です。そのため、異なる関節構造を持つ複数のロボッ
『いただきストリート』とは?1991年にアスキーから発売されたファミリーコンピュータ用ソフトで、『ドラゴンクエスト』シリーズでもおなじみの堀井雄二氏が考案したボードゲームです。サイコロを振って出た目の数だけマス目を進みながら、店や株を購入して資産を増やし、マップごとに設定された目標金額まで一番早く資産を増やし、スタート地点に戻ったプレイヤーが勝利となります。最大4人まで同時プレイが可能で、プレイヤーが4人に満たない場合はCPUキャラが参戦します。 マップ上のあちこちにある店を購入すると、以後他のプレイヤーが止まるたびに「買い物料」を、つまりお金をもらうことができます。逆に、他のプレイヤーが保有する店に止まった場合は、相手プレイヤーにお金を支払うことになります。 購入した店は、さらに増資をすることによって店の価値が上がり、他のプレイヤーが止まったときに支払ったり、店を売却する際の金額をアップ
ゲームのルールやバランスを壊すチート(不正行為)の存在は、ゲームコミュニティを慢性的に悩ませています。こうしたチートの検出に、最近ではAI技術が活用されています。この記事ではチートの歴史を簡単に振り返ってから、AI技術を活用したFPSやオンラインカジノのチート検出事例を紹介します。 進化するチートと最新チート検出手法としてのAI世界的なサイバーセキュリティ企業NCC Groupは昨年5月、「ゲームのセキュリティ」と題されたチートの歴史とその対策をまとめたブログ記事を公開しました。チートの歴史は古く、昔のチートのなかで特に有名なのがファミコン版『グラディウス』(1985年、コナミ)で発見された「コナミコマンド」です。もともとこのコマンドは、ゲーム開発者が効率よくデバッグするために実装したものを、発売時に削除し忘れたため「裏技」として残ることになったものでした。このように、チートは昔からゲーム
SIGGRAPH ASIA 2020は、すべてオンラインで開催SIGGRAPHはコンピュータグラフィックスとインタラクティブ技術に関する学会・展示会であり、毎年7月から8月にかけて北米で開催されています。今年は新型コロナウイルスの影響でオンライン開催されました。それにひき続き、毎年冬季に開催されるアジア版SIGGRAPHであるSIGGRAPH ASIA 2020も今年はすべてオンラインで開催されました。毎年アジアの各地で持ち回りで開催されていたSIGGRAPH ASIA、今年は、韓国の大邱(テグ)にて11月に開催予定でした。 ・SIGGRAPH ASIA 2020 開催概要 ・CGへの扉 Vol.9:現実の課題を解決するCGとAIの相互作用(昨年の SIGGRAPH ASIA 2019 紹介記事) 録画済みのセッションは2020年12月4日よりオンライン視聴開始、参加気分が盛り上がりつつあ
デカルトが機械論を提唱してから4世紀。ディープラーニングとビッグデータによって技術的特異点が現実味を増す中、人工知能が囲碁やポーカーで人間を負かし、仮想空間でのシミュレーションで現実世界を学び始め、自然言語処理能力で人間を上回り、果ては顔認識システムで人権を侵害し、完全自動の対空迎撃ミサイルで人命を脅かし、戦闘機の模擬空戦でパイロットを失業の危機へと追い込むまでに進化しても、デスクワークを代行できたり人間の遊び相手をしたりするほど、AI技術は身近なところで私たちと共存できていません。 ゲーム業界においては近年、自立型エージェントやメタAIといった技術がゲームメカニクスに革新をもたらしました。ゲームキャラクターが自ら考え行動し、ゲーム難易度が自動的に調整され、地形や街並みといったゲーム空間が自動生成される時代。次に注目されているのは、テストプレイやデバッグ作業の自動化、手加減や駆け引きを駆使
そもそも画像認識の元となる学習データは正しいのか?先日オンラインで開催された「画像の認識・理解シンポジウム MIRU2020」で発表されたセッション「大規模画像データセットが含む“疑わしい画像”の専門家のワークショップを通した収集と分析」が大変話題になりました。 MIRU 2020 プログラム一覧 これは人工知能を活用した画像解析の学習データとして一般的に使われている ImageNet という巨大データセットの正確性を疑うものです。近年「Are we done with ImageNet?」という2020年の論文から ImageNet の正確性への疑問が注目されました。 論文「Are we done with ImageNet?」は 、2009年頃から画像認識の大規模データセットとして使われてきた ImageNet の正確性、評価に疑いをもって調べ、またその正当性をあげるための提言を述べた
