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Netflixシリーズ「地面師たち」配信記念鼎談 綾野 剛(俳優)×豊川悦司(俳優)×新庄 耕(原作者)「失われた光、彷徨える肉体」 世界独占配信中のNetflixシリーズ「地面師たち」。 映像化困難といわれたクライム・サスペンスの主演を見事に演じきった俳優のお二人と、原作を手掛けた新庄耕さんとの対話が実現しました。 原作者も唸うなった、映像の迫力や俳優陣の怪演ぶりとは? それぞれの役の難しさや見どころについても、じっくり語っていただきました。 構成/安里和哲 撮影/山本佳代子 ヘアメイク/石邑麻由 (綾野)、山崎聡 (sylph) (豊川) スタイリスト/佐々木悠介 (綾野)、 富田彩人 (WhiteCo) (豊川) 新庄 率直に言って心が震えました。全七話で六時間ほどあると思うんですが、一本の映画を観るような感じで一気に観てしまった。ほんの数日前に試写を観させていただいたんですが、いま
人気落語家・立川志らくさんが、師匠にして伝説の噺家である七代目・立川談志との日々を綴った自伝エッセイ『師匠』。 本誌連載時から話題を呼んだ同作が、まもなく単行本として刊行されます。 そこで、かつての談志が絶大な信頼を寄せ、「俺の未練を置いてく」とまで言わしめた爆笑問題・太田光さんをお迎えして、ふたりが目の当たりにした談志の凄すごみ、知られざる素顔について語り合っていただきました。 対談は、在りし日の談志が暮らした「練馬の家」にて。いまだ冷めない情熱の余韻とともにお届けします。 撮影/大西二士男 志らく 太田さん、この書斎には以前もいらっしゃったことありましたっけ? 太田 えぇ。5、6年前ですかね、テレビの収録で一度お邪魔してます。もうほんと、談志師匠の残り香だらけで(笑)。この机と椅子に座って書き物をされてたんだなぁとか、書棚を眺めるだけでも古今東西、やっぱりすごい勉強家だったんだなってい
ポルトガルの国民的詩人フェルナンド・ペソア。自分とは人格の異なる人物を何人も創造し、書き分けたその多面的な作品は、タブッキ、ボルヘス、ヴェンダースなど多くの芸術家を魅了し、詩群誕生一世紀に及ぶ今日ますます輝きを増している。 長年ペソア作品を日本で紹介してきた澤田直氏がこのほど『フェルナンド・ペソア伝 異名者たちの迷路』を上梓したことを機に、自身もペソアに深く魅せられてきた文筆家でゲーム作家の山本貴光氏が、その創造世界について著者の澤田氏と語り合った。 構成/長瀬海 撮影/中野義樹 山本 ペソアが書いたものとはじめて出会って以来、ずっと大好きで繰り返し読んできました。澤田さんが「すばる」でペソア伝の連載を始めたときは本当に嬉しくて、毎号真っ先に読んでいました。今回、本のかたちになって欣喜雀躍しています。とはいえ、私はペソア研究者でもなければ、文学の研究者でさえありません。今日は一人の愛読者と
ふと気づくと世間から浮いている。私が古代ギリシャ人になっているからだ。 四六時中古代ギリシャ人の書いたものを読み、語り、再現などしているので、頭の中で常に彼らと過ごすことになる。 すると、日常生活でも 「それは古代ギリシャ人ならこうするのに」 「正装で来いと言われたので月桂冠を被ってきただけですが?」 「おのれ、神々の怒りを畏れぬ現代人どもめが!」 などと思考が古代ギリシャ人に乗っ取られて、浮く。
