第78回カンヌ国際映画祭で、ある視点部門に選ばれた石川慶監督「遠い山なみの光」が15日、公式上映された。原作はノーベル賞作家カズオ・イシグロの長編小説デビュー作だ。原爆の悲劇を経た1950年代の長崎から英国へ渡り、今は英国で暮らす女性悦子。物語は2つの舞台を行き来しながら展開していく。長崎で戦争と原爆、そして戦後の混乱を経験し、その後英国に渡った彼女は、久しぶりに実家を訪ねてきた次女ニキに長崎時代の記憶を語る……。両親とともに5歳で長崎を離れ英国に渡ったカズオ・イシグロ本人の記憶や家族の経験を下敷きにしたこの作品。映画化に際してはノーベル文学賞を受賞した自身もプロデューサーとして参加し、脚色のアイデアなど監督らと綿密なコミュニケーションを重ねながら制作に携わった。映画化に込めた思いをカンヌに滞在中の本人に聞いた。