2020年6月9日から12日にかけて第34回人工知能学会全国大会(JSAI2020)が開催されました。今回は、コロナ禍の影響により全セッションをZoomによるオンラインで実施するという異例のものとなりました。この記事では、2020年6月12日に行われたセッション「AI応用: エンタテイメント」で発表された3つの研究報告を紹介します。 クエストを自動生成して視覚要素と統合公立はこだて未来大学の斉藤勇璃氏による「シナリオ・視覚要素・音響効果を統合的に自動生成するゲームシステムの構築」と題された発表では、ゲームにおけるシナリオと視覚要素を自動生成する試みが報告されました。 ゲーム業界のなかでもRPGは人気ジャンルのひとつであり、『RPGツクール』シリーズの存在からも分かるようにユーザ自身が制作したいというニーズもあるジャンルです。こうした背景から、商用利用できるAIを活用したRPG自動生成技術が
人工知能の研究者やAIを扱うゲーム開発者にとって、これからの技術発展に欠かせないテーマのひとつが、AIに求められる協調という概念です。これまでもモリカトロンAIラボでは、ビデオゲームの中でプレイヤーの動きに協調して意思決定を下す自律型エージェントや、物語のプロットを自動生成する上で作家の個性を忖度できるAIの可能性に焦点を当ててきました。 この協調という価値観は、6月9日から6月12日まで開催された第34回人工知能学会全国大会(JSAI2020)においても、大きな存在感を示していました。今回、新型コロナウイルスの影響でオンライン開催となった同大会で行われた「エージェント:ゲームと協調」というセッションを取材しました。ここでの協調とは、エージェント同士による協調性を技術的に研究することを意味しています。 セッションの登壇者は、株式会社スクウェア・エニックスの三宅陽一郎氏、公立はこだて未来大学
『ザナック』とは、どのようなゲームだったのか?「多分、世界で初めて『AI』という言葉を使ったゲームだと思います」 この言葉は、元コンパイル、現コンパイル◯(まる)社長の仁井谷正充氏が、筆者も参加した2017年のインタビューにおいて、『ザナック』について質問をした際に語ったものです。 『ザナック』とは、1986年にコンパイルが開発し、ポニーから発売されたMSX、およびファミリーコンピュータ用の縦スクロールシューティングゲーム。カーソル(または十字キー)とボタン2個で自機を操作し、カーソルキーは自機の8方向への移動に、ボタンはメインウェポンとサブウェポンの発射時にそれぞれ使用します。 メインウェポンは、最初は1発ずつしか撃てませんが、パワーチップ(アイテム)を取るとパワーアップして、最高で3発同時に撃てるようになります。サブウェポンは、アイテムを取ることでオールレンジキャノン、プラズマフラッシ
人工知能技術を使って昭和の歌姫美空ひばりをよみがえらせるプロジェクトが世間を湧かせた2019年末。マンガの神様と呼ばれた手塚治虫の作家性をAIに学習させ、31年ぶりに新作を生み出すという前代未聞のプロジェクト「TEZUKA2020」が着々と進められていました。 講談社の「モーニング」13号(2020年2月27日発売)と20号(同年4月16日発売)に掲載された新作『ぱいどん』では、慶應義塾大学理工学部の栗原研究室と株式会社エッジワークスが共同開発したAIによるプロット自動生成技術「Automatic Scenario Building System」(以下、ASBS)が活用されています。 今回は「TEZUKA2020」でAI技術を監修した慶應義塾大学理工学部の栗原聡教授と、現役のシナリオライターでエッジワークス代表の山野辺一記氏をゲストに迎え、ASBSの構想が立ち上がった経緯から、「TEZU
ゲームAIがビデオゲーム一般に実装されるようになったのはここ20年ばかりですが、1980年代から2000年代初期のゲームを支えてきた技術を振り返ると、ゲームAI史のミッシングリンクをつなげる事例を多数見つけることができます。そのひとつが1990年にマクシスからリリースされたシミュレーションゲーム『シムシティ』です。 本稿ではゲームデザインに関するウィル・ライトの思想を伝える数少ない書籍『ウィル・ライトが明かすシムシティーのすべて』(1990年、ウィル ライト著・多摩 豊翻訳)を参照しながら、AI開発者の三宅陽一郎氏(日本デジタルゲーム学会理事)にAI開発の視点から見た『シムシティ』とウィル・ライトの功績について伺いました。 ゲーム世界へのプレイヤーの介入の仕方をデザインした——『シムシティ』といえば、今の時代でもシミュレーションゲームの代表として、まず思い浮かぶタイトルのひとつです。発売当
