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猛暑に注意を
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色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年作者: 村上春樹出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2013/04/12メディア: 単行本クリック: 3,074回この商品を含むブログ (126件) を見る3年ぶりの新刊ということで楽しみにしていた。発売日に買い求め、通勤の電車の中で少しずつ読み進めた。というと村上春樹さんの熱心なファンのようだが、私は彼の著作の半分くらいしか読んでいない、中途半端な読者だ。短編は結構好き。長編では、「羊をめぐる冒険」「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」が好き。一番はじめに読んだ「ノルウェイの森」は苦手。「1Q84」は好きか嫌いかでいえば嫌い。今回の「多崎つくる」は、本当に村上さんらしい小説だった。この物語世界においては、下品な、もっと悪い言葉でいうとDQNな人物は出てこない。少なくとも主人公を取り巻く人たちは、みんなアッパーミドル的な階層に属していて、
9月某日、父を亡くしました。突然のことで、葬儀を終えた今も、父がもうここにいないことが信じられません。以下、たぶん私以外の人にとってはどうでもいい内容ですが、書かずにいられなかった文章です。たたんでおきます。私の知っている父のこと私と弟は、父と同じ仕事に就きました。強制されたわけでも懇願されたわけでもなく、ただなんとなく同じ道を歩くことになっていたという感じです。しかし父はその分野では一流の研究者として広く名を知られていましたが、どうやら私は一生かかってもそんなふうに大成することはなさそうで、申し訳なく思っています。父は、ただ一人の孫である私の娘を、それはもう溺愛していました。孫のためにおもちゃを買い込み、部屋を改造し、手作りの絵本を作成し、離乳食まで作ってしまうおじいちゃん。「愛情」というのは目に見えるものであることを、私は初めて知りました。そして、かつて私も弟もこうやって愛され育てられ
やっと客観的に振り返ることができるようになってきたので、記録しておく。日本小児科学会では、様々なメリットをあげ、母乳育児を推進している。小児科医としてトレーニングを積んできた私が、子どもは母乳で育てたいな、と思うことは自然なことだった。しかし、簡単にはいかなかった。まず、生まれた赤ちゃんが早産低出生体重児だったこと。生下時体重が2000gを大きく下回っていた娘は、直接私の乳首から飲めるようになるまでに3週間を要した。それから、私が産褥期に体調を大きく崩してしまったこと。必死で搾乳していたが、一時はほとんど母乳が出なくなってしまっていた。母乳が出なければミルクで育つ。それでいい、と思う。今は。けれど、産後すぐの混乱した頭では、そういうふうに落ち着いては考えられなかった。母乳が出ないことは何よりも苦しかった。罪の意識が私を苛んだ。NICUに入院中の子どもに母乳を届けること、飲んでもらうことは、
白檀の刑〈上〉 (中公文庫)作者: 莫言,吉田富夫出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2010/09/22メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 4回この商品を含むブログ (2件) を見る白檀の刑〈下〉 (中公文庫)作者: 莫言,吉田富夫出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2010/09/22メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 2回この商品を含むブログ (1件) を見るハ・ジンの小説とは違って、こちらは中国語で書かれた中国の現代文学。莫言(モオイエン)は、「アジアで最もノーベル文学賞に近い作家」なんだそうだ。時は清朝末期、山東省高寧県。ドイツ軍の支配下にある鉄道敷設現場を組織を率いて襲撃したかどで、孫丙という男が捉えられた。西太后、袁世凱の裁きの下、極刑「白檀の刑」に処せられることとなる。腰斬刑、凌遅刑など、古来中国で行われてきた死刑の方法は「見せしめ」の一面も大きく、
