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衆院選
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先日、京都にご出張の恩師島薗進先生とお会いして、お昼ご飯をご一緒した。文字通り東奔西走していらっしゃる先生から「川瀬君も最近は忙しいの?」と訊かれると、身の置き所もないが、先生と別れたあとに、先生の変わらぬ好奇心と若手の研究までカバーする視野の広さに刺激を受け、そのままジュンク堂に行き、どっさり本を買ってしまった。 明治・大正期の科学思想史 作者: 金森修出版社/メーカー: 勁草書房発売日: 2017/08/18メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る昭和前期の科学思想史 作者: 金森修出版社/メーカー: 勁草書房発売日: 2011/10/11メディア: 単行本 クリック: 29回この商品を含むブログ (12件) を見る昭和後期の科学思想史 作者: 金森修出版社/メーカー: 勁草書房発売日: 2016/06/30メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る故金森
今日は以下の本を読む。比較的薄めの本だが、内容が濃いので、時間がかかった。 ポピュリズムとは何か 作者: ヤン=ヴェルナー・ミュラー,板橋拓己出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2017/04/19メディア: 単行本この商品を含むブログ (5件) を見る「世界に幽霊が徘徊している。ポピュリズムという幽霊が」という昨今なわけだが、実はこの『共産党宣言』をもじった言葉は、1969年段階でギタ・イオネスコとアーネスト・ゲルナーが論文集の冒頭に書いた言葉だそうで、当然日本もこの「幽霊」が徘徊、というか跋扈している状態。そこで、この本を手に取ったわけだが、主にヨーロッパとアメリカ大陸の事例からポピュリズム一般について解説しているこの本、今の日本にも当てはまりそうなことが出てくる出てくる、というのが第一印象。 この著者の立場は明確で、ポピュリズムは確かに「民主主義」から生じたものだが、自分たちだけが
本日、妻と京都シネマにて「アクト・オブ・キリング」を見に行きました。予告編は以前見ていたので、それなりに覚悟はしていたのですが、相当後味の悪い映画でした。はっきり言って、「悪趣味」と言っても良いかもしれませんが、ノンフィクションなだけに、より始末に負えない、と言うのが率直な感想です。 この映画をざっと紹介すると、1965年のスハルトによるクーデターの際、インドネシアでは共産党とそのシンパと思われた人々が民兵(はっきり言えばやくざ、愚連隊の類い)に大虐殺されました。しかしその「犯人」達は罪を許され、現在も大手を振ってインドネシア社会で隠然たる勢力を保ち、普通の生活をしています。この映画は、まずかつて虐殺を犯した人々を追い、彼らが「自分たちの過去の活躍ぶり」を映画にする、というのを追いかけたドキュメントです。ですから、これは単なるドキュメントではなく、彼らの映画撮影現場を写すことで、彼らの内面
僕は2年前の例の事故から、はっきりと反原発論者になったが、「穏やかで、しかも持続可能な反原発運動」を学びたいと思って、鎌仲ひとみ監督の映画のDVD等をまとめ買い。興味のある学生がいたら、一緒に見て見たいな、とも思っている。 原発の、その先へ ミツバチ革命が始まる 作者: 鎌仲ひとみ出版社/メーカー: 集英社発売日: 2012/07/26メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック: 8回この商品を含むブログ (4件) を見るこの本に今まで彼女が撮ってきた映画の概要もあるし、これを読んだ後に、以下のDVDを一本ずつ見ていこうと思っている。ミツバチの羽音と地球の回転 [DVD] 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店発売日: 2012/07/28メディア: DVD購入: 1人 クリック: 4回この商品を含むブログ (4件) を見る六ヶ所村ラプソディー [DVD] 出版社/メーカー: グループ現代発売
岸政彦さんの『同化と他者化』を読了。以下に簡単な読書メモと感想を記す。2年前から、同僚のU杉先生の沖縄実習に参加させてもらうようになってから、元々あった沖縄への興味がますます高まって、この岸さんの本も購入した次第。表紙は「驚きの黒さ」(笑)。生協書籍部で「もしやあれは・・・」と一発で判った。同じナカニシヤ出版で、同じ編集者が手がけた『社会的なもののために』は「驚きの白さ」だが。 同化と他者化 ―戦後沖縄の本土就職者たち― 作者: 岸政彦出版社/メーカー: ナカニシヤ出版発売日: 2013/02/15メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック: 16回この商品を含むブログ (11件) を見るこれは岸さんがおこなったインタビュー調査の集大成とも言うべきもので、戦後、「復帰」前の沖縄から本土に就職して数年そこで過ごして今は沖縄にUターンしている人にインタビューして、そのメカニズムに迫ろうとした
