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ドラクエ3
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安倍退陣への英ネイチャー誌論説に刺激され日経新聞が「科技立国 落日の四半世紀」を始めて連載が続きません。大学院重点化で始まる文科省の詐欺行政批判視点が無く、若手研究者を守れの主張くらいでは弱すぎです。そもそも2017年の英ネイチャー誌3月特集が「日本の科学力は失速」と明確に打ち出したのに、日本のマスメディア、マスコミは理解できなかったのです。それから3年、日経ばかりか朝日も「若手」をキーワードにして重箱の隅をつつく改善を社説にしました。しかし、世界で日本だけが研究論文数が減り、論文注目度がどんどん下がっている超異常事態には、劇的な大改革しか立ち向かえません。本来なら学者の集まり、いま話題の日本学術会議あたりが抜本的な政策転換を言い出すべきながら、実際は大学教授たち既得権益層で固められており全く期待できません。日本衰退の未来しか見えません。 昨年の拙稿、第622回「迫るノーベル賞枯渇時代、見
京阪神も緊急事態宣言から脱しそうであり、欧米から不思議の目で見られるコロナ対応。囁かれたBCG接種の対新型コロナ免疫効果が、日本株で歴然と効いていると数字に現れました。ミラクル日本の秘密が解けました。日本株接種国は人口百万人当たりの感染者が概ね百~2百人、百万人当たり死者はことごとく一桁で済んでおり、死者で数百にもなる欧米各国と桁が二つ違います。新型コロナ感染上位20とBCG日本株接種国の一覧を《BCG World Atlas, 2nd Edition》を基本に、《COVID-19とBCG接種(その4)》や《BCGワクチンの国際参照品制定とWHO基準改定について》などで得た接種データを加え作成しました。統計はロイターまとめを採用し日本株全員接種国を色分けしました。(各種BCG接種が新型コロナウイルス感染にどれほど効果があったか、世界的な感染拡大でデータが出そろってきました。拙稿、第638回
新型コロナウイルス感染症に対する緊急事態宣言は1週間で感染者増加を止めたと見られます。既に減少傾向に転じており、宣言から3週目に入る今週半ばからどれくらい減らせて日常生活に戻れるかが焦点でしょう。日々の新規感染者数の推移は1週間のサイクルで癖があります。週明けの月曜がぐんと減り、週半ばにかけて大きく増加、日曜日にまた減ります。PCR検査などの手続きや人員のやりくりで発生するものでしょう。こうした癖を取り除くために当日から1週間分を合計して「7」で割る移動平均手法を採用して、全国合計感染者について3月20日から4月19日までのグラフを作成しました。【追補】第二波もピークを越えました。第640回「新型コロナへの社会防衛、第二波も半月で起動」(2020/08/17):時評「新型コロナ抑制の要因、政府は科学的に把握を」(2020/09/12) 7日平均の赤線グラフがピークに達したのは宣言1週間後の
新型コロナウイルス肺炎の中国本土での新規患者発生が1週間で半減しました。増える勢いにブレーキが掛かっており3月前半にも新規発生が止む可能性ありです。湖北省の重症例は急増中で死亡者急増の恐れありです。中国保健当局の発表を全土と湖北省でまとめると、日ごとの患者発生がピークだった4日には3887例をも数えましたが、11日には2015例でした。湖北省以外の省や市の新規発生でピークの3日890例が半分に下がったのは9日444例でした。しかし、湖北省の重症例だけは1週間で3倍増5724例にもなっており、医療施設不足で顕在化しなかった隠れ重症が病床急増などで表に出たと考えられます。以下に1月25日以降の動きをグラフ化しました。(【2/15追補】第630回「中国の新型肺炎、統計激増でも減少傾向は不変」) 流行の中心、武漢市の封鎖や団体客の海外旅行禁止が言われた1月25日の新規患者は湖北省323例、湖北以外