星野道夫 永遠のまなざし作者: 小坂洋右,大山卓悠出版社/メーカー: 山と溪谷社発売日: 2006/09/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 4回この商品を含むブログ (7件) を見る写真家星野道夫が、カムチャッカ半島でのヒグマの取材中*1に、まさにそのヒグマに襲われて命を落としたというニュースは衝撃的だった。享年44歳。1996年8月のことだ。それから10年を経て、星野道夫の友人だった二人が、地道な取材、インタビューを積み重ね、この悲劇の背景にある真相を丁寧に解き明かしていく。クマについてくわしく、旅慣れていた星野が、なぜこのような事故にあったのか。油断や慢心があったのだろうか。結論を書く。星野を襲ったヒグマは、地元のテレビ局スタッフによって、撮影のために無責任な餌付けをされていたというのだ。野生のヒグマは、通常ヒトを襲わないという。しかし、ひとたびヒトの食べ物の味を知り、そ
累犯障害者 (新潮文庫)作者: 山本譲司出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2009/03メディア: 文庫購入: 10人 クリック: 126回この商品を含むブログ (49件) を見るこれもちきりんさんのところで知って読んでみた本。著者の山本氏は元国会議員で、菅直人氏の秘書を務めたこともある人。公設秘書給与の流用問題で有罪となり、あえて控訴することなく懲役1年6ヶ月の実刑判決を受け入れたという。その辺の事情も知りたくなったので、先にこっちも読んでみた。獄窓記 (新潮文庫)作者: 山本譲司出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2008/01/29メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 18回この商品を含むブログ (31件) を見る秘書給与の流用といっても私腹を肥やしていたわけではなく、相手も了解の上で事務所の運営資金として活用していたようだ。が、ライバルに足元をすくわれ、裏切られた形で不正流用
若者殺しの時代 (講談社現代新書)作者: 堀井憲一郎出版社/メーカー: 講談社発売日: 2006/04/19メディア: 新書購入: 12人 クリック: 242回この商品を含むブログ (171件) を見るちきりんさんの記事結婚と恋愛のレート - Chikirinの日記を読んで、探して買ってきた。いつから、「クリスマスは恋人と一緒にディナーを食べて二人で過ごす」ことになったのか。女性誌、男性誌、それぞれの特集を1年ごとに追って、その「変化点」を見出していく過程が面白い。クリスマスが恋人たちのものになったのは、1983年からだ。そしてそれは同時に、若者から金をまきあげようと、日本の社会が動きだす時期でもある。「若者」というカテゴリーを社会が認め、そこに資本を投じ、その資本を回収するために「若者はこうすべきだ」という情報を流し、若い人の行動を誘導し始める時期なのである。若い人たちにとって、大きな曲
岩波書店からハードカバーで出ていたサトクリフ作品が、5年かけて全て岩波少年文庫に収録された。(次はアーサー・ランサムが全部入るそう。)私が子どもだったころ、学校の図書室や町の図書館の児童書コーナーには、必ずサトクリフが並んでいた。が、あまりたくさん読まれている本ではなかったように思う。私自身も、中学生のころにざっと読んだくらいで、どっぷりとはまったわけではない。大人になって読み返して、その内にある思いがけない熱に驚いた。硬質な文章、淡々と事実を記したかのような地の文、時代がかったものいい。しかし、物語は、そして伝わってくるテーマは、とても熱い。読まないと、もったいない。はてななどで検索しても感想文が少ないので、せめてと思いまとめてみた。興味を持っていただける方が一人でもいたらうれしい。中学生、高校生の方は読書感想文にいかがですか。ローマン・ブリテン四部作三部作+時を置いて書かれた第四部から