現在講義では、無謀にも精神分析の大雑把なところを教えて、その後「トラウマ」だとか「証言」だとか、近現代史のヘビーな部分に突っ込んでいくことを計画中(ポジショナリティとかポストコロニアル問題とか、元々僕の「得意」な分野に持っていくつもりだが)。そこで慌ててネタ本になりそうなものを買い込む。 兵士たちの戦後史 (シリーズ 戦争の経験を問う) 作者: 吉田裕出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2011/07/27メディア: 単行本 クリック: 12回この商品を含むブログ (6件) を見る「戦争経験」の戦後史――語られた体験/証言/記憶 (シリーズ 戦争の経験を問う) 作者: 成田龍一出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2010/02/24メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 44回この商品を含むブログ (4件) を見るシリーズもので、近代史の大御所のお二方の著作を。戦後にどのように扱わ
この頃学生で、戦前のプロパガンダ映画とか、そっち方面に興味を持つ者が多くなってきたので、この前ふらっと行ったジュンク堂で目についたものをまとめ買い。以下のものは学科図書室行きの予定。 日本映画論 1933-2007――テクストとコンテクスト 作者: 加藤幹郎出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2011/10/28メディア: 単行本 クリック: 8回この商品を含むブログ (8件) を見るやっぱ、この方面では加藤先生の本は買わないとな。日本短編映像史――文化映画・教育映画・産業映画 作者: 吉原順平出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2011/11/30メディア: 単行本 クリック: 9回この商品を含むブログ (4件) を見る記録・史料として貴重だと思って。映画と国民国家: 1930年代松竹メロドラマ映画 作者: 御園生涼子出版社/メーカー: 東京大学出版会発売日: 2012/05/25メ
恩師である島薗進先生の新刊を読了。先生からご恵送いただく。誠にありがとうございます。一週間以上前に頂いていたのだが、内容が濃く、さっと読み進めることができなかった。 日本人の死生観を読む 明治武士道から「おくりびと」へ (朝日選書) 作者: 島薗進出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2012/02/10メディア: 単行本購入: 12人 クリック: 115回この商品を含むブログ (10件) を見るタイトルにあるように、この書は近代日本人の死生観を様々な文学作品や映画を始め、過去に書かれた死生観に関する本から読み解いたもの。 「無宗教」と言われ、またそれを自認している多くの現代日本人でも、さすがに「死」を前にしたときには、実存的な問題にぶち当たらざるをえない。「宗教とは死に対してある種の解答を与える思想や儀礼」という定義を行った学者もいたくらいだ(少なくとも死や死後の世界に言及しない宗教
今日は年度最後の某会議があり、その後研究室で、最近出た後輩大田君の本を一気読み。 オウム真理教の精神史―ロマン主義・全体主義・原理主義 作者: 大田俊寛出版社/メーカー: 春秋社発売日: 2011/03/01メディア: 単行本購入: 61人 クリック: 1,271回この商品を含むブログ (29件) を見る元々、グノーシス主義の研究者の大田君がどんな形で読み解くのかな、と興味を持って読んだのだが、内容としては副題にある通り、「宗教」「死」を遠ざけた近代が(必然的に)生み出した「ロマン主義(そういえば大田君は前著『グノーシス主義の思想―“父”というフィクション』で、ロマン主義的なグノーシス理解を批判していたな)」「全体主義」「原理主義(大田君は原理主義といっても、ほとんど「終末論」に重ねて論じているようにも感じたが)」という三つの潮流(鬼子)が混じり合って(特殊日本的な状況も加味されて)、オウ