中国大陸部の人口が14億人を超えました。男が女より3049万人多いと報じられるも問題は若年層男女比が1.2に迫っている点と、次の10年で年金受給者が激増し、さらに個人積み立てが大量に使い込まれています。昨年「中国の公的年金の積立金が2035年に枯渇する」との試算が話題になりましたが、実は5年前の2015年第482回「国家のエゴが歪ませた中国年金制度は大火薬庫」で描いたボロボロの実態が目に見えるようになりました。また、1980年から始まりようやく終了の一人っ子政策が招いた極端な男女人口差が適齢期の若者を脅かしています。 10年ごとの国勢調査が今年始まったばかりなので、最新の2010年調査を利用して5歳階級で男女人口を60代までグラフにしました。現実には10歳年上に上がっています。巨大人口なのでグラフの一目盛りは1000万人です。女性に対する男性の比は「0-4歳」1.19、「5-9歳」1.18
吉野彰さんのノーベル賞で2000年の白川英樹さんから始まった受賞ラッシュは19人目。日本の科学力低下は近年歴然で、年に1人という現状から受賞枯渇が迫りメディアも警鐘を鳴らすものの、政策転換は全く見えません。昨年の本庶佑さん受賞報道に比べて違った点は、どのマスメディアもリチウムイオン電池開発を称える記事の後段に日本の論文数や世界での研究注目度が下がってきた憂慮を盛り込んでいました。昨年は国の科学技術白書が悲痛な叫びをあげていたのに報道側が理解していませんでしたが、ようやく追いついたのです。しかし、財政難を口実に惰性に流れる政府が抜本的に政策を改める気配はありません。 昨年の第593回「本庶ノーベル賞は日本科学力失速で歯止めにならず」をはじめ、一昨年の英ネイチャー誌特集「日本の科学力は失速」を理解しようともしなかった問題を取り上げた第554回「科学技術立国崩壊の共犯に堕したマスメディア」など連
世界各地の農業に甚大な被害を与えてきたガ、ツマジロクサヨトウが台湾上陸から1カ月で日本に侵入しました。トウモロコシ、稲など幅広く食べ世界拡散の過程で使われた農薬に耐性を持ってしまった恐ろしく厄介な害虫です。日経新聞の5日付《農作物に脅威のガ、日本に侵入 鹿児島で幼虫を確認》が《農林水産省は5日までに、鹿児島県南九州市の農場で、イネやトウモロコシに寄生する害虫のガ「ツマジロクサヨトウ」の幼虫が日本で初めて見つかったと発表した》《南九州市では、飼料用トウモロコシから見つかった。県が近隣自治体でも調査すると、似た虫の報告が寄せられ、確認を急いでいる》と報じました。幼虫発見は3日です。 6月の第611回「駆除至難害虫が台湾に到達、日本へは稲作が心配」で使った中国での拡散ぶりを示す地図に、日本侵入を書き加えました。今年はじめのミャンマーから中国雲南省へ侵入から、6月初めの台湾上陸、そして日本へです。
62人死亡、600人以上負傷で重体34人と報道された中国江蘇省塩城の化学工場大爆発。断片的ながら伝えられる現地情報から、あまりにもお粗末な工場安全管理であり、当局はそれを知っていたと判明しました。死者165人、行方不明者8人、負傷者798人を出した天津大爆発事故の教訓は生きていなかったようです。 事故は21日午後2時48分ごろ工業団地で起きており、工場周辺の16社も壊滅的な被害を受け、数キロ離れた民家の窓枠が多数、爆風で壊れています。上の写真のように跡には巨大な穴が出来ており、AFPは「中国史上最大級の被害をもたらした産業災害」と報じています。中国国内の最新ニュースをネット検索すると、3月22日「中央網」(中国語)が原因をこう推測しています。爆発は2回でした。 《情報筋によると、事故の原因は、プラントから漏れた天然ガスがニトロベンゼン製造装置の爆発を引き起こし、それがメタノールとベンゼンの
