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衆院選
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1.はじめに2020年12月15日、欧州委員会は、デジタルサービス法(Digital Services Act:DSA)[1]とデジタル市場法(Digital Markets Act:DMA)[2]と題する新たなデジタルプラットフォーム規制案を欧州議会とEU理事会に提出した。両法案の内容をそれぞれ一言でまとめるならば、DSAはデジタルプラットフォームに対して違法コンテンツへの対策を求めるものであり、DMAはデジタルプラットフォームによる自社サービスの優遇を禁止するものと言える。 本稿では、2つの法案のうちDSAについて取り上げ、その概要やEUでの検討状況を紹介するとともに、日本のデジタルプラットフォーム規制との関係を簡単に分析してみたい。 2.DSAの概要欧州委員会は、2020年2月に公表した欧州のデジタル戦略「Shaping Europe’s Digital Future」において、ネッ
ICT雑感:「車は左、歩行者は右側通行」って グローバル・スタンダード? ~「未来の住宅」の命運を握るもの ICT雑感 WTR No387(2021年7月号) 1.「歩行者は右側通行」が意味することニューノーマルな態様として定着した感のある在宅勤務の日には、浮いた通勤時間を学術やランニングなどの健康増進にあてがう人も多いだろう。筆者がウォーキングをする緑道は、自転車用と歩行者・ランナー用に分かれているが、歩行者等道路には「●側通行」のような指示標識がない。そのためか、歩行者やランナーが互いに道を譲らずに衝突し、また、「歩行者は右側通行!」と口論するトラブルを見た。「車は左、人は右側通行」とよく聞くが、歩道等では、筆者は「真ん中」か「やや左側」を歩いている感覚が強い。ソーシャル・ディスタンスが求められる時代こそ柔軟に対処すればよいものと思う反面、「右側通行を絶対とする誤ったルールを他人に強要
デジタルアーカイブを中心とする肖像権の権利処理の円滑化に向けた取組み ~「肖像権ガイドライン」にみる我が国の最近の自主規制、共同規制の動向 WTR No386(2021年6月号) 日本 規制 1.興隆するデジタルアーカイブコロナ禍において、世界的に外出制限がされ、博物館・美術館が世界的に閉館している最中、世界最大の文化遺産のためのデジタルプラットフォームEuropeana1の年間レポートによると、2019年の同時期と比較して2020年のトラフィックは2倍近く増加している2。 日本でも、毎年出される「知的財産推進計画」においては、デジタルアーカイブ3への取組みが政策課題となっている。例えば、昨年は、「クリエーション・エコシステム4」の構築の一つとして、「デジタルアーカイブ社会の実現」が挙げられている。デジタルアーカイブは、知識や技能、文化的・歴史的資源を効率的に共有し、未来に伝え、現在のみな
1.はじめに2021年4月、欧米で相次いでAI(人工知能)に関する規制が出された。4月19日、米FTC(Federal Trade Commission)が、AIの利用に関するガイダンスを出した1。特に目新しい指摘があるわけではない。AIモデルの構築にあたり、データセットに特定の情報を欠いたままにすれば差別的な結果が生じ得ること、そして、これを前提としたうえで、アルゴリズムがもたらすパフォーマンスに責任を持つことが重要であることなどが述べられている。 その2日後の4月21日、EUは、AIに関する包括的かつリスクベースアプローチに基づく「AI規制案(以下「AI規則案」)」2を発表した。AI規則案については、日本経済新聞のトップを始め、わが国でも広く報じられている3。 本稿は、「わが国におけるAI規制の受容」という観点から、最初にAI規則案を概観し、次に、このAI規則案がわが国においていかに報
