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衆院選
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Feb 25, 2005 ★ 佐藤卓已 『言論統制 情報官・鈴木庫三と教育の国防国家』 中公新書 テーマ:歴史分野の書籍のレビュー(111) カテゴリ:歴史 久しぶりに、素晴らしい著書を読んだので、不躾だが紹介したい。 中央公論新社より発売された、佐藤卓已『言論統制 -情報官・鈴木庫三と教育の国防国家』である。 鈴木庫三。 雑誌社の社史に、「戦時中の言論弾圧者」として名指しされた悪名高い人物。 反抗する雑誌社に、サーベル片手に「潰してやる」という脅しをかけたこともあった、軍国主義者の代名詞。戦時中、悪名高い、用紙統制と言論統制を実施した陸軍の代表的人物。だが、戦時中以外のエピソードが語られることもなく、誰もがその存在を深く探求することはなかった、忘れ去られた人物でもあった。理由はなぜか。著者はそこに、鈴木庫三のもつ特異な経歴と、言論弾圧による戦後の「被害者共同体」の存在をみる。こうした研究
Sep 28, 2005 ★ なぜ「ぼく地球」以外は駄作なのか 日渡早紀 『ボクを包む月の光 「ぼく地球」次世代編 』 花とゆめCOMICS (13) テーマ:今日読んだマンガは??(10472) カテゴリ:サブカル・小説・映画 困ったな。新作がでちまった。 迷って、ほっておいたら、買うの忘れてやんの(llllll´▽`llllll) 読了する。 分らない部分が出てくる。 そんで『ぼく地球(たま)』を読み直す羽目になってしまった。 読み直して驚いた。やっぱり圧倒的に面白い。 全21巻。 万人がこれより面白いとみとめる少女漫画なんて、いくつあるんだろう。 そんなの、無いんじゃないか、と思うくらいの至福の喜びをふたたび味わった。 やっぱり、凄いッすよね。 はじめ読んだときは、ショックさえうけた。 「時空」をこえた2つの惑星。 「前世」と「現世」。 よくてSF、悪くいえばオカルトにすぎない。
Mar 12, 2008 ★ 祝! 武藤日銀総裁人事否決!!! (1) テーマ:ニュース(99942) カテゴリ:経済 ▼ いやあ、民主党がやってくれました。民主党が日銀総裁人事を否定してくださいました。 選挙で1票入れた価値がありました。 メデタイ、メデタイ。 ▼ いろんな番組見たけれど、所詮、金融市場を知らない与党議員が、日銀総裁人事が通らねば、日本経済が破滅に向かう!!!!と、自民党お得意の「死ぬ死ぬ詐欺」 をやっていただけだった。 知らないなら出てくんなよ、テレビに。 ▼ 「知らない奴」は、たいてい、「抽象的」な議論(武藤氏は経験がある!!!)と専門用語の羅列(サブプライム云々)に逃げ込んでしまう。 ブログをご覧の皆さんが、詭弁を判定したい際、気をつけてほしい。 ▼ 今回の自民党の敗因は、メディアではまったく言われていないが、明らかに、白川方明氏を副総裁にしてしま
Nov 22, 2007 ★ 大江健三郎 『沖縄ノート』 裁判について 文芸評論家・山崎行太郎の鋭さに感心 (8) カテゴリ:哲学・思想・文学・科学 ▼ 大江健三郎『沖縄ノート』をめぐる裁判において、山崎行太郎氏は、保守系評論家でありながら、大江健三郎支持に回って健筆をふるっている。 これが、実に面白い。 大江健三郎を擁護する。女々しい日本帝国軍人の「名誉回復裁判」で…。 誰も読んでいない『沖縄ノート』の記述。…大江健三郎を擁護する(2)。 大江健三郎は集団自決をどう記述したか? 曽野綾子の「誤読」から始まった。大江健三郎の『沖縄ノート』裁判をめぐる悲喜劇 ▼ 何よりも、大江健三郎の文学に批判的でありながら、文学を守るため、一人、孤高に立ち向かうさまがいい。 東方会の中野正剛は、東条政権に立ち向かい、かなわず自害するが、その座右の銘は「一国は一人を以って興り、一人を以って