西原理恵子月乃光司のおサケについてのまじめな話 アルコール依存症という病気作者: 西原理恵子出版社/メーカー: 小学館発売日: 2010/07/01メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 314回この商品を含むブログ (5件) を見るアルコール依存症の夫と暮らした経験のある西原さんと、アルコール依存症から立ち直った経験のある月乃さんの共著。100ページくらいのうすい本だ。私は小児科医なので、直接アルコール依存症の治療に携わることはないが、ここ数年、児童相談所や児童養護施設絡みの仕事をすることが多くなり、必然的に「家族の問題」に触れることが多くなってきた。「お酒」が原因で壊れてしまった家族は、確かに存在する。アルコール依存症は、病気である。成人男性の50人に1人。少なくはない。そして、10年生存率は50%。死に至る病なのである。前半の、アルコール依存症になり変わってしまった鴨ちゃんに疲労
「新型インフルエンザのワクチンをうちの子に優先的に打ってくれ」というねじ込みに近い問い合わせが一日数件あるのだけれど、どこの病院でもそうなのだろうか。かかりつけの患者さんではなく、ここがどういう病院であるか*1も知らないような人。多分市内の病院に片っ端から電話してるのではないか。そういう人はたいてい、「誰かが隠し持っているはず」という疑心暗鬼に陥ってしまっている。うちは、医療従事者の分すら行きわたらなかった地方の弱小病院。かかりつけ患者には重症心身障害児も多く、どうやって守っていくか、頭を悩ませている状態。隠し持つ余裕なんかあるはずもない。「わが子を思う親の気持ち」はうつくしいが、だからといって何を言っても許されるというわけではない。厚生労働省:健康:新型インフルエンザ対策関連情報その辺の末端の医師を問い詰めるより、↑の官報を見るほうが早いですよ。
「猫、ただいま留守番中 (幻冬舎文庫)」を読んでいたら、唐突に「そういう症状(注:猫の困った行動)にはこのレメディです。」という文章が出てきてのけぞった。え、え、そういう本だったの?ちょっと検索したら、出てくる出てくる猫のホメオパシー治療体験談。某有名里親募集掲示板でも「皮膚はホメオパシーにて治療中です」というのを見つけて、ペットの世界では比較的よくあることなのかなあと思った。キャットフードの世界もなかなかに恐ろしい。あちこちで見かける「ホリスティック」の文字。おいしそうだったのでなんとなく買ったキャットフードに、こんな説明書きが添えられていたりする。ペットに必要な栄養を満たしつつ自然治癒力を引き出し、体内の毒素を排泄させるような食餌を食べさせましょう。オーガニック素材や無添加であることにこだわって、なるべく体内に毒となるものは入れないようにします。 疑似科学や代替医療でよく見かける文句だ
三連休は、無理やり休んで旅行に行ってきました(私の3月の休日はこの3日間だけです)。目的地は竹富島。離島の拠点、石垣島から船で10分のところにある、周囲9.4kmの小さな島です。美しい珊瑚礁に囲まれ、赤い瓦と漆喰でできた伝統的な平屋が立ち並び、珊瑚の石垣には花が咲きこぼれる、そんな島です。この島は、猫たちの楽園として知られています。本当に島のあちこちに猫がたくさん。そしてみんな人なつこく、愛想が良いのです。以下、写真(主に猫)ばかりなのでたたみます。海がきれいでした。そんな砂浜にも猫。看板の前にも猫。すごい寛ぎぶりでした。↓この子は石垣の上にいて……。声をかけたら降りてきてすりすり。別の子ですが、この子は歩いていた私たちを呼び止めて「なでなさい」と強要。(近すぎて写真撮れない…。)黒白、サバ白の子が多かった中、仲良しの三毛とサビを発見。すごく仲が良くてほのぼのしました。夕暮れ、家路を急ぐ猫