昨春、英ネイチャー誌特集が「日本の科学力は失速」と打ち出しても無視したメディア各社がいつの間にか犯人探しをしています。拝見してポイント外れの原因は見える範囲で取材している限界と根深い底流への無知です。一時は「国立大が悪いんだ」と言っていた日経新聞が運営交付金継続削減の弊害を認め始め、ますます混沌として来ました。昨4月の第554回「科学技術立国崩壊の共犯に堕したマスメディア」で紹介したネイチャーの論調と、朝日新聞の《日本の研究力低下、悪いのは…国立大と主計局、主張対立》にある両者の意見をまず並べて検討します。 ネイチャー誌特集はこうです。 世界の《全論文数が2005年から2015年にかけて約80%増加しているにもかかわらず、日本からの論文数は14%しか増えておらず、全論文中で日本からの論文が占める割合も7.4%から4.7%へと減少しています》《他の国々は研究開発への支出を大幅に増やしています
京大に生命科学研究で俊英を生み続けた早石修研人脈があります。誰かがノーベル賞と言われた中で本庶佑さんが医学生理学賞を射止めました。2年前の大隅さんが東大で認められず裸で出直した研究経緯と違いすぎます。大隅さんが第542回「ノーベル賞・大隅さんの警鐘は政府に通じまい」で紹介した強い科学政策批判をしたのと比べ、本庶さんは「基礎科学にもうちょっとお金をばらまくべき」と述べているに過ぎません。科学に十分お金が掛けられない政府が進めている「選択と集中」政策で、本庶さんは「集中側」で研究人生を送ってきた方であり、批判が迫力不足なのです。政府は本庶受賞で胸をなでおろしている観さえあります。 国の科学技術白書を昨年は第557回「やはりノーベル賞大隅さんの警鐘を無視した政府」で、今年は第584回「科学力低下と悲痛な科学技術白書が見向きされず」で論じました。 今年の科学技術白書が取り上げた「日本の論文数、注目
北海道ツアーの最中に震度7を記録した胆振東部地震に遭遇し、屋根の重さが地震被害に直結していると知らされました。瓦屋根が存在せずトタン屋根の民家が立ち並んでいるため同規模の熊本地震よりずっと軽微でした。北海道のメディアは私のように西日本の地震を取材したことがないので「道内で初の震度7」がニュースと考えていますが、同じ震度7を記録した2016年の熊本地震と比較した下の表を見れば、考え違いが分かるでしょう。北海道で震度5以上を記録した範囲は熊本県の大きさに近く、人口は熊本の175万人に対して北海道は大都市札幌が入っているので300万人を超えます。 北海道の被害集計はまだ続行中で地震10日目、15日午前10時現在です。これから確認が進んでも住宅全壊105戸、半壊125戸、一部損壊670戸の状況が劇的に変わるとは考えられません。熊本では住宅全壊8663戸、半壊3万4498戸、一部損壊15万4074戸
ラオスのダム決壊は千人以上が行方不明とも伝えられ深刻です。判明したデータからは土を固めただけの補助ダムが強固なメインダムより低く造られ越流を起こして決壊、緊急放流が遅れたのも一因になったと見えます。アースフィルダムは堤防を越流させると土が流されて損傷しますから、コンクリートダムに比べて2割大きな洪水でも耐えられるように設計するのが建設業界の常識のようです。また7月23日の決壊に先立ち、建設にあたった韓国企業は20日にはダム堤に異変を確認していたのですから緊急放流を早期に決断するだけでも惨事は防げたでしょう。 上は決壊の日からツイッターなどに出回っていた写真ですが、どの場所で何時ごろに撮影されたか不詳でした。vop.co.krの《ラオスのダム崩壊、設計・施工に釈然としない疑惑》(韓国語)によると、地域の市民活動家団体である「LaosFAB」が写真をフェイスブックページにあげ住民の避難を促した