今日は、久々の院ゼミ(約1ヶ月ぶりか?)。今日の課題図書は『國體の本義(やっぱ、ここは旧字がしっくり来るよな)』(文部省編、1937年発行)。実は、妻が学部時代のゼミでこれを読んでおり、そのコピーが「発掘」されたので、僕がもらい受け、「たまにはこういうのをみんなで読むのも面白かろう」と思って、レジュメを作らず好き放題にしゃべり合う。 勿論、内容は今から見れば突っ込みどころのオンパレードなのだが、この本の主旨は「そういう賢しらな論理・理屈を越えて日本の国体、ひいては天皇は偉いのだ。なぜなら偉いというのは過去から現在、そして未来永劫続くのだから」とトートロジカルに宣揚することなので、その論理の瑕疵を言い立ててもはっきり言って意味がない。 僕としては、つい習性でこの本の宗教観などに注目してしまうのだが(例えば仏教に関してはやはり「鎌倉新仏教中心史観」ぽいなあ、とか)、それよりも気になったのは、戦
昨日、北朝鮮と韓国が軍事衝突した、というニュースはさすがに驚いたが、それよりもある意味驚いたのが、今日流れた「それを受けて、朝鮮学校への無償化は適用外へ」というニュース。 何、それ? あのー、朝鮮半島の軍事衝突とこれに、どんな関係があるのか説明してくれませんか、というのが素朴且つ率直な感想。怒りを通り越して、情けないばかり。自民党よりはましだろう、とある意味えこ(判官)贔屓してきた民主党政権だが、さすがに弁護の言葉も浮かばない。単なる「いじめ」だよ、これは。思うところは、このブログにほとんど書かれてあるので、贅言は控えるが、短期的にも自慰行為にすらならないし、長期的に見たら失点というも愚か、本当に対外的にもダメさをアピールしているだけだ。いや、国内的にも、僕のような、少し「左」の民主党を消極的に支持してきた人にそっぽを向かせる結果となるだろう。 追記1:たまたまソウルに出張中の友人からメー
旅行中、飛行機の中で読み終えたのは内田樹先生のこの本。 街場のメディア論 (光文社新書) 作者: 内田樹出版社/メーカー: 光文社発売日: 2010/08/17メディア: 新書購入: 37人 クリック: 520回この商品を含むブログ (193件) を見る相変わらず面白いのだが、一番僕が得心したのは、電子書籍と本棚に関しての見解(第6章)。要するに、本棚というのは「他人にこのような本を読んでいる(本当は読んでないんだけど)人として見られたいという見栄があらわになる」アイテムであるのと同時に、「このような本をいつかは読むぞ」という自分に対する叱咤の機能も持っている、というくだり。これが電子書籍にはできないところだ、というのが内田先生の意見。僕の研究室の本棚なんて、まさにこれだよね〜。僕の研究室にある本は、恥ずかしいことだけど、8割は読んでないんじゃないかな。でも、開き直っていうと、蔵書の半分以
今日は京都仏教会の研究会に出席。テーマは公益法人としての宗教法人及び税制について。よく「宗教法人に課税せよ」という感情的な意見が特にネットでは散見(どころじゃないな)されるわけだが、今日はそのあたりの法的な問題性を櫻井圀郎先生からじっくり聞かせていただく。僕はもちろん法学に関しては素人だが(今日の講義を聴いていて、「ああ、やっぱ法学部に行かなくてよかった」と改めて胸をなでおろした。僕には向いていない)、小泉改革以降の「取立側」のなりふり構わぬやり方を知っただけでも勉強になったといえる(例えば、ペットの葬儀をしたある宗教法人に対して、その遺骨を納めているのは「倉庫業」であり収益事業だ、だからその分に関して金払えとか、信徒用の公衆電話を置いたら「通信業」をやっているとか。結構ひどいんだよね)。 教会と宗教法人の法律 作者: 櫻井圀郎出版社/メーカー: キリスト新聞社発売日: 2007/03メデ
龍馬伝の延長で、そのままNスペの「日本と朝鮮半島 第5回 日韓関係はこうして築かれた」を見る。今回は戦後の日韓関係がテーマ。日本の植民地支配とそれに対する補償問題が、国交正常化の足かせになっていたのはよく知られているが、結局は経済発展を最優先する朴正熙政権によってその辺がなし崩しになり、現在に至っているわけだが、にしても、岸信介とか、中曽根康弘とかの「反共保守」の面々の働きぶりがよく判る作りになっていたと思う。もう一つ言うなら、この番組が、非常に分かり易い「ポストコロニアル」状況の教科書になっていたとも思った。要するに、旧宗主国は旧植民地に独立後も結構色々要求するし、旧植民地もある程度それを受け入れざるを得ない、ということとか。もちろん、朴正熙をはじめとして、当時の韓国首脳がほとんど日本の教育を受けてきた「エリート」であったことも、ポストコロニアル的な意味で重要だが。 日韓交渉のことは、僕