雑誌「青春と読書」の連載エッセイ「問いはかくれている」で、流行語に隠された問いの考察を展開する哲学研究者の永井玲衣さん。 今回会ってみたいと願ったのは、自著の『水中の哲学者たち』に帯文を寄せてくれた詩人の最果タヒさん。 詩人の言葉に最も心惹かれるという永井さんが、言葉と速度の関係や、詩の言葉と日常で不意に口からまろび出る鮮烈な言葉との違いなど、最果さんとともに言葉の深遠さに迫りました。 撮影/江原隆司 構成/綿貫あかね (2023年2月14日 オンラインにて収録) 永井 最果さん、私の著書『水中の哲学者たち』に帯文を寄せていただき、ありがとうございます。「もしかして。あなたがそこにいることはこんなにも美しいと、伝えるのが、哲学ですか?」と本に言葉の宛先を向けてくださり、とても嬉しかったです。今回初めてお話しするのが楽しみでした。 最果 ありがとうございます。最初、この本のテーマが「話すとい
倉本さおり×山本貴光×米光一成 古谷田奈月『フィールダー』をめぐる、ディープ・ダンジョン・ディスカッション【前編】 8月下旬の刊行以来、読む者にじわじわと衝撃と熱狂を及ぼしつづけている古谷田奈月さんの最新刊『フィールダー』。ソーシャルゲームが一つの大きなモチーフである本作をめぐって、ゲーム愛好家のライター・倉本さおりさん、ゲーム作家で文筆家の山本貴光さん、同じくゲーム作家でライターの米光一成さん、3名の鼎談が実現した。 問いの奥へ、奥へ……。まるでダンジョンに誘われるかのような本作の読書体験について、議論は縦横無尽に展開。まずは前編、作中に登場するゲーム「リンドグランド」と、登場人物たちとゲームの複雑な関係性を深掘りする。 構成/山本ぽてと 倉本 今回の鼎談の経緯として、まず私の個人的な事情として『フィールダー』の書評を依頼していただいたのですが、ご指定いただいた文字数の1000字では、
恥ずかしい時、悔しい時、モヤモヤする時……思わずネガティブな気持ちになったときこそ、読書で心をやすらげてみませんか? あの人・この人に聞いてみた、落ち込んだ時のためのブックガイド・エッセイです。
ジェーン・スー × 岡田育 特別対談「四十まで生きてみると、中学では絶対に仲良くならなかったようなタイプと、意外と仲良くなれる」 『我は、おばさん』の著者・岡田育さんと、ポッドキャスト番組『OVER THE SUN』などを通じて、中年女性の生き方を軽やかに更新し続ける、コラムニストのジェーン・スーさん。 自分の人生を、自虐もせず謙遜もせず、堂々と好きなように生きていくための心構えについて語り合う特別対談です。 (単行本『我はおばさん』の巻末企画として収録されたものを一部転載しています) 撮影/Hal kuzuya 構成/綿貫あかね おばさんという呼称を再定義 ジェーン・スー(以下、スー) この本、最初エッセイとかコラムだと思って読み始めたら、「え、論文!?」って爆笑して。 岡田育(以下、育) いやいや、論文じゃないですよ! 文芸誌の連載をまとめたものですが、一回ごとの文字数が多くて、今まで
佐々木 譲 (ささき・じょう) 1950年北海道生まれ。79年「鉄騎兵、跳んだ」で第55回オール讀物新人賞を受賞。90年『エトロフ発緊急電』で第43回日本推理作家協会賞長編部門、第8回日本冒険小説協会大賞、第3回山本周五郎賞を受賞。2002年『武揚伝』で第21回新田次郎文学賞、10年『廃墟に乞う』で第142回直木賞を受賞。16年に第20回日本ミステリー文学大賞を受賞。『ベルリン飛行指令』『制服捜査』『警官の血』『警官の条件』『沈黙法廷』『真夏の雷管』『帝国の弔砲』など著書多数。 『抵抗都市』刊行記念インタビュー 今までの警察小説では 書き切れないテーマに挑んだ 日露戦争終結から11年後の1916年10月、ロシア統治下となった東京・西神田警察署管内で他殺死体が発見され、警視庁刑事課の新堂裕作しんどうゆうさくは、西神田署の多和田善三たわだぜんぞうと共に捜査を開始する。事件には「御大変おたいへん