2年間で29%も最低賃金を上げると決めた韓国。大統領選の公約実現に突っ走る無謀さにIMFやOECDから「速すぎる」と諌める声が出ています。改定された東京の最低賃金をも上回り、日本の地方と大差になります。貧困層救済を掲げても、売上増が伴わないのに人件費だけ大幅増加すれば商品やサービスの値上げや雇っている人員の削減に向かわざるを得ず、すでに徴候が現れています。国際競争力にも響きます。マスメディアも社説などで警鐘を鳴らしますが、韓国政府は聞く耳を持たないようです。 文在寅(ムン・ジェイン)大統領が選挙公約で時間当り最低賃金1万ウォン(約千円相当)を掲げたのが発端です。昨年は16.4%も引き上げ、今年は引き上げ幅10.9%と決めたのを受けて、中央日報日本語版が《IMFが警告「韓国の最低賃金引き上げ速度は速い」》と報じました。 《国際通貨基金(IMF)が韓国の最低賃金引き上げスピードがとても速いと指
ラオスで23日にダムが決壊して少なくとも26人が死亡し、131人が行方不明になった事故は、設計施工の韓国企業による人災が濃厚です。高さ73.7メートルもあるのにコンクリートでないアースフィルダムでした。米国のstartribune.comは事故の3日前からダムの弱体化が観察されたと伝え、「ラオスで進行している70以上の水力発電プロジェクトは、ほとんど民間企業が所有、運営しており、当局が即時にダムの計画、設計、管理を検討しなければならない」と警鐘を鳴らしました(Questions raised as villages dig out from Laos dam collapse)。 上の図は決壊したダムを運営している「Xe-Pian Xe-Namnoy Power Company's」(PNPC)のウェブから引用したプロジェクト構造図に手を加えました。高地の山間にダムを造って水を溜め、落差を
6月に発表された平成30年版科学技術白書は日本の科学研究が近年失速、世界で存在感が無くなりつつあると悲痛なのでした。それから1カ月、マスメディアから格別に見向きもされず、忘れ去られようとしています。取り返しがつかないほど科学力を低下させた元凶は2004年の国立大学法人化を始めとした政府の科学技術政策にあります。科学技術白書が政策の欠陥を封印して、現象としてだけ科学力失速を嘆くのですから、基礎知識を持たない「科学記者」はおざなりに報じるしかなくて当たり前ですが、白書も触れざるを得なかった2017年の英ネイチャー3月特集の日本失速指摘を読めばはっきり書いてあります。 2017年4月の第554回「科学技術立国崩壊の共犯に堕したマスメディア」で引用したネイチャー日本語プレスリリース記述を再掲しましょう。 世界の《全論文数が2005年から2015年にかけて約80%増加しているにもかかわらず、日本から
日本とは桁違いで2016年に145兆円まで膨らんだ米国の学資ローンで高額借り入れ者の返済が行き詰まっています。逆に借金が増え、国家財政に大穴が開く恐れ大とブルッキングス研究所の研究者が警告しています。借入額の制限などの対策が必要と言います。日本では日本学生支援機構の奨学金を含めても学資ローンの規模は10兆円ほどながら、2012年に書いた第302回「米国の学資ローン返済地獄に近づく日本」当時に比べて借りているローン額はやはり増えています。 2月16日付けブルッキングス研究所リポート《Most students with large loan balances aren't defaulting. They just aren't reducing their debt》のフルテキスト版にあるグラフ「FIGURE 8」を引用しました。借入額5万ドル(約530万円)の上下2グループの返済ぶりを4
日経新聞が連日、日本の科学力失速の元凶は国立大と言わんばかりの論陣を張っています。2004年の国立大学法人化以降、論文数の世界シェア急降下を問題視ですが、法人化そのものに疑問を持たないから不思議です。世界2大科学誌のひとつ英ネイチャー誌が3月特集で「日本の科学力は失速」と明確に打ち出し、諸外国が研究開発への支出を大幅に増やす間に日本政府は大学補助金を削減したと指摘したのも耳に入らないようです。 4日付の《組織管理改革に遅れ 国立大の研究力低下》に掲載されたグラフで、まさに危機的状況を映しています。記事は日本総合研究所調査部の河村小百合・上席主任研究員が寄稿した形になっています。 《国立大学関係者からは低迷の要因を国の運営費交付金抑制に求める声がしばしば聞かれるが、本当にそうなのか》《国から国立大学法人への支出の推移をみると、確かに運営費交付金は法人化以降ほぼ1兆2千億円程度で横ばいとなって