今日、恩師の新書を読了。 国家神道と日本人 (岩波新書) 作者: 島薗進出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2010/07/22メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 3人 クリック: 63回この商品を含むブログ (24件) を見る先生のこの10年ほどの「国家神道論」を追っている僕からすれば、半ば復習のようなものだが、やはり強調するべきは、神社神道にだけ限定するような国家神道論はよろしくない、特に皇室神道・祭祀を抜きにした国家神道論はダメだということ。僕も先生の顰みに倣って、自分の論文では「国家神道システム」という用語を用いているのは、神職・神社神道の活動以外にも「国家神道」というのは浸透していたと捉えているからだ。具体的には、仏教各宗派や、新宗教も、キリスト教も、積極的に(ここが重要。下支えなくして、あそこまでの「猛威」は振るえない)このシステムに荷担したのである。勿論、教育現場にお
大学院の先輩で、色んな学会・研究会でお世話になっている樫尾直樹先生から、御著書を頂いた。ありがとうございます。 スピリチュアリティ革命―現代霊性文化と開かれた宗教の可能性 作者: 樫尾直樹出版社/メーカー: 春秋社発売日: 2010/03/12メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 49回この商品を含むブログ (6件) を見るいままで『スピリチュアリティを生きる―新しい絆を求めて (せりかクリティク)』や『スピリチュアリティの社会学―現代世界の宗教性の探求 (SEKAISHISO SEMINAR)』という論文集をまとめてきた樫尾さんの単著なわけだが、この本が普通の研究書と一番違うのは、僕が見るに樫尾さんが自覚的にスピリチュアリティを称揚するアジテーターになっていることだと思う。もっと俗っぽくいうと、玉石混淆のこの手の運動から、普遍性を持つ良質のものを読者に提示する「ソムリエ」のような役
今日は昨日の延長で、研究室の紙ゴミの片付けを夕方まで。体ガタガタ。整体に行ったのが台無し。 その後、本を読んでもなかなか文字が入ってこなかったが、何とか読みかけのこの本を夕飯食べながら読了。心霊写真とか『うしろの百太郎』は兄と二人で大騒ぎしながら読んだなあ、と懐かしく思う。 オカルトの帝国―1970年代の日本を読む 作者: 一柳廣孝出版社/メーカー: 青弓社発売日: 2006/11メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 29回この商品を含むブログ (18件) を見る何人か知り合いも執筆なさっているが、僕にとって一番面白く為になったのは、吉永進一先生の論文(「円盤に乗ったメシア―コンタクティのオカルト史」)。コンタクティ、いわゆるUFOを目撃したり宇宙人とコンタクトした、と主張する人々のことだが、これの出現の前史として、二十世紀初頭の、神智学的なオカルトブームがあることを教えてもらった。
ネットをウロウロしていて、佐藤哲朗(ajita)さんの記事を見て購入、一気に読み終える。誤解のしようがないほど、どストレートなタイトル(本当は検察批判もけっこうなウェイトを占めているんだけど)。 死刑と無期懲役 (ちくま新書) 作者: 坂本敏夫出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2010/02/10メディア: 新書購入: 2人 クリック: 47回この商品を含むブログ (13件) を見る著者は、元刑務官。何人もの死刑囚と遭い、死刑の現場も見てきた人。ということで、まさにモロに「当事者」。その当事者性にぐいぐい引き込まれる。 死刑に関しては、以前に例えば郷田マモラのマンガ『モリのアサガオ』とか、森達也監督の本も読んできたけど、刑務所に勤めていた人の声っていうのは初めて。最初は、一種の自己弁護とか、要するに「向こう側」の立場で書かれたものじゃないかと思っていたら、さにあらず。冤罪を作り出す検察
今日読み終わったのはこの本。 日本思想という病(SYNODOS READINGS) 作者: 芹沢一也,荻上チキ,中島岳志,片山杜秀,高田里惠子,植村和秀,田中秀臣出版社/メーカー: 光文社発売日: 2010/01/19メディア: 新書購入: 14人 クリック: 314回この商品を含むブログ (49件) を見る5人の先生の講義録のような体裁なので、サクサク読める。僕も、近代日本思想史(と自称しても許されると思う)研究に携わっているので、元々興味のある話が多く、特に今まで謦咳に接することのなかった(本も積ん読のまま)植村和秀先生のお話が特に面白かった。 植村先生の話をザックリ紹介すれば、近代日本思想史の見取り図として「理」と「気」という2軸で象限図を作り、「理」の左側に丸山眞男、右側に平泉澄を置く。そして「気」のプラスの頂点に西田幾多郎、マイナスの方に蓑田胸喜を置く(p.237)。詳しくは本文