Nov 9, 2007 ★ 世界一の新聞社と主筆、読売新聞と渡辺恒雄を讃えよう (3) テーマ:政治について(20024) カテゴリ:政治 読売新聞の記事は他新聞と比べて一番まともではないだろうか? 売りにくる販売勧誘員は「日本一の新聞」の自負を持っていて、 はじめてのお宅に訪問に出向いても、押売のような真似はしない。 従来型の一国平和主義に批判を加え憲法草案をつくっても、 米国や中国との協調を主張してやまない。 慰霊を靖国神社にもとめる遺族たちの思いを政治に利用してきた 安倍晋三などの極右政治家の靖国参拝を批判してきたのだ。 夫婦・家族を扱う家庭欄を中心として、読売新聞は ナイーブなフェミニズムに反対してきた。 ベルリンの壁崩壊以降、 恒常化しつつあるグローバル資本主義の中で、「株式の 売買で濡れ手に粟」流の拝金主義に警鐘を鳴らしてきた。 国益を第一に考えているだけではない。 ゴア前副大
Nov 1, 2007 ★ 小谷野敦の間違いをみつける 『愛国戦隊大日本』 (2) カテゴリ:サブカル・小説・映画 2007-10-30 愛国戦隊大日本 製作当時、『アニメック』で、池田憲章の連載のパロディーとして書かれた文章で知ったとき以来、初めて現物を見た「愛国戦隊大日本」である。 しかし時は流れた。もはや、右翼といえば反共という図式が成立しない。ロシヤはもはや社会主義国ではないし、佐藤優のようなロシヤのスパイの右翼も登場した。 --------------------------------------------------------- ▼ ミスの多い方ですな、小谷野氏は。 ▼ 「愛国戦隊大日本」は、1982年8月14日、日本SF大会「TOKON 8」で放映。 製作されたのは、当然、1982年ということになる。 ▼ そして、池田憲章の「特撮ヒーロー列伝」のパロディ
Oct 21, 2007 ★ NHK特集「振武寮」、特攻隊の憂鬱 (3) テーマ:政治について(20023) カテゴリ:歴史 ▼ NHK特集は、戦争や特攻隊を扱うと、悲惨さ、非道さを全面に出してくる。 それはそれで、悪いとは思わないんだけど、どうしても肝心なことが抜けてしまうんだよな。 ▼ 特攻隊は、志願してなくても、「希望せず」と言っても、志願した形にされて特攻隊にさせられた、ということを明らかにしていた今回の特集。 これは良かった。 ▼ でも、特攻隊は、「学徒出陣兵」ばかりに割り当てられ、「職業軍人」「一般人で徴兵された下士官・一般兵」はほとんど割り当てられていない、ということをなぜ言わないんだろう。 ▼ ナベツネを始めとして、丸山真男など、大学卒の軍経験者は、おしなべて、戦後、日本軍を憎悪してきた。 軍隊にいて、戦後も日本軍、とくに陸軍を好
Sep 13, 2007 ★ 安倍晋三礼賛報道の責任は、読売・産経・文春・新潮よ、取るべきだ (7) テーマ:政治について(19977) カテゴリ:カテゴリ未分類 ▼ 安倍首相、緊急入院 マスコミからのバッシングを受け、首相官邸に引きこもっていた、安倍首相。 とうとう「美しい国」に緊急帰国されたそうです。 2度と薄汚い日本に戻ってこなくていいよ。 ▼ 残された自民党総裁室には、驚くべきことに、以下のような書き置きが… 経団連の皆様、ホワイトハウスの皆様 私自身の不明、不徳の為、 お騒がせ致しましたこと、 ご迷惑をおかけ致しましたこと、 衷心からお詫び申し上げます。 自分の「職責」を持って責任とお詫びに代えさせていただきます。 なにとぞ、お許し下さいませ。 残された小泉チルドレンたちには、皆様方のお情けを賜りますよう お願い申し上げます。 ブッシュ大統領、アメリカ合衆国万歳