Google PAIR の登場PAIRとは People + AI Research の頭文字をとったもので、人とAIの関係性を考えて研究するためのプロジェクトです。Google が中心となって推進し、2017年7月に発表されて以来、現在も続いています。 Google PAIR https://ai.google/research/teams/brain/pair People + AI Guidebook https://pair.withgoogle.com/ Google Design PAIR https://design.google/library/ai/ PAIRでは”Making people + AI partnerships productive, enjoyable, and fair.”(人とAIの関係を実りある、楽しい、公平なものに)という目標を掲げ、AIに関係す
ゲーム業界で急速に存在感を増してきたAIエンジニア。中には新卒でAIエンジニアに採用されるケースも見られます。今回の座談会では、mynet.ai、スクウェア・エニックス、モリカトロンAI研究所の若手AIエンジニア7人が一同に集合。前後編2回に分けてお届けする本シリーズの前編では、彼らがゲームAIに関心を持つようになった学生時代からの背景や、入社後の勉強のしかたなどについて語り合いました。 新卒で入社した若手AIエンジニアが集結——自己紹介も兼ねて、これまで手がけられた業務を教えてください。 髙井央司氏(以下、髙井):mynet.aiのデータサイエンティストの髙井と申します。新卒2年目で、1年目はソーシャルゲームの離脱予測のAI制作などに携わりました。2年目の今年はポップアップ広告のABテストを行うAI開発で、プロジェクトリーダーをつとめています。他にもデータサイエンティストとして、さまざま
DeNAは現在「ネクストオセロニア」という言葉を掲げ、これまでのゲームにおけるAI開発を振り返っています。これは『逆転オセロニア』の開発における成功と失敗を、次のAI開発にどのように活かしていけばよいかを探ろうというものです。本稿ではCEDEC2019で発表されたセッション「組織的に Game x AI を推進していくための方法論 〜『逆転オセロニア』 の一歩先へ〜」の内容を取り上げます。 DeNAのゲームAI開発のこれまでDeNAの『逆転オセロニア』(以下、オセロニア)は、ゲーム開発に機械学習を導入した成功事例として知られていますが、DeNAの中でどのような位置づけで始まったものだったのでしょうか。 セッションの前半を担当した田中一樹氏(株式会社ディー・エヌ・エー AI本部AIシステム部データサイエンス第一グループ データサイエンティスト)によれば、ゲームアプリ運用の課題解決に向けて、古
ゲーム開発におけるAIの活用で、今、一番注目されているのは「QA(品質管理)」分野です。これまでどうしても人手に頼らざるを得なかったデバッグを、AIを使って効率化しようと各社が開発を推進しています。モリカトロンが進める”QAのためのAI”は今、何をどこまでできるようになっているのでしょうか? CEDEC2019で行われた、本城嘉太郎氏(モリカトロン代表取締役社長)による注目のセッション「AIにゲームをデバッグさせることは出来るのか? 〜ゲームAI専門会社モリカトロンの挑戦〜」の内容をご紹介します。 モリカトロンのQA事業の全体像セッションは大盛況で立ち見も入りきらないほどもともとサーバエンジニアとしてコンシューマーゲーム開発に長く携わってきた本城嘉太郎氏は、リアルタイム通信ソリューション「モノビットエンジン」を提供するモノビットの代表取締役社長でもあります。2018年に日本のゲーム業界もい
