大地の電気抵抗 電子回路で,なぜ地面が電位の基準として使われることがあるのか,と思うかもしれない.実は大地は導体なのである.導体であれば,もし電位の差があれば,すぐさま電荷が移動してその電位差を解消してしまうので,電位はどこでも同じに保たれるはずである. そんなことを言っても「土や砂や岩には電気は流れないではないか?!」と思うだろう.そのとおりである.実はこれは,もっとはるかにでっかいスケールでの話なのだ. 電気抵抗というのは電線が太いほど小さくなる.大地は無限と思えるほどの厚み,広さがあるので,流れる経路には困らず,巨大なスケールで大きな電流を流した場合には電気抵抗は非常に小さいのである.実は 10 m 四方の太さがあれば十分に抵抗は少ないと言える.そのとき,太さは普通の 1 mm2 程度の導線の 10000 × 10000,すなわち 1 億倍もあるのだ.そもそも,土壌や岩盤には水が含ま