習近平独裁体制を確立した中国共産党大会前に公安当局はネット上のチャットグループでも政治について語れない規定を設けました。個人の日常を掌握していま何をしているのかまで監視するSF映画の社会が近未来です。習氏が総書記に就任する前年、2011年にあった高速鉄道事故で政府の強い圧迫に晒されながらも『今度は本物、高速鉄道事故で中国メディア反乱』で紹介した活気はどこに消えてしまったのか、隔世の感ありです。報道の自由どころか、個人が仲間内で意見表明する自由すら無くなる恐ろしさ。それが世界人口の2割、14億の民に課されています。 7月に第560回「中国は個人情報を統一管理、雁字搦め社会を志向」を書いた際には、正直なところ全国民14億人を対象にするのは無理で、9000万人近くいる共産党員を統制するのかなと思っていました。ところが、次々に伝わる関連情報は想像以上でした。 監視カメラで顔認証システムを使って赤信
前原民進党代表の希望の党への合流表明以来、何か大きな政治情勢転換が予感された2週間。希望と立憲民主へのツイート集中が起きたのですが、公示日に至って泡沫のように収まってしまい、期待外れに終わったようです。フォロワー数が自民党を上回ってトップになったと騒がれた立憲民主党も実際にツイートされた数はさほどに伸びません。希望へのツイート大膨張も民進合流表明と希望の候補者選別による立憲民主結党に至る騒ぎの反映でしか無かったようです。YAHOO!リアルタイムの「ツイート数の推移」から読み取った1日毎の数字をグラフ化して掲げます。 希望の党のツイート数が9月28日、衆院解散の日に75000ほどのピークに達し、10月5日、6日にも7万を超えている点が目立ちます。「希望の党」だけは「希望」で検索すると無関係なツイートを大量に拾うため党名で検索しています。実際のツイート数はもう少し多い可能性があります。二つのキ
来年開く平昌冬季五輪の選手団と観客の大量輸送強化を目指した列車制御システムの試験が失敗しました。停止した機関車に自動停止が掛かるはずの後続の機関車が追突した失態で、韓国技術のいい加減さがまた露呈です。朝鮮日報の《平昌五輪用の列車2台が試運転中に衝突、7人死傷》は13日未明に追突した側の機関士(45)が死亡、追突された側を含めて6人が重軽傷と伝えました。報道ではこうなっています。 《韓国鉄道公社(KORAIL)によると、2台の列車は最近、自動列車停止装置(ATP)の改良作業を終えて、この日は作動テストを実施していた。ATPは制限速度を超えたり前方に別の列車がいたりすると機関室に異常信号を送り、自動で列車を停止させる装置だ。2台の列車は来年2月に開幕する平昌冬季五輪で選手団と観客を円滑に輸送するために、水色-西原州区間(108.4キロ)の運行速度を従来の時速100キロから時速150キロに引き上
新聞の科学記者が長く、英ネイチャー誌に日本関係の記事が出れば紹介するのが常識でした。3月の特集に続いて8月、ネイチャー社説で科学力失速と対応策を求める再警鐘が出たのに政府もマスメディアも反応せずです。これに先立って公表された科学技術・学術政策研究所の「科学研究のベンチマーキング2017」は世界の趨勢から取り残された日本の科学技術研究の転落ぶりを明かしています。ネイチャー誌指摘の研究費削減が論文生産に大ブレーキになった点もデータとして現れています。4月の第554回「科学技術立国崩壊の共犯に堕したマスメディア」では3月特集への日経新聞社説の誤解を取り上げたのですが、今回社説はどの新聞も取り上げておらず、あまりと言える「暖簾に腕押し」ぶりにネイチャー編集部の困惑が目に見えます。 「科学研究のベンチマーキング2017」の《報道発表資料》から日本の現状が見えるグラフを2点引用します。最初は2003~