今更だけど、息抜きにこの本をゲット。休憩時間に読んでたら止まらなくなり、一気に読み終える(一時間ちょっとで読めちゃうけど)。 超教養 (ダ・ヴィンチ ブックス) 作者: さとう珠緒出版社/メーカー: メディアファクトリー発売日: 2007/03/14メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 36回この商品を含むブログ (10件) を見るちょっと前にウェブ連載をしていたものの書籍化(ウェブにはお試しページも残っているので、興味ある方は是非)。その時に、僕個人は既にブクマしていたのだけど、買いそびれているうちに、「そういえば」と思い出し、急遽古本屋でゲットしたのです。 パターンとしては、要するに「褒め殺し」ですね(笑)。ベストセラーを一刀両断にするその手際は、時には戦慄ものです。僕が気に入った、いくつかのキラーフレーズを。 私、昔からオタク系からは好かれないんです。グラビアっぽいことをしてい
今朝の新聞を読んで、暗澹たる気持ちになる。一部引用する。 大阪府立大学(堺市中区)は26日、現行の7学部を4学域に再編し、総合大学から理系中心に転換する改革案を固めた。津戸正広・経済学部長が「教育内容の議論が不十分」とする反対声明を報道陣に配るなど学内の異論は収まっていないが、府は12月に新体制の方針を決め、2011年4月のスタートを目指す。 「大阪府立大、改革案をまとめる 理系中心に転換」 僕が文系の人間だから言うのではない、ということをまず強調しておきたいが、こういう強攻策で、本当に誰が得をするのか。一度無くしてしまったら、もう後戻りはできないのに。僕は寡聞にして、大阪府立大が「定員割れ」を起こしたりしているとか、そういう「判りやすい」取りつぶし理由を聞いたこともないのだが(近隣の大学と学部、学科が重なっている「競争状態」なのにちゃんとしているのだから、まさに「市場原理」でも合格してい
「死」をどう扱うかという問題は、どうしても宗教性がまとわりつくものだが、日本の「靖国」とかを考える際に、比較対象として最近はお隣の韓国の事情を復習したりしているところ。 烈士の誕生―韓国の民衆運動における「恨」の力学 作者: 真鍋祐子出版社/メーカー: 平河出版社発売日: 1997/07メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (2件) を見る光州事件で読む現代韓国 (20世紀を読む) 作者: 真鍋祐子出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2000/05/01メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (2件) を見る真鍋先生のこれらの本を読んで、学生運動・労働運動での死者がどのように「祀られていくか」ということや、国家によって「死」がどのように意味づけされるか、ということをこの数日考えたりしている。あと、知り合いの池映任先生からいただいた博士論文をようやく読み
今日は家でゆっくり読書。この前買ったこの本をちゃらっと読む。確かに面白可笑しく書かれており、著者たちの文才に感心。 完全教祖マニュアル (ちくま新書) 作者: 架神恭介,辰巳一世出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2009/11/01メディア: 新書購入: 31人 クリック: 423回この商品を含むブログ (78件) を見る真面目な感想を少し述べると、徹頭徹尾機能主義的な宗教観でもって書かれているこの本は、少しおふざけの度がきついとはいえ、なかなかの宗教学入門書になっていると思う。そもそも「宗教学」という学問自体、「宗教も所詮は人間の営為である」というところから出発している罰当たりな学問なので、多かれ少なかれ、僕のような宗教学者はこの本の著者と共通した考えを持っているのは確か。 僕も「宗教学」という講義で、身も蓋もないことを良く喋って「先生から聞くと、宗教って全然ありがたみが感じられない
今日の院ゼミで読んでいた本はこれ。 歴史としての戦後日本〈下〉 作者: アンドルーゴードン,Andrew Gordon,中村政則出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2002/01/08メディア: 単行本 クリック: 13回この商品を含むブログ (3件) を見るこの中の、フランク・アパム「社会的弱者の人権」という論文について討議。この社会的弱者は「被差別部落・女性・公害病患者」という三者。この三者をまとめて論ずる、という視点がまず面白いと思った。レジュメはW邊君に作ってもらう(彼は近世の被差別民を研究しているので、うってつけ)。 ただ、この論文の被差別部落に関する記述は、ちょっと怪しいところも多く(社会学者の福岡安則先生が批判している。僕は学生時代、福岡先生の講義を聴いて、在日コリアンについてのレポートを書いたことがある。懐かしいな)、そのまま鵜呑みにすることができないが、アメリカの「ア