不登校、選んだわけじゃないんだぜ! (よりみちパン!セ)作者: 貴戸理恵, 常野雄次郎出版社/メーカー: 理論社発売日: 2005/01/20メディア: 単行本不登校のことをずっと考えている。今、不登校の子どもを診る小児科医として。それから、死ぬほど学校を嫌いながらも、歯をくいしばるように学校に行きつづけた自分自身の問題として。この本の著者は二人とも私と同世代で、不登校当事者。自身の体験を元に不登校論を展開していくが、そこにはたくさん矛盾が含まれている。学校が怖いつまらないし、どうして行かなきゃいけないの?「私は学校に行けない、じゃなくて行かないんだ!」「選んだわけじゃない、本当は行きたかった」と、貴戸さんの主張は読み進めるごとに変化していき、前の章で言っていたことがその都度覆され、読者は戸惑う。論理的にはところどころ破綻している。でもそれが、「不登校」の本質であり、30をすぎた本人にさえ
東京新聞:週のはじめに考える 血液型では決まらない:社説・コラム(TOKYO Web)血液型占いなんて飲み会のネタでしょ、と思っていたが、そうでもないのである。外来で、「子どもの血液型を調べてください」と言われることがよくある。私の勤務する大学病院では、現在輸血前提以外での「血液型検査」は行っていない。手術や輸血の予定がない人が、血液型を知ることには何もメリットがない。例えば緊急で輸血が必要な場合、その時に必ず検査しなおすのだから、あらかじめ知っておかなくても何の問題もないのだ。そのことを説明してお断りすると、「じゃあ、この子の性格がわからないじゃないですか!」と言われたことも……。どこから突っこんだらいいのかわからない。そういうお母さんはちょっと極端だとしても、入園時に書類に記載しなくてはいけない保育園、幼稚園があるようだ。それでクラスわけする、というところまではうちの周囲ではやっていな
3月いっぱいで大学院を卒業するため、再び大学医局に就職する手続きをとった(私は院入学時に退職金ゼロで退職している)。身分は、「病院助教」。少し前まで講師>助手>病院助手といっていた部分の、最下層にあたる。ここから再スタートだ。と同時に、少し遠い病院への派遣が決まった。このあたりのシステムは複雑で、説明しにくい。こういう質問が出るくらい。→医師の方に質問です。異常に転勤が多いサラリーマン医師はなぜなんでしょう? 私の弟は、医局に属している(?医局制度って、なくなったんでしたっけ)内科医なんですが、.. - 人力検索はてな私は「大学小児科」に所属しながら、派遣先へとりあえず1年の契約で出向する。基本的には、派遣先の上司の指導のもとで仕事し、お給料もこの派遣先からいただくことになるが、私は大学の人間でもあり、週に1回は「研究日」をとって大学病院で仕事もする。新しい勤務先は、重症心身障害児施設兼リ
無事に終わりました。プレゼン30分、質疑応答30分、その後発表者はいったん退室して審議(長く感じましたが10分くらい)、再度呼ばれて、審査委員長からの講評、という流れ。1月に提出済みの論文は、概ね大丈夫そうです。細かいところの手直しは必要ですが。いろいろと不完全な部分もあったし、もう少し続ければ結果が出るかもしれない(出ないかもしれない)微妙な部分もあったのですが、限られた時間の中で、「ピペットの持ち方」からスタートした素人研究者の到達地点としては、このくらいが精一杯だったと思います。分子生物学の基本的手技をいろいろ覚えましたが、ライゲーション、トランスフォーメーションの流れは高校時代からやってみたかったことなので楽しかったです。他には、数日かかる上に微量ですが被曝があってみんなに嫌われているノザンブロット、サザンブロットも好きで、一人でやってました。あと地味にリアルタイムPCRが楽しかっ
ブクマより。レーシックのこと - はてな読みはてなブックマーク - レーシックで目見えすぎワロタwwwwwwwwwwwwwwwwww:VIPPERな俺実は1年ちょっと前にイントラレーシックを受けました。いろいろと憶測による都市伝説みたいになってるので、ちょっとメモしておきます。(最初に断っておきますが、私は医師ですが眼科医ではなく、専門知識は医学部の学生程度です。)私のスペックと術前の状態30代女性。7歳時に近視と診断される。10歳から常にメガネの生活に。14歳からハードコンタクトレンズ使用。手術直前の裸眼視力は両眼とも0.04、−10D以上の「最強度近視」、乱視もありました。コンタクトレンズによる角膜炎、角膜潰瘍を繰り返し、コンタクトレンズが使用できなくなったのをきっかけに、レーシックを受けることにしました。術後術後の視力は両眼とも1.2で、術後1年以上たっても低下はありません。痛みは術