アートとデザインの違いとは何でしょうか。アートがクリエイターの自己表現なら、デザインは顧客の課題を解決する行為です。ゲーム開発も同様で、さまざまな課題の解決が幾重にも内包されています。ゲームデザイナーの課題がユーザーに新しいゲーム体験を提供することなら、ゲームプログラマーの課題はゲームデザイナーのアイディアに形を与えること。ハードウェアの制約上で最大限の体験ができるように、さまざまなアイディアが盛り込まれます。 9月4日から9月6日までパシフィコ横浜で開催されたCEDEC2019でも、ゲームAIを用いたさまざまな「課題の解決」事例が共有されました。今回は、その中からスクウェア・エニックスの長谷川誠氏による「『LEFT ALIVE』における地形表現とナビゲーションAI」の講演内容をレポートします。長谷川氏は1キロ四方の広大なマップ上で敵兵を移動させる上で用いた、さまざまな地形表現の工夫につい
9月4日から9月6日までパシフィコ横浜で開催されたCEDEC 2019では、ゲーム開発現場におけるAI技術の応用例や活用法に関するセッションが目白押しでした。今回は、その中からLuminous Productionsの「「強い」を作るだけが能じゃない!ディープラーニングで3Dアクションゲームの敵AIを作ってみた」というセッションを取材しました。 登壇者は、株式会社Luminous Productions所属で、スクウェア・エニックスの『FINAL FANTASY XV』(以下、FFXV)で仲間AIや写真AIを担当したプログラマーの上段達弘氏。講演では、3Dアクションゲームにおける敵キャラクターAIを低コストで制作するために、ディープラーニングを活用して『FFXV』風のバトルにおける戦い方をAIに自ら学習させる技術検証が披露されました。 AIを開発してくれるAI作り従来のキャラクターAIの開
SpotifyやApple Musicなど、ストリーミングによる音楽の配信が、新たなスタンダードとして確立しつつある昨今の世界の音楽業界において、AIの技術はどのように取り入れられているのでしょうか? また、日本国内においては、今後どういった活用の可能性が見いだせるのでしょうか? デジタル音楽ジャーナリストのジェイ・コウガミ氏に、音楽業界におけるAI技の実装例、これからの日本におけるAI活用の展望について伺いました。 AIと音楽の交差は、すでに始まっている——AIは音楽業界でどのように使われているのでしょうか? ジェイ・コウガミ氏(以降ジェイ):今、世界の音楽業界では、AIをどのように導入するかについての議論が、かなり重要なトピックスのひとつとなっています。なぜなら、レコード会社やアーティストの間で実際にAIがさまざまな課題解決のための手段として実装されはじめているからです。 音楽業界で活
モリカトロンAIラボの所長、森川幸人がホストとなり、さまざまなゲストの方からエンターテインメントとAIの最新情報についてお話を伺うモリカトロンAIラボインタビュー。4月26日に公開した「ゲームAIのこれまでとこれから:三宅陽一郎氏×森川幸人氏 対談(前編)」では、三宅さんがゲームAI開発者になったバックグラウンドから、特にゲームの中で使われているゲームAIの構造と歴史について解説していただきました。後編となる本稿では、QA(品質保証)やデバックといったゲームの外のAIが持つ可能性と課題についてお話いただきます。 今、伸びしろがあるのは「外のAI」森川幸人氏(以下、森川):ここまでお話していたのは、三宅さんが言うところの「(ゲームの)中のAI」の話ですよね。モリカトロンに来る仕事の7〜8割がゲーム開発を効率化するためのAI、「外のAI」なんです。今の三宅さんとして関心があるのは、やはり「中の
米サンフランシスコで開催されたゲーム開発者会議「Game Developers Conference(GDC)2019」で3月21日、スクウェア・エニックスの眞鍋和子氏と淡路滋氏は「Balancing Nightmares: an AI Approach to Balance Games with Overwhelming Amounts of Data」と題して講演を行いました。 両氏はスマートフォンゲーム『グリムノーツ』(2016年、スクウェア・エニックス)の運営に際し、新規キャラクターやアイテムの投入によってゲームバランスが崩れることを避けるために、遺伝的アルゴリズムを利用したチェック体制を構築したと語り、その概要とメリットについて説明しました。 増え続けるデータのもとで、ゲームバランスをどのように保つか『グリムノーツ』は元気が開発し、スクウェア・エニックスが運営するスマートフォン用
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