クリープハイプのヴォーカル&ギターの尾崎世界観さんは、2016年『祐介』で作家デビューされました。 作家として大きな影響を受けたのが、10代の頃から読んでいた花村萬月さんの小説だといいます。 「花村さんとお話をしてみたい」という尾崎さんの希望で、本対談が実現しました。 飾らない言葉で語るうちに、話題はどんどん深い方向へ。 暴力のこと、セックスのこと、絶望のこと、そして何より小説という大いなる虚構を作るということ——。 ◇引き算の描写 花村 『祐介』読んだ。ほんとに初めて書いた小説なの? 尾崎 はい、そうです。原稿用紙2枚分ぐらいのちょっとした文章は書いていたんですけど、長いのは初めてでした。 花村 いや、正直、驚いた。ちょっとなめてたな。俺も意地が悪いから、最初読むときは文学界新人賞の選考みたいな調子で読んでくわけよ。確かに、はじめは新人賞に応募してくる原稿に近いにおいを感じたけどね。ただ
堀川、松倉のキャラがとにかくいい。図書委員というちょっと地味だけど、少し頭がよく、ほどほどにcoolで人がいい。二人のべったりでない距離の友情も最高です。 ジュンク堂書店 三宮店・三瓶ひとみさん 図書館や書店、古本屋など本にまつわる所が舞台の小説は色々あるけれど、男子高校生、しかも図書委員の2人が主人公というのは、なかなかない設定で、面白かったです。続きそうな終わり方だったので、次回作がすでに待ち遠しいです。 紀伊國屋書店 加古川店・吉田奈津子さん いやー、お見事!! 明晰にして知的。謎解きの面白さ、ここに極まれり! 解き明かされるのは、ミステリアスな日常だけではない。絡まる感情も紐解かれ、眼前の空気をも一変させる鮮やかな手法に脱帽だ。 三省堂書店 有楽町店・内田剛さん 大好き、穂信さん、やっぱり大好き! 本が好きで図書室が好きで、人の心とか言葉のはしばしとか! 穂信さん、最高だ! 熱狂的
いとうせいこう『小説禁止令に賛同する』 「抑圧のなかでもし希望があるとしたら、 それは内面だけは明け渡さないということじゃないですか」 定価:1,400円(本体)+税 2月5日発売 装幀:水戸部功 〈著者プロフィール〉 1961年、東京都生まれ。早稲田大学法学部卒業。編集者を経て、作家、クリエーターとして、活字・音楽・舞台など、多方面で活躍。著書に小説『ノーライフキング』『想像ラジオ』(第35回野間文芸新人賞受賞)『存在しない小説』『鼻に挟み撃ち』『我々の恋愛』『どんぶらこ』、エッセイ集『ボタニカル・ライフ』(第15回講談社エッセイ賞受賞)、『「国境なき医師団」を見に行く』、「文芸漫談」を活字化した奥泉光との共著『小説の聖典』『世界文学は面白い。』『漱石漫談』などがある。 僕はなぜ小説を書くのか? いとうせいこうインタビュー ■随筆を書くつもりがこうなった ──『小説禁止令に賛同する』は、
「ふつうの日本人」とは? 日本生まれのハーフの若者たちが、国境を越えて自らの生き方を模索する『真ん中の子どもたち』。著者・温又柔さんからのメッセージ 定価:1,300円(本体)+税 7月26日発売 温又柔さんの最新刊『真ん中の子どもたち』は、複数の国の間で自らの生き方を模索する若者たちの姿を描く青春小説です。 台湾人の母と日本人の父の間に生まれ、幼いころから日本で育った琴子(ミーミー)。 日本育ちで、台湾×日本のハーフである嘉玲(リンリン)。 日本育ちで、両親ともに中国人の舜哉。 本作の刊行に寄せて、著者の温又柔さんからメッセージをいただきました。 わたしたちは、ここにいる ~『真ん中の子どもたち』刊行に寄せて~ ミーミーのママは台湾人だ。四歳のときのミーミーは、友だちのママも皆、台湾人なのだと思っていた。パパとママのどちらかが日本人ではないことのほうが、この国では少々めずらしいことなのだ