2、3週間前に注文したのがようやく届く。ちょっとマイナーなもの(失礼)を注文したせいか。 近代報徳思想と日本社会 作者: 見城悌治出版社/メーカー: ぺりかん社発売日: 2009/08メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (1件) を見る見城先生とは昔学会でお会いしたことがある。見城先生の論文で、植民地朝鮮において報徳思想がいかに活用されたか、というのがあったので、それを含んでのこの大著の出版は嬉しい。社会理論としての宗教社会学 作者: 望月哲也出版社/メーカー: 北樹出版発売日: 2009/08メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 4回この商品を含むブログ (1件) を見る学会での良くお声をかけてくださる望月先生の本。ろうそくデモを越えて―韓国社会はどこに行くのか (希望叢書) 作者: 川瀬俊治,文京洙出版社/メーカー: 東方出版発売日: 2009/09/27メ
今日も体調優れず、休日出勤は取りやめて、家でダラダラ読書することに。今日読んでいたのはこれ。 足利義満 消された日本国王 (光文社新書) 作者: 小島毅出版社/メーカー: 光文社発売日: 2008/02/15メディア: 新書購入: 2人 クリック: 29回この商品を含むブログ (33件) を見るこのところ、沢山の歴史書を書きまくっている小島先生だが、これは足利義満が当時の東アジア情勢の中で、いかに振る舞ったかを中心に見れば、皇国史観以来の歪んだ南北朝観も是正されるのでは、という意図(野心?)で書かれたものと評して良いだろう。中世史の専門家からは色々批判する点もあろうけど、僕のような素人には非常に面白くサクサク読めた。 僕にとって一番興味深かったのは、鎌倉から室町期に掛けて流入した朱子学という学問が、いかに「禅譲」という概念を否定して「天命」を強調しつつ、体制教学として「革命」とか「放伐」と
機内で白ワインを飲みながら読み終わったのはこの本。 天皇はなぜ生き残ったか (新潮新書) 作者: 本郷和人出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2009/04/01メディア: 新書購入: 3人 クリック: 101回この商品を含むブログ (28件) を見る最近、大学院の総合ゼミで中世史の発表を聞く機会も多いので、この手の新書をちょこちょこ読んでいる。読みやすい文体ながら、なかなか問題提起的というか、論争的 polemical な本。 本郷先生は、権門体制論とか、いわゆる定説の再考を提起しており、気の弱い僕などはその姿勢だけでも尊敬してしまう。よく天皇と将軍は「権威と権力」と定式化され、それをヨーロッパのローマ教皇と各国の王、イスラーム帝国のカリフとスルタンと比定されたりしてきたわけだが、そういう「安直なものの見方」を本郷先生は拒絶する。要するに「中世の天皇は権威というほどのものでもなかった」と
昨日、ゼミの打ち上げでもマンガの話で盛り上がったのだが「先生はブログを見るに、いつもマンガを買いまくってますけど、家の本棚はどうなっているんですか?」と学生から真っ当な質問。いや、ご想像の通り、自宅も大変なことになっていますよ。書斎には床に直置きしたマンガの山が筍の如く林立しています(「わが家に来た者は、更におぞましきものを見るであろう(クシャナの声で脳内再生)」←「とっくに見ています(妻談)」)。 というわけで、「場所を非常に取り」「歴史や宗教などに関係するモチーフが読み取れる」良質な作品をセレクトして、少しずつ研究室に入れることに決定(大学研究室も、それほど余裕があるというわけでもないのですが、自宅よりはマシ)。まずは、以下の2作品を持ってきます。 MASTERキートン (1) (ビッグコミックス) 作者: 勝鹿北星出版社/メーカー: 小学館発売日: 1988/11メディア: 新書 ク
今日は研究室で、以下の本を斜め読み(関係ある部分だけ、ざっと)。 現代と仏教―いま、仏教が問うもの、問われるもの 作者: 末木文美士出版社/メーカー: 佼成出版社発売日: 2006/12メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 29回この商品を含むブログ (8件) を見る社会をつくる仏教―エンゲイジド・ブッディズム 作者: 阿満利麿出版社/メーカー: 人文書院発売日: 2003/06メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 15回この商品を含むブログ (12件) を見る日本の社会参加仏教―法音寺と立正佼成会の社会活動と社会倫理 作者: ランジャナムコパディヤーヤ,Ranjana Mukhopadhyaya出版社/メーカー: 東信堂発売日: 2005/06/01メディア: 単行本 クリック: 21回この商品を含むブログ (2件) を見る要するに、社会に何らかの形で関わろうとする(エンゲー
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