序章今や男女の出会いツールとして当たり前のように用いられることが多くなったマッチングアプリ。2020年の国内オンライン恋活・婚活マッチングサービス市場(予測)は、前年比約2割増の620億円に伸びる見通しで、今後もさらに成長するという。市場規模、ユーザー数ともに堅調に推移していたマッチングアプリだが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19、以下、「コロナ」)の拡大によって、使い方やその後の出会い方が急激な変化を遂げている。本稿ではそもそもマッチングアプリとはなにか、コロナ前のマッチングアプリの概況について論じつつ、コロナがマッチングアプリに与えた影響に注目して見ていきたい。 マッチングアプリとはマッチングアプリとは「恋愛や結婚に通じる出会いを求める男女を結びつけるアプリ(インターネットサービス)のこと」で、恋人探しや結婚相手探しなどに使われる。年齢、居住地、身長、職業など基本的なプロフィ
<出席者プロフィール> クロサカタツヤ 氏 株式会社企 代表取締役、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任准教授 通信・放送セクターでの経営戦略、事業開発を中心としたコンサルティング、官公庁プロジェクトの支援等、幅広く手掛ける他、総務省等の政府委員を務める。 近著『5Gでビジネスはどう変わるのか』(2019年) 堀越 功 氏 日経BP 日経クロステック 先端技術 副編集長 メディアの立場から、世界の情報通信を世の中に伝え続けてきた、屈指の存在。 日経クロステック(オンラインメディア)「堀越功の次世代通信羅針盤」にて最新動向を連載中。 岸田重行 株式会社情報通信総合研究所 ICTリサーチ・コンサルティング部 上席主任研究員 情報通信に特化したリサーチ・コンサルティングの立場から、長く世界のモバイル通信を中心にフォロー。MWCには、1998年より(その前身「GSM World Congre
世界の通信業界では、毎年2月下旬にバルセロナにて開催されてきた「MWC」が、世界最大級の会議・展示イベントとして大きな存在感を示してきましたが、2020年は新型コロナウイルス感染対策のため、開催中止となりました。この後、世界規模での感染拡大が本格化したこともあり、他の大型イベントも軒並み開催の中止・延期を余儀なくされたところです(例えば、デトロイト、ジェノヴァ、北京でのモーターショー、米SXSW(エンターテインメント)、独ハノーバーメッセ(産業技術)、米E3(ゲーム)などが中止、または延期となりました)。 このMWCが世界の通信業界で果たしてきた役割は大きく、MWCの歴史は、そのまま世界の通信業界のトレンドを表してきたといえます。2020年、MWCの中止で通信業界は何を失うのか。また、今後の通信業界への影響はどうなのか。こうしたテーマは、情報通信に携わる多くの方々の関心事ではないかと思いま
(1)はじめに世界中で新型コロナ(以下、COVID-19)の感染が急拡大する中、外出自粛や在宅勤務の激増により、多くの人が予期せぬ形で突然のライフスタイル変更を余儀なくされている。その影響は広範囲に及んでいるが、本稿では欧米の情報通信業界を襲った混乱の現状と対応について紹介する。 以下、同業界におけるCOVID-19の影響について、トラフィック集中の問題、通信事業者の対応(英国BTのケース)、規制機関の対応の順に概説する。 (2)トラフィック集中の問題COVID-19により自宅滞在を迫られる人が増えたことから、ネットワークのトラフィック増大やピークタイムの変化が情報通信業界を揺さぶっている。COVID-19はグローバル規模の脅威だが、最もダメージを受けた国の一つである英国では、最大手通信事業者のBTが3月20日にネットワークへの影響を発表した。それによれば、在宅勤務が本格化した3月17日以
5Gサービスの展開・6Gの議論開始5Gは、2019年4月に米国・韓国でスマートフォン向けのサービスが開始され、GSMAのレポート(The Mobile Economy 2020)によると、24の市場で46の事業者が商用5Gサービスを提供している(2020年1月末時点)。2025年の世界における全モバイル接続の内、4Gはいまだ56%を占めるものの、5Gの割合は20%に達すると同レポートは予測している。 一方で、2030年頃に実用化が見込まれるBeyond 5G(6G)について世界各国で議論が開始されており、日本においても2020年1月に総務省が有識者会議を立ち上げたところである。2020年3月には「6G Wireless Summit」の第2回会合がオンラインで開催された。本稿では、世界の主要国における5G動向および6Gに向けた取り組みを概観する。 5Gの本格サービス開始から約1年が経過した
