「あなたは労働者ではなく『個人事業主』だから、労働組合との団体交渉には応じない」。こんな企業の横暴をくつがえす明確な判断を、最高裁判所が示しました。 新国立劇場の合唱団員、INAX(イナックス)製品の点検・修理をするエンジニアが、労働組合に入り、待遇改善のために団体交渉を求めたのに対し、「請負」や「委託」での就業であることをたてに使用者側が交渉を拒否したことの是非が問われた裁判です。最高裁は、形式的な契約ではなく、実質的な働き方から「労働者に当たり、団体交渉権がある」という判決を出しました。 委託も請負も「労働者」 合唱団の「契約メンバー」として働いていた女性は、公演や練習で年間230日も拘束され、同劇場のオペラ公演に欠かすことのできない歌唱労働力でした。エンジニアは、会社と業務委託契約を結ぶ「個人請負」とされていますが、必要不可欠な労働力として会社に組み入れられ、その指揮監督のもとで働い