かつては「元日の午前以外は休まない」と言い切り、午前6時から午後10時まで年間365日働いた精密モーター大手の日本電産会長兼社長の永守重信(72)。だが、今は午前7時に出社し、午後7時には仕事を終えて退社する。仕事が減ったわけではない。執務机には10種類ほどのはんこ。多い日は200枚近い稟議(りんぎ)書に手書きしていた指示を、可能なものははんこですませ、少しでも働く時間を節約するためだ。 「平成32年に残業をゼロにする」 永守は28年10月、こう宣言した。昭和48年の創業以来、「人の倍働く」を信条に成長を遂げてきた日本電産が、働き方改革に大きくかじを切った。トップが遅くまで残業していては示しがつかない。永守の残業ゼロ宣言は、経営者本人の働き方にも改革を促す大転換だ。 かねて永守は、売上高1兆円を達成したら働き方の改革をする、と公言していた。だが、それまではハードワークが当たり前。平成25年