秘密を報じれば国家の危機を招き、大勢の国民が死ぬ―。秘密保護法に関わって自民党の石破茂幹事長がこんな理屈で、「秘密」報道の抑制を説いています(別項)。“報道よりも国民の命が優先だ”といいたいのでしょうが、歴史に学ばない逆さまの議論です。(竹原東吾) ねつ造で始まったベトナム戦争 日本はかつて、政府の「秘密」が報じられないもとで、中国への侵略戦争、アメリカやイギリスをはじめ世界を相手にしたアジア・太平洋戦争を行い、日本で310万人以上、アジアで2000万人以上もの犠牲者を出しました。 真実は「秘密」 この侵略戦争を指導した「大本営」の発表は、日本軍が大敗北しても勝利したかのようなウソを垂れ流し、退却も「転進」と言いかえるなど国民から真実を覆い隠しました。その発表は太平洋戦争の45カ月間で846回に及びます。真実は「秘密」にされ、厳しい報道管制のもとでおびただしい数の犠牲者を出したのです。 真