Sep 5, 2007 ★ 自民党議員兼任農業共済組合長リスト テーマ:政治について(20023) カテゴリ:カテゴリ未分類 ▼ 税金ネコババによって辞任した遠藤前農相で有名になった「置賜農業共済組合」。 政務次官(副大臣だっけ?)当時も、組合長を兼任。 こうした、利益相反を平気でやらかしていたことには、驚くほかはない。 農林水産省と農業団体の癒着の深さは、想像を絶するほどだ。 ▼ 民主党の山岡賢次国対委員長は、自民党議員であるにもかかわらず、農業共済組合の組合長を兼任している議員一覧を発表した。 丁度良いので、その一覧を掲示しておきたい。 二田孝治 秋田1区(比例区) 秋田県連合会会長/古賀派 大野松茂 埼玉9区 埼玉県連合会会長・埼玉中部組合長/町村派 柳沢伯夫 静岡3区 静岡県連合会会長/古賀派 大村秀章 愛知13区 愛知県連合会会長/津島派 河村建夫 山口3区
Sep 3, 2007 ★ 遠藤農相辞任、安倍改造内閣、麻生太郎人気の不思議 エトセトラ (2) テーマ:政治について(20023) カテゴリ:カテゴリ未分類 ▼ 遠藤農相が辞任したそうで、解散総選挙がいよいよ近づいているようだ。 後任の農相には、若林前環境大臣。 この人、かなりすごい経歴の持ち主である。 安倍首相による松岡農相殺害、赤城農相切腹のあと、それぞれ2度も代理大臣をつとめている。 実に3度目の登板。 「安倍お笑い内閣」としか思えない。 なんで最初から若林にしなかったんだろう。 ▼ もう2度と、不祥事による大臣更迭を防がなければならない。 そのためには、『特ダネ』の小倉智昭キャスターは、農水相を空席にしろといったようだ。 どうせ、冗談のつもりなら、故・松岡利勝農水省の再任の方が良いのではないか? 「幽霊大臣」松岡農相は、素晴らしい人事ではないか。 なにしろ、松岡農
Aug 29, 2007 ★ 「一大敵国」大阪朝日新聞社はどうして軍部に屈服したのか? 今西光男 『新聞 資本と経営の昭和史』 朝日選書 (新刊) 後篇 テーマ:政治について(20022) カテゴリ:経済 (この日記は前編からの続きですので、こちらからお読みください) ▼ あとは、一瀉千里であった。 「竹槍では間に合わぬ、航空機だ」と書いただけで、東条英機から懲罰徴兵を食らわされそうになった、毎日新聞記者・新名丈夫(懲罰徴兵ではないという建前のため、新名記者と一緒に丸亀連隊に徴兵された250名は、全員、あの硫黄島で玉砕させられてしまう)。 用紙不足。 新聞共同印刷。 「一億玉砕」を叫ぶ朝日の記事には、 『軍神』を読んだ後では、むしろ、悲しみさえ伝わってくる。 米内・小磯の間をとりもち、小磯内閣を誕生させた緒方は、国務相・情報局総裁の就任を断ることができなかった。 座右の銘が「
Aug 16, 2007 ★ 靖国右翼は、自分が卑怯者の子孫であることの夢をみるか 山室 建徳 『軍神』 中公新書 (新刊) (1) テーマ:政治について(20021) カテゴリ:歴史 ▼ 「八月ジャーナリズム」の時期がやってきた。 この時期になると、テレビでは、それまで見向きもしていない、「ヒロシマ・ナガサキ」を語りだす。 そして、「ヤスクニ」参拝の是非を問う。 八月は、出版メディアのかき入れ時なのか、本屋にも戦争本が並ぶ。 ▼ この本も、そんな1冊、のはずだった。 ▼ しかし、その読後感は、これまでどの本でも体験したことのない、奇妙な、類例のないものであった。 もし、少しでも興味があるのなら、このブログを読むのをやめて本屋に行って欲しい。 この本は、内容そのものではなく、あなたに与える読後感にこそ、価値があるように感じるからである。 その苦い味わいをここで知