この世でいちばん大事な「カネ」の話 (よりみちパン!セ) (よりみちパン!セ)作者: 西原理恵子出版社/メーカー: 理論社発売日: 2008/12/11メディア: 単行本自分に子どもがいて、中学生くらいになったらぜひ読んでもらいたいと思う本だ。貧しかった生い立ち、DV家庭の中で覚えた悲しみ、高校中退にいたる経緯と大人への不信、自分の力でお金を得るようになるまでの戦い、そして現在、息子と娘を持つ母親としての視点。中高生向きに平易な文章で語りかけながらも、経験に基づいたその言葉は真摯で深い。世の中の多くの人は、カネのハナシをしない。 特に大人は子どもに、「お金の話をするのははしたない、下品なことだ」と言って聞かせたりするよね。でも西原さんは、「お金」を通してみた人生のお話を、目を背けることなく書いていく。「人間はお金がすべてじゃない」「しあわせは、お金なんかでは買えないんだ」っていう、アレ。
時間がたってあちこちで糾弾する意見が出揃ってきて、それでも私の心にはずっとひっかかっている。「政治の立場で申し上げるなら、何よりも医者のモラルの問題だと思いますよ。 忙しいだの、人が足りないだのというのは言い訳にすぎない」(二階俊博経産相)失言、ではなくて、本当にそう思っているということの露呈だろうなあ。そして某虫じゃないけれど、表立って言う人がこの人だけだったとしても、そういうふうに思っている人がその何十倍もいるってことなんだろうなあ、と思う。「私は完璧な人格者です。モラルには自信があります。」といえる人は、医師に限らずどこにもいないだろう。(いたら逆にモラル的に心配な人格かも。)私は普通の人間だから、体力や気力には限界がある。可能な限り誠実に患者さんに接してきて、自分なりの「モラル」を守って働いているし、私の知っている限り小児科や産科の他の医師たちだってそうしているけれど、そうしてもど
いつもはガラガラなのに、夏休みはとても混んでいる。でも本を読んでいる人、選んでいる人はとても少ない。家に居場所がないのか、単に涼しい場所を求めてなのか、ソファを何人分も占領して爆睡している中高年の男性。自習スペース(近所の図書館には独立した自習室はない)で携帶電話をいじりながらひそひそと話している高校生たち。絵本コーナーでは大声を上げて走りまわる子供たちがいて、そのすぐそばにいる母親たちは、気にも留めないようすでおしゃべりに興じている。ここはまだマシな方で、実家近くの大きな市立図書館では、畳とテレビを置いた「くつろぎスペース」が設置されたとたん、どうみてもホームレスな人たちが一日中占領して睡眠を取る場所になってしまった。ここは雑誌の最新号も棚に並んだ瞬間になくなってしまう(無断で持ち帰る人がいる)、利用者のマナー的にも最悪な図書館である。図書館ってどこもこんな感じなのだろうか。
桃の向こう作者: 平山瑞穂出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング発売日: 2008/09/26メディア: 単行本ロストジェネレーション世代の10年前の恋愛と現在を描いた連作短編集。作者は「ラス・マンチャス通信 (角川文庫 ひ 19-1)」の人だけれど、これは不条理異世界ファンタジーではなく普通の恋愛小説だ。煌子という純粋な女子を挟んで、おぼっちゃん育ちで派手だけれど素直な多々良と、哲学的な瞑想ばかりしている非コミュ非モテな来栖の2人の学生時代、卒業前後、そして現在が視点を変えて描かれている。地下鉄サリン事件、テロ事件、そして安陪総理の辞任に至るまで、時代を切り取ったキーワードが満載。私は世代的にはロスジェネど真ん中だけれど、医学部だったので就職氷河時代は経験していない。地方都市での学生生活も、ここで描かれているような“バブルの余韻を引きずった”派手なものではなかった。でもなんとなく
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