AR(Augmented Reality:拡張現実)業界が転機を迎えようとしている。 その起爆剤となるのが、「ARクラウド」と呼称される先端技術であり、これを基盤技術として推し進められている世界全体の現実空間の完全な複製である“ミラーワールド”の建設である。 “ミラーワールド”とは、複数人によるリアルタイムでの共有が可能な、現実世界にあるすべての土地、道路、建築物、部屋等の3Dデジタルコピーである。実現すれば、Facebookのソーシャルグラフ、Googleの検索インデックスに続く巨大な第3のプラットフォームになるとも予想されており、現在、スタートアップやIT大手がこぞってその建設を推し進めている[1]。2019年6月の米調査会社IDCの調査報告によれば、世界のAR/VR市場規模は、2018年の89億ドルから2023年には1,600憶ドル規模へと年平均成長率(CAGR)78.3%で拡大する
人手不足感の強まりと低い労働生産性帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査」(2019年5月23日)[1]によると、正社員が不足している企業は50.3%で1年前(2018 年4月)から1.1ポイント増加し、4月としては過去最高を更新した。非正社員では企業の31.8%で人手が不足している(1年前比0.3ポイント減)。とりわけ、業種別では「飲食店」の78.6%が「不足」していると感じており、依然として高水準となっている。続いて、「飲食料品小売」「人材派遣・紹介」「娯楽サービス」「旅館・ホテル」などが上位に挙がっており(表1)、これらサービス業の人手不足感は解消されていない。 人手不足を課題感としてもつ国内の産業の労働生産性の水準はどの程度なのであろうか。 日本生産性本部「主要産業の労働生産性水準」[2]によると2017年の産業別名目労働生産性(2017年/就業者1人あたり)について、
マルウェアや窃取された個人情報などの各種データ、サイバー犯罪を行うための各種ツールなどが売買されているウェブサイトの多くは、ダークウェブと呼ばれるインターネット上の空間にある。このダークウェブにあるウェブサイトはGoogleなどの普通の検索エンジンではヒットしない上、一般的なブラウザーではアクセスすることはできず、閲覧にはTorやI2Pといった特殊なブラウザーを用いる必要がある(図1参照)。ダークウェブにアクセスする過程においては、何重もの認証を経なければならず、インビテーションが必要になる場合も少なくない。これは当局の捜査員などの招かれざる客を排除するためだ。それに類する者だとウェブサイト側に判断された場合には、アクセスを遮断されることもある。 もっとも、ダークウェブそれ自体は違法ではない。ダークウェブにありながら一般と変わらないウェブサイトも多数ある。実際、ダークウェブにはFacebo
Googleの投資姿勢が目覚ましい。AI(人工知能)分野への投資動向についての言及かと思う向きが多いかもしれないが、本稿で注目したいのは海底ケーブルへのそれだ。本誌2017年12月号『海底ケーブル市場の変化に見るインターネットの今後』でもテーマに取り上げ、海底ケーブルを取り巻く市場環境やトレンドが従来とは様変わりしていることについて概説した。足元の市場は基本的に筆者がそこで展望したとおりに推移している。しかし、比較的新しく海底ケーブルに関与し始めたプレイヤーは大手クラウド事業者を中心としていくつか存在するが、その中でもGoogleの存在感がここ1年の間で急速に増している。本稿では、それを含めて前回のアップデートと位置付け、海底ケーブル市場の近況についてレポートしたい。 海底ケーブル市場で起きている3つの変化1年前の記事では、最近の海底ケーブル市場には(1)投資主体の変化、(2)敷設ルートの
最近MaaSという言葉を目にする機会が増えた。MaaSとはMobility as a Service(サービスとしてのモビリティ)の略であり、複数の移動手段を横断的に活用できるようにすることで、利用者が目的地へ移動する際の利便性を従来よりも高めるものである。最近では、トヨタ自動車が2018年1月開催のCESイベント(米国ラスベガス)においてモビリティサービスに取り組む姿勢を示したほか、小田急電鉄も同年4月にMaaSを盛り込んだ中期経営計画を発表するなど、国内の交通関連業界に動きがみられ始めている。 本稿では、まずMaaSとはどのようなものか説明したのち、MaaSのプラットフォームに蓄積される利用者の「移動データ」の価値に注目する。そしてその「移動データ」の価値を最大限に活用して私たちがより暮らしやすい社会を実現するために、MaaSプラットフォームへのブロックチェーンの活用について検討してみ