記念すべき第1回は、最新作『走ル』が第139回芥川賞候補となるなど、注目の若手作家・羽田圭介さん。 当時最年少、17歳での文藝賞受賞という鮮烈なデビューから5年。 今年から会社員としての生活もスタートした、若き作家の素顔に迫ります! デビュー作は、 「作者=ヤバイ人」? 当時最年少の17歳で文藝賞を受賞。 受賞作『黒冷水』は、兄弟間の執拗な家庭内ストーキングを描いた話題作だ。 兄の机をあさる弟、弟を監視し、追い詰めていく兄……。 冷戦はエスカレートし、衝撃のラストへと至る。 選考委員には「とても17歳とは思えない筆力」「息を吐く暇もない畳み掛けで、読者を引っ張る」「細部を描写するポイントが的確」等と言わしめ、毒々しくダークでリアルな作品の世界は読者を震撼させた。 羽田圭介(はだ・けいすけ) 1985年生まれ。明治大学卒。 2003年、高校在学中に執筆した「黒冷水」で第40回文藝賞を受賞し、
社畜と企業戦士の間 「狭小邸宅」で第36回すばる文学賞を受賞した新庄耕さんと、作家であり人材コンサルタントの常見陽平さん。常見さんが「狭小邸宅」を読んで下さったことをきっかけに、初の顔合わせが実現しました。お二人はリクルート出身という共通点もあり、リクルート勤務時代の話や、小説「狭小邸宅」における“社畜か企業戦士か”という問題について語っていただきました。 営業の手法 常見 僕たち、実はお互いリクルートの出身なんですよね。僕は97年入社ですが、新庄さんは? 新庄 僕は08年入社です。 常見 『狭小邸宅』を手に取ったときはまだ、新庄さんの経歴は存じ上げませんでした。でも、読んでいる最中で「ん? もしかしてこの著者はリクルート出身なのではないか」と思ったんですよ。 新庄 本当ですか(笑)。 常見 ええ。営業の真髄を理解できている人でなければここまで丁寧に描けないだろう、という印象がまずありまし
女性シンガーのきゃりーぱみゅぱみゅに象徴される原宿カワイイ文化。海外でも「Kawaii」と表記され、本来は大人っぽい女性文化が主流のヨーロッパやアメリカでも、そうした成熟した文化を好まない層から強く支持されるようになっている。Kawaiiという字面や語の響きが、観光地のハワイ(Hawaii)と似ているのも親しみやすい理由になっているようだ。 この原宿カワイイ文化の第一人者として知られるのが、きゃりーのアートディレクターであり、原宿で「カワイイ」を代表するショップ「6%DOKIDOKI」を開いた男性クリエイター、増田セバスチャンである。 思春期に寺山修司の著書『書を捨てよ、町へ出よう』と出会い、大きく影響を受けた彼は、つねに土地や場所というリアルの空間にこだわり続けている。そのリアルの原点は、驚くべきことに1980年代初頭の「竹の子族」にあった。『ブティック竹の子』というショップで購入した衣
哲学者プラトンの本『パイドロス』に、こんな話が出てくる。エジプトの古い神テウトは、算術や幾何学、天文学、将棋、双六、そして文字を発明した。あるときテウトは、エジプト全土に君臨していた王様の神タモスのところに行き、自分の持つさまざまな技術を披露した。テウトは文字についてもタモスに説明する(『パイドロス』藤沢令夫訳、岩波書店版より)。 王様、この文字というものを学べば、エジプト人たちの知恵はたかまり、もの覚えはよくなるでしょう。私の発見したのは、記憶と知恵の秘訣なのですから。 ところがタモスは、このことばを咎めた。 たぐいなき技術の主テウトよ、技術上の事柄を生み出す力をもった人と、生み出された技術がそれを使う人々にどのような害をあたえ、どのような益をもたらすかを判別する力をもった人とは、別の者なのだ。いまもあなたは、文字の生みの親として、愛情にほだされ、文字が実際にもっている効能と正反対のこと