Aug 7, 2007 ★ 維新政党新風よ、永遠なれ 『スレッド Vol.1 』 晋遊舎ムック、(最新刊) (2) テーマ:政治について(20021) カテゴリ:哲学・思想・文学・科学 ▼ 維新政党新風が、「9条ネット」「女性党」にまで比例で大敗北した、参議院選挙翌日。 とてつもない雑誌が創刊された。 その名は、『エンタメ×カルチャー×オピニオン大衆啓蒙 MAGAZINE』なる謳い文句をかかげる、極右雑誌『スレッド』。 どうだろう。 皆さんの近くの本屋に並んでいないだろうか。 ▼ もう、表紙からすごい。 今をときめく、尻美人、モデルの秋山莉菜。 その微笑みの下の赤字の帯、「日本を売っちゃった人々」をみよ。 マジなんだか、ネタなんだか、さっぱりわからない。 もの凄くサイケである。 ▼ 中身はさらに凄い。 ほとんど、2ちゃんねるの「ニュー速」「極東アジア板」「ハ
Aug 2, 2007 ★ 偉大なる小沢一郎にみた、古き良き自民のおもかげ (5) テーマ:政治について(20021) カテゴリ:カテゴリ未分類 ▼ 小沢一郎は、やはり凄い。 ▼ だれもが言っていることだけど、今回の参議院選挙で、心の底からそう思った。 凄い奴だとは思ってた。 だから、ずーっと、ファンだった。 でも、まさか、ここまで凄い政治家だとは。 心から言える。 小沢一郎、ありがとう。 あなたのマジックをみられて、わたしは幸せでした。 ▼ 世論調査で、連呼された民主優勢。 どんなにいわれても、とても信じられなかった。 ぜったい、アナウンス効果がある。 自民支持層は、マスコミ辞令に反発するだろう。 結果的に、自民が善戦するに違いない。 しかし、結果はどうか。 121議席中、民主60議席、自民37議席。 民主系無所属も入れれば、65議席と38議席。 民主党の快勝で
Jul 17, 2007 ★ 日教組・全生研教育のユートピア 原 武史 『滝山コミューン 一九七四』 講談社 後編 (新刊) (4) テーマ:政治について(19864) カテゴリ:哲学・思想・文学・科学 (この日記は前編からの続きですので、こちらからお読みください ▼ 本書は、アマゾンの読者レビューはむろんのこと、朝日新聞や読売新聞などの大手メディアでも採りあげられている。 一般的なブログにおいても、おおむね、「滝山コミューン」に批判的立場からの感想が多いようだ。 曰く、「日教組の全体主義教育」。 曰く、「戦後民主主義下の個性の抹殺」。 だからこそ、原武史が突然、「滝山コミューン」を肯定するかのような末尾の議論、別様の「民主主義」の可能性を論じたことについて、理解できないムキも多いようだ。 ▼ ここで、告白しておかなければなるまい。 わたしもまた、原武史と同じよ
Jul 13, 2007 ★ 日教組・全生研教育のユートピア 原 武史 『滝山コミューン 一九七四』 講談社 前編 (新刊) (2) テーマ:政治について(19858) カテゴリ:哲学・思想・文学・科学 ▼ 読了後、涙があふれた。 押しつけではない「真理の教授」と「民主的社会の建設」は調和する、と心から信じることができた、「美しい夢」の時代に。 そしてそれは、「滝山コミューン」として、現実の世界で結実したのである。 本書の筆者、原武史氏にとっては、「苦い思い出」として描かれた「滝山コミューン」。 歴史のかなたへと消えた、抑圧の象徴「滝山コミューン」に、わたしは何故か感動と憧憬を禁じえなかったのである。 ▼ 本書をおさらいしよう。 ▼ 1970年代は、一般にいわれているように、「政治の季節の終焉」「左翼運動の衰退の時代」ではなかった、という。 「全共闘世代」は
Jul 9, 2007 ★ 革命を現実のものにするための必読書 白井聡 『未完のレーニン』講談社選書メチエ 後編 (新刊) テーマ:歴史分野の書籍のレビュー(111) カテゴリ:哲学・思想・文学・科学 (この日記は前編からの続きですので、こちらからお読みください) ▼ 第3部は、理論書でもなく戦略書でもない、『国家と革命』についての、法外なテクストを法外なまま読解する、意欲的な試みである。 ▼ ブルジョア国家は、階級対立の非和解性の産物にほかならない。 ブルジョア国家誕生の後、もはや搾取は人格的支配ではなく、経済過程を通してなされるほかはない。 ブルジョア国家は、脱人格化し、「法の支配」の外套をまとう。 「階級間の対立」は、国家と特定階級との対立におきかえられてしまい、国家は、階級対立そのものを否定する体制としてあらわれざるをえない。 とはいえ、ブルジョアが国家に力を備