2018年6月中旬から7月中旬にかけての約1カ月の間、特に政治とスポーツの分野において、国際的に極めて重要なイベントが続いた。6月14日~7月15日にロシアで開催された2018 FIFA World Cup(以下、「W杯」)に加え、その前後に行われた2つの首脳会談――ひとつは6月11~12日にシンガポールで開催された米朝首脳会談、もうひとつは7月16日にヘルシンキ(フィンランド)で開催された米露首脳会談だ。これほど短期間に世界中の耳目が一斉に集まるイベントが立て続けに開催されるのも珍しいだろう。 一般に、大規模な国際イベントはサイバー攻撃の対象になりやすいと言われる。その意味では、サイバーセキュリティに携わる関係者にとって、この約1カ月間は正念場とも言える重要な局面だったに違いない。実際、今回のW杯は、実に世界の全人口の半分近くにも相当する34億人が視聴したと推計されている。本稿では、サイ
総務省による楽天への携帯電話向け電波の割り当てが決まったことにより、我が国でモバイル市場への新規参入が久々に行われる。2012年のソフトバンク(SB)によるイー・アクセス買収以来、我が国では大手3社による市場構造が長らく続いてきている。 フランスでも長らく3社体制が続いていたが、2010年に初めて3G周波数を付与され、4番目のMNOとして参入して成功した事業者としてFree Mobileがいる。このFree Mobileも楽天同様当初モバイル設備を持たず、新たに網を建設しながらサービスを開始したが、現在2018年ではフランス第3の事業者の地位を獲得している。これは世界的にも珍しい例といえる(図1)。 Freeの参入がフランス市場に与えた衝撃については、本誌2012年2月号「仏で第4の事業者が誕生~フリー・モバイルは台風の目となるか」が詳しいのでそちらを参照されたい。 Freeがフランスモバ
かっては世界に冠たる研究所として有名であったベル研のあり方が、また新たな論議を呼んでいる。 4月2日に発表されたところでは、ベル研の親会社である米国の電気通信機器メーカーのLucent Technologies(LT)がフランスのメーカーAlcatelと合併する合意が整ったが、ベル研が行っている米国国防総省等のための機密の研究開発成果が海外に流出するとの懸念が議会筋で出されはじめた。 LTとAlcatelの合併は表面は対等合併の形をとり、LTのCEOであるのPatricia F. Russoが新会社のChief Executiveとなる模様ではあるが、Alcatelの事業規模がLTの2倍ちかく大きく、新会社の本社はパリに置く予定であり、実態はAlcatelによるLTの買収だとみられている。 ベル研は1984年の「AT&T分割」以降、親会社が変わったり、分割されたりという数奇な運命を辿るなか
国境を越える流通では、人・モノ・カネの流通に加えて、最近ではデータの流通に注目が集まっています。越境データ流通には、情報、検索、通信、取引、企業間データなどさまざまな種類が含まれていて、国・企業・個人を結ぶウェブの構築によって爆発的な拡大をみせています。世界的には北米とEU間のデータ流通が大きく、世界の越境データをリードしています。日本でも特に国外ISPと交換されるトラフィックが急増していて、2016年11月には1222Gbpsのレベルに達しているとの報告があります(平成29年版 情報通信白書第Ⅰ部、図表2-3-1-2「我が国から国外ISPと交換されるトラヒック」89-90頁;2004年から2016年の間で約50倍に増加)。 こうした国境を越えて膨大なデータが流通する一方で、一部の国では越境データを規制する、いわゆる「データローカライゼーション」の法制定・施行もまた進行している実態がありま
はじめに農林水産省の「耕地および作付面積統計」[i]によれば、我が国における農地面積は2015年の時点で449万6,000ha、耕地利用率が91.8%という中で、温室の設置面積はその約100分の1の4万6,493ha[ii]である。このうち複合環境制御装置を備えた温室が655haで、完全人工光型の植物工場は44ha。両者合わせても日本の温室設置面積の約1.5%にすぎないというから、これから本稿が論じようとするいわゆる「高度に環境制御をしている施設園芸[iii]」と呼ばれるような農業に属するものが、現状ではいかにスケールしていないか、という話になる。 いきなり冒頭からがっかりするような数字が続くが、資本生産性の面からは「大規模施設園芸・植物工場 実態調査・事例集」(平成28年3月、一般社団法人日本施設園芸協会)によれば、黒字化している経営体の割合は太陽光・人工光併用型の施設園芸でようやく35