日本で初めて上映禁止処分となった映画は、明治41年(1908)に公開された『仏国大革命 ルイ十六世の末路』というフランスの無声映画だ。 この上映禁止の顛末は、いまの映画の常識から考えるととほうもなくヘンで面白い。 『仏国大革命』が公開されたのは、日本で映画文化が少しずつ広がろうとしていた時期だった。 フランスのリュミエール兄弟が発明したシネマトグラフ映写機が輸入され、大阪の南地演舞場で国内初上映されたのは、明治30年。 日本オリジナルの映画が初めて制作されたのはその2年後の明治31年。この年に、今も現存している最古のフィルムである9代目市川團十郎、5代目尾上菊五郎主演の『紅葉狩』も撮られている。 最初の常設映画館である東京浅草・電気館がオープンしたのはさらに2年後の明治36年。だが国産映画を制作する態勢はととのっておらず、上映された映画の大半は輸入フィルムだった。 そしてこの時期にはすでに
作家 山内マリコさん 女子目線から見える世界のリアリティ 幹線道路沿いに大規模チェーン店とショッピングモールが立ち並ぶ、どこにでもあるような田舎町。山内マリコさんの初の著書『ここは退屈迎えに来て』は、そんな日本の地方都市に暮らす女子たちを描いた全八篇の小説集だ。 東京からの出戻り組のフリーライター、高校時代に好きだった人を忘れられないギャル、地元のスタバで働くフリーターなど、登場人物の境遇はバラバラだが、まだ何者でもない曖昧な自我と、狭い世間から押し付けられる"普通の"生き方に息苦しさを感じながら、ここではないどこかを求めている点は共通している。 「来週また結婚式だよ、ほんとやになる。みんなバカのひとつ覚えみたいに結婚しやがって」――(「やがて哀しき女の子」より) 「この小説には恋愛やセックスも出てきますが、男性との関係というよりは"女の子同士の友情を描きたい"という一心で書いた小説なんで
ウォルター・マイケル・ミラー・ジュニアは1923年にフロリダで生まれた。20歳になったばかりのころに第二次世界大戦に出征し、B-25の通信士兼銃手としてイタリア戦線での爆撃に53回も従事した。モンテ・カッシーノの激戦では、ドイツ軍の要衝だったベネディクト派修道院を爆撃する無残な行為を経験し、これはトラウマとなって彼の人生を最後まで苦しめることになった。 戦争が終わり、ミラーはカトリックに改宗した。修道院爆撃という恐ろしい罪への意識を少しでも癒やしたいという気持ちがあったのだろう。彼は自宅の居間に、ロン・コヴィックの写真も飾っていたという。ミラーよりも20歳あまり年下のコヴィックはベトナム戦争で負傷して下半身不随となり、その後反戦運動に転じた人物だ。トム・クルーズの映画『7月4日に生まれて』のモデルとしても知られている。 1950年代に入ってミラーは、いくつかの短編小説を雑誌に発表するように
松浦弥太郎さん(以下・松) 今日は伊藤さんにお会いできるというので、すごく緊張しています。伊藤さんの暮らしはすごく端正でしっかりしてる印象で、お金についてもさぞや、ということでおいでいただいたんです。 伊藤まさこさん(以下・伊) いえいえ、お金に関しては本当にだめなんです。お財布もいつもぐちゃぐちゃだったのですが、『松浦弥太郎の新しいお金術』を読んでから、1日1回、領収書を出して整理する、という習慣ができました。 松 お財布を整理すると気持ちいいでしょう。ハンカチをたたみ直すような気分というか。お札でも領収書でも、急いでいたりすると、バッと入れちゃうときもありますよね。僕は1日に何度も、きれいに入れ直したりしています。 伊 ご本、とてもおもしろかったです。「えーっ! 松浦さんは2年に1度お財布を買いかえているんだ」とか具体的なところでとても新鮮な驚きがありました。今、お使いのお財布は何か特