Jul 5, 2007 ★ 革命を現実のものにするための必読書 白井聡 『未完のレーニン』講談社選書メチエ 前編 (新刊) テーマ:政治について(19858) カテゴリ:哲学・思想・文学・科学 ▼ 一匹の妖怪が思想界を徘徊している。 レーニン主義という妖怪が。 旧思想界のあらゆる権力がこの妖怪征伐の為の神聖同盟づくりに結託した。 仲正昌樹と東浩紀、八木秀次と小谷野敦、岩波のカルスタ派と『諸君』の公安スパイという具合に。 ▼ …… ▼ またやってしまった。 皆さんはご存じか。 近年、左翼の思想業界(狭い!)の中では、レーニンが世界的ブームになっているらしい。 現実の「マルクス=レーニン主義国家」は、とっくに崩壊した。 ところが、その創始者=「権威」として批判され、不平・不満の対象にされていたはずのレーニンは、最近、劇的な復活を遂げている。 映画『グッバイ、レーニン』
Jun 27, 2007 ★ 矢吹晋 『激辛書評で知る 中国の政治・経済の虚実』 日経BP社 (新刊) (1) テーマ:経済分野の書籍のレビュー(50) カテゴリ:経済 ▼ 本当に素晴らしい。 面白い、小気味よい、痛快、と3拍子揃った書物が刊行された。 現代中国の専門家、矢吹晋氏(横浜市立大学教授)の書評を一冊にまとめたもの。 愚にも付かない中国モノが書店に氾濫する惨状に、頭を痛めている人たちには、待ちに待った書物といって良い。 クズ本が一刀両断されている。 ▼ なんといっても、冒頭から圧巻!!!! ユン・チアン『マオ 誰も知らなかった毛沢東』は、けちょんけちょん。 「稀代の悪書」扱い。 コミンテルン史観だの、三文小説だの、旧ソ連アーカイブを強調する虚仮威しは笑止千万だの、悪罵が凄まじい。 そりゃあ、中国共産党設立を1920年とすることで、露骨に毛沢東の権威を引きずり下
Jun 7, 2007 ★ 小谷賢 『日本軍のインテリジェンス』 講談社選書メチエ (新刊) (7) テーマ:歴史分野の書籍のレビュー(111) カテゴリ:社会 ▼ 日本はどうして先の戦争に負けたのか。 この手の類は、本屋に氾濫しているけれど、ここまで充実した本はなかなかお目にかかれない。 現代におけるインテリジェンス活動のあるべき姿にも一石を投じうる、まさしく「史鑑」となりうる著作が上梓されている。 これを機会に、ご紹介しておきたい。 ▼ 本書によれば、日本陸軍は、暗号解読など優れ、中国のみならずアメリカ暗号まで解読していた。 にもかかわらず情報戦に敗北したのは、「作戦重視、情報軽視」「長期的視野の欠如」「セクショナリズム」にみられる、日本軍のインテリジェンス能力の欠如にあるという。 とくに、本来、インテリジェンス活動は、「情報の分析」と「情報の共有」が水平的に連携した形で
May 31, 2007 ★ 「小谷野敦 VS 佐藤優」 紛争のくだらなさ 佐藤優 『自壊する帝国』 新潮社、2006年5月 (7) テーマ:社会関係の書籍のレビュー(95) カテゴリ:哲学・思想・文学・科学 ▼ 「佐藤優という『罠』」『アエラ』4月23日号を契機にして、佐藤優と小谷野敦は、論争というか、論争にもなってないというか、空中戦・盤外戦を演じているのはご承知のことであろう。 ところが、この紛争、はやくも小谷野敦の劣勢。 山崎行太郎ブログで皮肉られているが、むべなるかな。 ▼ 遊女の平均年齢をめぐる論争といい、macskaとの論争といい、小谷野敦のネットでの論争姿勢は、人を不快にさせるものが多いが、『アエラ』というパブリッシュ・ペーパーでやった以上、言い訳がきかない。 この人の仕掛けた論争で、はたして、まともなものがあったのか。 こんなやり口では、門外漢の人間に、