みずほ総研が21日に発表の《リサーチTODAY・東京の外国人住民比率約4%、日本は既に移民国家》が移民流入が人口減少を抑えていると指摘しました。住民基本台帳などによれば人口減が半分になっているのです。興味深いので周辺の統計などをあたってみると、近年流入しているのは圧倒的にアジア人で、かつて外国からの働き手主役だった日系のブラジル人やペルー人など南米人はむしろ微減でした。この10年来取り組まれてきたチャイナ・プラス・ワンの動き、その影響が色濃く出ています。第474回「先進国で稀な人口減少と高齢化をグラフで見る」で近くに迫っていると主張した危機的状況が緩和されそうです。みずほリサーチは「日本の人口対策は日本人の出生率を改善させるよりも、外国人の流入スピードを上げることのほうが即効性がある」とします。 住民基本台帳で外国人の登録者数が分かるようになったのは最近で、上のグラフに示す2014年1月1
ノーベル平和賞を受けた民主活動家で作家の劉暁波氏死去情報を国民から徹底的に遮断している中国政府。目指すのはプライバシーも剥ぎ取る恐るべき個人管理であり、全国民を評価するシステムに向け動き出しています。劉氏ら303名連名で2008年に発表された「08憲章」が求めた民主化・自由化が実現されるどころか、顔認証技術を活用するなどSF映画の世界を彷彿とさせる管理社会が目の前です。昨年10月に「全ての国民をポイント評価へ。役人は2020年からシステム稼働」と伝えられた際には話半分と思っていましたが、今年の動きを見て本気だと理解しました。中央日報日本語版の14日付《「ビッグブラザー」中国…違反横断すれば電光掲示板に顔・名前表示》が《周辺に誰もいない道路。ある男性が車が通っていないことを確認し、赤信号にもかかわらず道を渡ろうと足を踏み出した。その瞬間、付近の大型電光掲示板にこの男性の顔と個人情報が映し出さ
医療崩壊が言われ始めて10年余、ウォッチして来た立場から来年導入の新専門医制度は絶対的な医師不足を激化させるしかないと考えます。大学の医局が再び研修医を抱え込む新体制は潤沢な医師数が無ければ無茶です。医学部の新増設に反対してきたのが医学界の大勢の中、2004年の初期研修医制度導入で研修医が大学を離れて自分で研修先病院を選ぶようになって、医局の力は地に落ちました。新専門医を育てる基幹施設は大学が中心とすることで復活したいとしか見えません。自前の努力で研修医を集めてきた自治体や中小病院が先行きを危惧して当然です。残念なことに、マスメディアは推進側と反対派の主張を両論併記する報道で逃げておく姿勢がありありです。 2006年6月に《医療崩壊が産科から始まってしまった [ブログ時評59》]を書き、翌年には《お産の危機は首都圏にこそ迫っている [ブログ時評83》]で医師数が足りなくて地元で出産できなく
2017年版の科学技術白書を読んでみると、ノーベル賞受賞で大隅さんが発した日本の科学研究への警鐘を政府は予想通り無視したと断ぜざるを得ません。その後の内外からの政策批判にも聞く耳を持たずメディアも同調です。科学技術白書は《特集 2016年ノーベル賞受賞、及び学術研究・基礎研究の振興に向けた我が国の取組》との大特集までして「素朴な疑問に根付いた知的好奇心」から発した大隅さんの仕事を研究関連データを跡付けて称賛、さらに「日本の基礎科学力の揺らぎを生じさせている危機的な課題」にまで踏み込みます。しかし、具体策として挙げられている政策は従来のままであり、それが科学技術白書自身が「トップ10%論文の順位で比較すると、この10年の間に、日本は4位から10位に低下している」と分析している危機の原因になっている問題に触れようとしません。 大隅さんの警鐘は昨年10月に第542回「ノーベル賞・大隅さんの警鐘は