川端 今日は、この小説に関する対談はぜひ天達さんと、という僕からのたっての希望で来ていただきました。気象のこと、予報の現場のことなど伺えたらと思います。まずは、天達さんのお天気とのなれ初めのようなものから聞いていきたいんですが、子どものころ、空を見るほうでした? 天達 空はよく見るほうだったと思います。でも最初は天気よりも星が好きで、物心ついたときから星をよく見ていました。幼稚園ぐらいのときですか、親戚のおばちゃんに星座が好きな人がいて、影響を受けて見るようになったんです。それで、小学校二年生ぐらいのときには、僕は夜空を見て、星座を線でつなげられたんですよ。小学校の理科のテストでも、線でつなぐ問題は得意だったりして。でも高学年ぐらいになると、まったく興味がなくなっていたんですけど。 代わりに、僕は小学校三年生ぐらいから野球を始めたんですね。月に二回くらい土日に試合があって、それが唯一の楽し
昭和18年、日本軍は上ビルマに侵入した英印軍を討伐していた。若い新聞記者の美濃部は後藤軍曹が指揮する宣撫班についていたが、ビルマ人との親睦を取材するだけの日々に物足りなさを感じていた。 しかし、後藤班が英印軍捜索の任に組み込まれたことで状況は一変する。強引に同行を申し出た美濃部は、兵隊とともにビジュー山系へ分け入っていく。 現地人の協力やビルマ人密偵の働きもあり、後藤班はようやくイギリス人将校・コーンウェル中尉とその部下であるインド兵を捕らえることに成功する。だが、捕虜を輸送しながら美濃部の脳裏に様々な疑念が湧く。彼らが人質にしていたというビルマ人たちはどこに消えたのか? なぜコーンウェル中尉は捕虜となりながらも毅然とした態度を崩さないのか? すべての謎が解けた時、美濃部は"戦地の真実"を突きつけられる。 現地人を巻き込みながらぶつかる、それぞれの正義と信念を圧倒的な筆力で浮き彫りにした傑
日本語、台湾語、中国語、3つの言語をあやつりながら瑞々しいデビュー小説集『来福の家』を上梓した温又柔さん。小説・イラスト・コミックと、様々な表現方法で「言葉」と「記憶」をモチーフにした作品を発表しているアーティストの小林エリカさん。共通の知人がいたにもかかわらず、今まで会う機会のなかった初対面のお二人。存分に「ことば」について語り合っていただきました。 『来福の家』は「名前小説」 温又柔さん(以下・温)●エリカさんとは、私が2009年に出したzine(小部数の出版物)『たった一つの、私のものではない名前~my dear country』がご縁なんです。版元の<葉っぱの坑夫 http://happano.org/>さんの方から、エリカさんが私のzineを気に入ってくださっていると教えてもらったのがお名前を知った最初なんです。ちょうどエリカさんの著書『この気持ち いったい何語だったらつうじるの
『虚言少年』刊行記念インタビュー おもしろきこともなき世をおもしろく 内本健吾──肚の中で何を思っていようとも、表面的には付和雷同で大勢に迎合する。身に危険が及びそうなときには、うっかりを装って単独行動をする。自他ともに認める嘘つき。矢島誉──丸顔で素直。嘘をつかない、親に逆らったこともない、喧嘩もしない。女子にモテたいという一念を多少なりとも秘めているにも拘わらず、モテないことばかりし続ける。京野達彦──人心を掌握する術と場を読む能力に長ける。対話する対象にしか通じないような狭い話題をわざと選ぶ、偏った知識の持ち主。 緑山田小学校に通う健吾、誉、京野の六年生トリオは、クラスの中では目立たず「馬鹿」という位置を確保している。彼らがなによりも重きを置いているのは、なんでもいいからともかくおもしろがること。登下校の道々で出会う個性的な人たちに勝手に渾名をつけておもしろがったり、クラスで深刻な話