May 27, 2007 ★ タカ派は「バカ派」 田岡俊次 『北朝鮮・中国はどれほど恐いか』 朝日新書 (新刊) (2) テーマ:社会関係の書籍のレビュー(95) カテゴリ:政治 ▼ 平和憲法下の日本では、「紋切り型」の議論が横行しがちだ。 日本では、軍事が忌避されてきたため、軍事・情報とかの国家戦略上重要な問題が蔑ろにされてきた!!!軍事教育を!!などというのも、逆の意味で、「紋切り型」の議論に他なるまい。 言い出すのはたいてい、視野の狭い「軍事オタ」ばかり。 たしかに、おまえたち軍事オタを教育するためにも、軍事学を大学で教えた方がいいかもしれないな、と言いたくなってしまうことが多い。 ▼ そこで、本書の御登場である。 いやはや素晴らしい。 軍事評論家といえば、兵器オタの水玉蛍之丞の兄(岡部イサク)か、アメリカのポチの志方俊之だけと思ったら大間違い。 日本の悲劇は、田岡俊次
Apr 27, 2007 ★ 原田 敬一 『日清・日露戦争』 岩波新書 (新刊) (2) テーマ:歴史分野の書籍のレビュー(111) カテゴリ:歴史 ▼ 岩波新書の近現代史シリーズ。 いよいよ佳境。 本日、ご紹介するのは、日清・日露戦争と日本社会の変動をえがいた通史。 これがなかなか面白かった。 ▼ 簡単におさらいしておこう。 ▼ 本書は、帝国議会から始まる。 政党の意義を認めないわけではない藩閥勢力は、「吏党VS民党」の初期議会に手を焼いた。 しかし藩閥勢力は、民党の基盤を政府財政を動員(=鉄道建設・民力育成)することで切り崩す、「積極主義」で突破していく。 とはいえ、憲法の規定にないものを、政府が一方的解釈をすることはなく、そのつど合議していったという。 「制度上の権力」(内閣)と「事実上の権力」(元勲)の分裂は、政党政治への待望をひきおこし、やがて伊藤博文の立憲政友会へと
Apr 1, 2007 ★ 「対右傾化」最終兵器登場! 大西巨人原作、のぞゑのぶひさ作画、岩田和博監修 『漫画 神聖喜劇』全6巻 企画・編集 株式会社メタポゾン 幻冬舎 (新刊) (1) テーマ:政治について(19857) カテゴリ:サブカル・小説・映画 ▼ 感動のあまり、言葉も出ない。 ▼ ながらく、「戦後文学第一等」とされながら、ドストエフスキーもかくやと思わせる、超重量級のヘビーな作品。 そのため、多くの読者の挑戦をはねのけてきた、日本文学史に屹立する金字塔、大西巨人『神聖喜劇』。 この傑作の漫画化が、今年1月末、堂々完結した。 この快著と思想を世に広めるためにも、一文を草しておきたい。 ▼ 大西巨人作『神聖喜劇』とは、なにものぞ。 1942年、対馬砲台へ入営した、東堂太郎2等兵による、日本陸軍内務班にあらわれた日本社会の悪しき体質との3か月間の抗争をえがく、一大長編小
Mar 21, 2007 ★ イスラム女性は、なぜ学校でスカーフを着用してはいけないのか? 工藤庸子 『宗教 VS 国家 フランス<政教分離>と市民の誕生』 講談社現代新書 (新刊) テーマ:社会関係の書籍のレビュー(95) カテゴリ:政治 ▼ すばらしい。 ▼ 「つまらない本しか出さない講談社現代新書」、という私の偏見を吹き飛ばしてしまう快著である。 このブログを読んでいる人は、ぜひとも本屋で購入して欲しい。 ▼ マザー・テレサが人権のシンボルであることは、日本人にとって自然でも、欧米人にとって奇異であるのは何故なのか。 なぜイスラム女性は、フランスの学校で、「スカーフ」を着用してはならないのか。 そもそも、アメリカ・ドイツ・イギリスでは、宗教教育が盛んなのに、どうしてフランスではかくも厳しいのか? その淵源について、文学作品を使いながらたどってくれる、すばらしい19