量子コンピュータが現実味を帯びてきている。2011年5月にカナダのベンチャーD-Wave社が「世界初の商用量子コンピュータ」を謳ったD-Wave Oneを発表したのを皮切りに、2013年5月にNASA、Google等が共同で後継機D-Wave2を導入し、量子コンピューティングAI研究所(Quantum Computing AI Lab)を開始した。この頃から徐々に実用化への懐疑的な見方は影をひそめ、実現への期待が大きくなってきた。2016年5月にIBMが量子コンピュータをクラウド公開し、日本でも2017年11月に国立情報学研究所 (NII)、NTT、東京大学が内閣府の革新的研究開発推進プログラム (ImPACT) において量子ニューラルネットワーク(Quantum Neural Network: QNN)をクラウドで公開した。この領域の研究者の成果について、利用する立場からも注視していく時
2018年2月26日~3月1日、バルセロナで開催のモバイルワールドコングレス(MWC)2018では、5Gが展示や講演の中心で関連する通信機器などが注目を集めていました。しかし、昨年末にようやく標準化団体の3GPPで、4G側で通信制御を行うNSA (Non-Stand Alone)でのネットワーク構成が標準化された段階であり、5G周波数も最終決定しておらず、スマートフォンやタブレットなどのデバイス類の展示はありませんでした。具体的な製品イメージではなく、もっぱら高速・大容量や低遅延のデモで5Gのコンセプトとユースケースを紹介することに重点が置かれていて、気運の盛り上げが狙いといったところでした。 標準化活動は今年の6月に、5G単独で運用するSA(Stand Alone)を含めて、リリース15で最初の仕様が策定される予定ですので、いよいよ本格的な開発が進むことになります。国内でも、情報通信審議
ブロックチェーンをベースとしたスマート・コントラクト・プラットフォームであるEthereum(イーサリアム)は、その上で革新的なプロジェクトがいくつも走っており、エコシステムとして目覚ましい進化を遂げている。その中で、自己主権型アイデンティティの規格を策定しようという意欲的な試みが出てきている。「自己主権」というのは聞き慣れない言葉だが、英語では“self-sovereign”と書かれ、特定の中央集権的な管理者を置くことなく各分散ノード(≒ユーザー)自身が各種データの管理を行うことができるということを意味する。 年の瀬も迫ったある日、戸籍を持っていないがために数奇な境遇に置かれているという青年を取材したドキュメンタリー番組をたまたま見かけた。彼が戸籍を持っていないのは、出生時に物事の巡り合わせが悪く、両親が届け出を忘れたままにしていたためということだった。彼は確かに実在の人物で、名前もある
前回本誌7月号の記事ではドコモ・バイクシェアが提供する自転車シェアリングサービスの可能性を取り上げた[1]。移動手段の一つとして認知され始めた自転車のサービスであるが、仕事や観光などで人々が移動する以外の目的でも次第に使われるようになってきている。今回はその新しい取り組みについてドコモ・バイクシェア営業推進部の村尾翔平さんに聞いてみた。 ―サイクルシェアリングサービスを活用した新たな取り組みについて教えてください。 村尾:前回は小林のもとへ取材いただきありがとうございました。私たちが自転車シェアリングサービスを提供する会社であることは既にご理解いただけたと思いますが、今回は弊社が新たに取り組み始めたサービスの一つについてご紹介したいと思います。 自転車を利用していただくお客様としては個人のお客様だけではなく、法人企業のお客様にもご契約いただいています。パンフレットに掲載しているように、IC