『ニコニコ時給800円』刊行記念対談 海猫沢めろん×西加奈子 何で働かなあかんのん? PCゲームのデザイナーから作家へと転身し、SFをはじめとする様々なジャンルの作品を生み出している海猫沢めろんさんの新刊『ニコニコ時給800円』が刊行されます。 これを記念して、同世代作家で、ともに大阪育ちの西加奈子さんをゲストにお迎えし、本作の魅力や「働くこと」についてなど、存分に語っていただきました。 西 めろん君、お久しぶり。元気やった? 海猫沢 ぼちぼちでんなー。 西 『ニコニコ時給800円』は、「すばる」連載中から読ませてもらってたけど、今回全部通して読んでみて、すごく面白かったし、改めてびっくりもしました。 海猫沢 え、そう? たとえばどんな場面で? 西 この小説は、マンガ喫茶や洋服屋、パチンコ屋、低農薬野菜作り、ネットビジネスなどで、時給八〇〇円くらいで働く人たちを描いた連作でしょう。一つ一つ
大槻 3.11のあと、『映画秘宝』編集部から「励ましの映画」を推薦してくれって言われて、長谷川和彦監督の『太陽を盗んだ男』(1979年)を推薦したんですね。そしたら「ちょっとウ~ン……」って感じになった。みなさん、『太陽を盗んだ男』ご存じですか? 東海村の原発からプルトニウムを盗むんです。ジュリーがね、ガイガーカウンターをマイク代わりに歌うんですよ。TBSアナウンサーだった林美雄さんは、それと『狂い咲きサンダーロード』(1980年)の2本を推していて、ぼくはその2本を観に行ったんです。ただ、『太陽を盗んだ男』はすごくおもしろかったんだけど、ジュリーが原爆持ったまま、あーっと落ちて、そのまま電線に引っかかったところで爆笑が起こったのよ。で、それが悩みの笑いで、林美雄さんが応援しているゴジさん(長谷川和彦)の映画を笑っちゃいけないっていう感じがあったのよ。 町山 でもジュリーと文太の対決は笑う
呪われた映画、闇に葬られた映画、 一線を超えてしまった映画、 心に爪あとを残す映画、25本! 『バニー・レークは行方不明』『裸のジャングル』『マドモアゼル』『愛すれど心さびしく』『傷だらけのアイドル』『愛と憎しみの伝説』『戦慄! 昆虫パニック』『不意打ち』『マンディンゴ』『わが青春のマリアンヌ』『眼には眼を』など。 町山 よろしくお願いします。町山智浩です。 大槻 皆さん、よろしくお願いします、大槻ケンヂです。 さっきも楽屋で話してたんだけど、町山さんとお会いするのは15年ぶりくらいという……。 町山 イヤ、もっと前、"鼻血ブー"のころですよ。 大槻 『高木ブー伝説』をタイトルを替えて『鼻血ブー伝説』にしたのが1992年。じゃあ、20年近く前じゃん! そのころ町山さんは、雑誌「宝島」の編集者だったのね。それで「大槻君、何かヘンな映画好きじゃない?」って言われたんですよ。 町山 そうだった。
それは、魂に刻印を押されるかのような出会い――。 最も多感な時期に筋肉少女帯を知り、以降ずっと 大槻ケンヂさんの活動を追いかけてきた辻村さん。 辻村作品の世界観にも大きく影響を与えた大槻さんと ついに念願かなっての対談です。
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