インターネット検索が登場して20年、便利なだけでなく市民の集合知で社会の姿を映し出す機能が非常に危ぶまれる状況になっています。圧倒的シェア首位のグーグルがスマホ利用者の利便を重視し中身軽視に走るからです。商用のネット検索が使われるようになった1997年から、私は検索を活かしたネット評論を書き続けています。グーグル登場は翌1998年であり、ページ相互のリンク関係を集計して出した検索結果ランクは、これまでマスメディアが独占したニュース価値判断を覆し、市民社会自身による価値付け・重み付けと言えるものでした。ところが、例えばヤフー個人ニュースのアクセス統計でスマートフォンが7割を占めるほどになっており、グーグルは2015年にスマホ重視を打ち出して2016年からは更に強化しました。「モバイルフレンドリー」でないサイトは検索結果の順位を大きく下げたのです。 私の「インターネットで読み解く!」からのペー
英ネイチャー誌3月特集が「日本の科学力は失速」と明確に打ち出したのをマスメディアは理解できなかったと言わざるを得ません。科学技術立国崩壊を食い止めるおそらく最後の機を逃し、失政の共犯者に堕しました。ネイチャーによる日本語プレスリリースはこう述べています。世界の《全論文数が2005年から2015年にかけて約80%増加しているにもかかわらず、日本からの論文数は14%しか増えておらず、全論文中で日本からの論文が占める割合も7.4%から4.7%へと減少しています》《他の国々は研究開発への支出を大幅に増やしています。この間に日本の政府は、大学が職員の給与に充てる補助金を削減しました》《各大学は長期雇用の職位数を減らし、研究者を短期契約で雇用する方向へと変化したのです》……この国立大学法人運営費交付金の削減と世界での論文数シェア減少の相関ぶりがひと目で理解できるグラフを用意しました。 2015年の科学
今村復興相が福島原発事故での自主避難者について「帰還は自己責任」と発言した問題には誤解と混乱があります。自主避難に法的根拠がある点について、発言撤回した大臣も追及のマスメディアも認識が足りないのです。1年間に被ばくする線量限度を「1ミリシーベルト(mSv)」とすると放射線障害防止法が規定しています。ところが政府は原発事故による緊急避難として「年間20ミリシーベルト」まで認める運用をしてきました。次々に出ている避難指示解除もこの路線上にあり、医療機関などにある放射線管理区域に当たる線量でも帰還して生活して良いことになっています。故郷に帰りたい高齢者ならそれでも構わないと思うでしょうが、これから子育てをする若い層が「帰れない」と思うのは当然です。避難指示解除で帰らない人も自主避難者に加わることになり「法の下の平等」が根拠である点を再認識すべきです。 放射線障害防止法の条文をそのまま読んでも「年
福島の甲状腺がんは1巡目検査に比べ2巡目で事故当時10歳以下が2.7倍に膨れ上がっています。チェルノブイリ事故で10歳以下が顕著に増え始めた事故6年目が昨2016年に相当すると指摘して警鐘を鳴らします。「第5回放射線と健康についての福島国際専門家会議」の2016年10月提言は「福島におけるこの明らかな甲状腺異常の増加は、高性能な超音波診断機器を導入したために引き起された集団検診効果であると考えられる」と相変わらず現状を無視していますが、事故1~3年目に実施の1巡目結果と事故4~5年目の2巡目結果を比べることすら怠る「専門家」とは何なのか、ほとほと情けなくなります。福島の1、2巡目検査結果と、チェルノブイリ事故で汚染が深刻だったベラルーシ・ゴメリ州の1~5年目と6年目の甲状腺がん登録を比較できるようグラフで並べました。 できるだけ最新の県民健康調査「甲状腺検査」公表資料に基づいて「悪性ないし
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