2014年12月、韓国の原子力発電所がサイバー攻撃を受け、不正侵入されたと報じられた。韓国の原子炉23基の安全性に影響はないと報じられている。 以下に国内外の公開情報から、韓国の原子力発電所へのサイバー攻撃をめぐる動向を時系列に纏めてみた(下線は筆者)。 (1) 2014年12月22日、韓国の原子力発電所のコンピュータシステムが不正侵入された。失われたのは重大な機密データではなく、同国の原子炉23基の安全性に影響はないという。産業通商資源省は、韓国国内の原発は原子炉の安全性を脅かすハッカーの侵入を阻止することができると強調。同省のChung Yang-ho次官はロイターの電話取材に対し「原発の制御システムには何らリスクはない」と述べた。電力会社の韓国水力原子力発電(KHNP)は、「社会不安を引き起こすことを狙った向きによる仕業」との見方を提示。「原発の監視システムは完全に独立しており、ハッ
暗号通貨ビットコインがまた急激に息を吹き返しつつある。このビットコインについて日本ではほとんど語られていない、電力消費量の観点からその持続性についての課題を本稿では提起したい。 注目を集めるビットコイン2014年初頭のMt. Goxの破綻依頼、日本ではしばらく取引が警戒されていたビットコインであるが、ここ半年で再び投資先として人気を集めている。最近では6月に1ビットコインあたり、最高で33万円を超える相場となったこともあり、1年前に6~7万円程度であったことと比較してもその期待の大きさが窺える。 ビットコインの特徴管理者が不在改めて、ビットコインの特徴について少しだけおさらいしたい。 ビットコインは政府や中央銀行などの中央機関を持たない分散型の暗号通貨で、インターネット上で取引や通貨発行が行われる。 また、P2P (Peer to Peer) 型のネットワークで取引が行われる。 そのため、
前回5月号の記事では訪日外国人旅行者の観光満足度向上に役立つモデルとして、面的な通信環境提供や場所に応じた観光情報の提供の試みとしてポータブルSIMの活用可能性を取り上げた[1]。こうしたモデルを持続的に形成、発展させていくためには他にも重要な要素がある。その一つが域内での移動手段の多様性である。観光拠点が点在する都市において訪日外国人旅行者が、電車、バス、徒歩、タクシーなど状況に応じて移動手段を選択できることは、満足度向上の上で重要となってくるポイントの一つであるといわれている。日本では通勤ラッシュなど時間的な制約やゴールデンウィークなど時期的な制約が加わればその重要度は増すだろう。 自分が移動したいタイミングで、体に過度な負担をかけず、目的地までスムーズに移動できるという観点から、先ほど挙げた移動手段に「自転車」が新たな選択肢として加わりつつある。とりわけ昨今注目されているのが自転車の
インターネット上のマッチングサービスを利用することによって、モノやサービスを個人間で貸し借りしたり、企業から借りたりするシェアリングが広がりつつあります。 今回は、シェアを「スペースのシェア」、「モノのシェア」、「移動のシェア」、「スキルのシェア」、「お金のシェア」の5つに分類し、モノやサービスを提供する側と利用する側でどの程度の金額がやり取りされているのかを市場規模と捉えて推計しました。 その結果、提供側が得ている収入は、年間で約1兆1,800億円、利用側が支出している金額は、年間で約4,400億円[1]となりました。 将来の利用意向を踏まえて、潜在市場規模を推計した結果、提供側が得る可能性がある収入は年間で約2兆6,300億円、利用側が支出する可能性がある金額は年間で約1兆1,100億円[2]となりました。利用側では移動のシェアが3,965億円と大きい値となっていますが、地方では移動手
「自衛隊にサイバー反撃能力」という記事が2017年6月20日の時事ドットコムに出ていた。自衛隊が敵のシステムに対してサイバー攻撃で反撃できるようにすると自民党が提言しているものだ。短い記事なので下記に引用しておく[1]。 自衛隊にサイバー反撃能力=自民が中間報告 自民党は2017年6月20日、安全保障調査会(会長・今津寛衆院議員)などの合同会議を党本部で開き、次期中期防衛力整備計画(2019~23年度)に向けた中間報告を取りまとめた。サイバー攻撃への対処力を強化するため、敵のサイバー拠点を反撃する能力の保有を自衛隊に認めるよう提言。新迎撃ミサイルの導入なども求めた。 中間報告は「サイバー空間上の脅威は深刻さを増し、わが国に対するサイバー攻撃は高度化・巧妙化の一途をたどっている」と指摘。サイバー空間の監視・防護体制を強化するとともに、「自衛隊がサイバー攻撃能力を備える必要がある」と明記した。
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