Mar 3, 2007 ★ 田島英一 『弄ばれるナショナリズム』 朝日新書 (新刊) (1) テーマ:歴史分野の書籍のレビュー(111) カテゴリ:政治 ▼ 驚いた。 創刊以来、お手軽路線で、重厚さのカケラもない、朝日新書。 「愛国の作法」を始めとして、昔の名前で食ってます、というラインナップ。 ちくま新書や、岩波、中公クラスを期待した人間は、肩透かしを食らわせられた感じだった。 それが現代中国入門を刊行していたなんて。 しかも、これがなかなか要を得ていてすばらしい。 ▼ 簡単にまとめておきましょう。 ▼ 第2章「文明中国と血統中国」では、中国のナショナリズムが、「クレオールだけがネイティヴを発見する(アンダーソン)」の言葉通り、かつて存在したとされる「想像の共同体(=エトニ)」を内面化させた、海洋中国世界のディアスポラ・ナショナリズムに由来したものであることや、先鋭化したエス
Feb 21, 2007 ★ NHKはウソだ! 『その時歴史が動いた 鉄は国家なり ~技術立国 日本のあけぼの~』について (旧・建設予定地) 接触編 (9) テーマ:ニュース(99649) カテゴリ:経済 ▼ みたみた?本日の番組紹介欄。 NHK総合で、こんなことやるらしいの。 本当に大丈夫かしら。 次回の『その時歴史が動いた』は… 鉄は国家なり ~技術立国 日本のあけぼの~ 放送日 平成19年2月21日 (水) 22:00~22:43 総合 ゲスト 佐木 隆三(さき・りゅうぞう)さん(作家) 番 組 内 容 その時 … 昭和5(1930)年1月 出来事 … 鉄道レールの輸入が終わりすべて国産化された イギリス、ドイツ、アメリカなど、鉄を制した国が近代国家として胸を張れる時代に、明治政府は国家の威信を賭けて福岡県八幡村に官営製鉄所を建設する。しかし当初の製鉄技術は海外の設備と技術者
Feb 19, 2007 ★ 安田 敏朗 『「国語」の近代史―帝国日本と国語学者たち』 中公新書 (新刊) (1) テーマ:社会関係の書籍のレビュー(95) カテゴリ:社会 ▼ 最近、忙しくて、読んだ本の紹介がなかなかできない。 基本的にバカバカしい本は、採りあげないことにしているんだけど、それでも本がたまる一方なので困ってしまう。 所詮は、本の備忘録ブログ。 気を取り直して、面白い順、タメになった順番で、じんわりと紹介することにしよう。 ▼ 最近、面白かったのは、コレ。 国民国家の統治システム(「配電システム」by ベネディクト・アンダーソン)のインフラであった、「国語」の機能及び問題を描きだし、批判的に暴いていく。 国家的課題に答えようとした、国語学者たちの歩みを追うことで、ナショナリズムとしての「国語」を描き出そうとするのだ。 ▼ みんなも分かってるとおもうけど、「話し言
Feb 9, 2007 ★ 仲正昌樹 『集中講義!日本の現代思想』NHKブックス(新刊) (2) テーマ:社会関係の書籍のレビュー(95) カテゴリ:哲学・思想・文学・科学 ▼ 小熊英二『民主と愛国』に関する星の数ほどあるレビューの中でも、あまりの最低さに吹き出しそうになったものは、読売新聞編集委員が執筆したものをおいて他にはない。 曰く、「保守思想の動向がほとんど触れられていない」 ▼ 保守思想家といえば、小林秀雄、江藤淳、福田和也……数だけは、一応、あげることができるだろう。しかし、彼らには、いったいどのような違いがあるというのだろうか。 まあ、「目的」なき所に、歴史叙述など生まれようもないわけで、ほとんどイチャモンだよなー、と思った次第。 ▼ それはそうと、『月刊 仲正昌樹』状態と化して、年間10冊以上も本を出す、いささか粗製濫造気味の仲正昌樹氏。 今回の本は、ポストモダン思想
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