体罰最終報告 暴力根絶の意識を浸透させよ(8月11日付・読売社説) これだけ多くの体罰が起きていた事実を、教育現場は深刻に受け止めるべきだ。再発防止につなげなければならない。 文部科学省がまとめた体罰調査の最終報告によると、昨年度、全国の国公私立の小中高校などの1割にあたる4152校で、6721件の体罰が確認された。被害にあった児童生徒数は1万4208人に上っている。 これまでの調査対象は公立学校のみで、体罰件数は例年、400件前後で推移してきた。今回は、大阪市立桜宮高校の体罰自殺問題を受け、児童生徒や保護者へのアンケートなども初めて実施した結果、件数が大幅に膨らんだ。 体罰への問題意識が高まり、掘り起こしが進んだとはいえ、件数の差はあまりに大きい。学校や教育委員会の従前の実態把握が不十分だったと言わざるを得ない。 学校や教委はアンケートを定期的に行ったり、子供たちから体罰に関する通報を受
運動部活動 暴力に頼る指導は許されない(6月1日付・読売社説) 暴力に頼らず、生徒の能力を伸ばす指導を学校の運動部活動で徹底することが必要だ。 文部科学省の有識者会議が、運動部活動の指導指針をまとめた。大阪市立桜宮高校バスケットボール部の体罰自殺問題以降、特に部活動の体罰事例が相次いで発覚したためだ。 部活動の指導者には、いまだに暴力などの体罰を厳しい指導とはき違える傾向がある。指針を指導者の意識改革の契機としたい。 運動部活動は、学校教育の一環である。中学校で6割、高校で4割の生徒が参加している。仲間と汗を流すことを通じて、努力する大切さを学び、協調性や責任感を身に着ける貴重な時間だ。 しかし、指導法を間違えれば、生徒の心身を傷つける結果となる。暴力について、指針が「生徒との信頼関係があれば許されるという認識は誤りだ」と、明確に否定したのは当然である。 指針はさらに、勝利を目指すこと自体
教育再生提言 いじめの抑止につなげたい(3月1日付・読売社説) 安倍首相直属の教育再生実行会議が、いじめ対策の法制化や体罰禁止の徹底などを求める第1次提言をまとめた。 政府は提言を踏まえ、自治体や学校における体制整備や実効性のある対策の実現に取り組んでもらいたい。 注目したいのは、いじめの発見や調査を行う第三者組織の設置を提案した点だ。 大津市の中学生が一昨年秋に自殺した事件では、学校がいじめの兆候をキャッチしながら適切な指導をせず、教育委員会による自殺の原因調査もなおざりだった。 学校や教委が機能しないケースが多いことを考えれば、自治体単位で弁護士や臨床心理士らで構成する第三者組織を設け、子供や保護者から相談を受け付けるのは有効だろう。外部の視点で解決策を探ることが期待できる。 学校にスクールカウンセラーの配置を進め、子供の異変に気付く体制を整えるべきだとする指摘も妥当である。 提言は、
政府の「教育再生実行会議」が、いじめと体罰問題に関する提言をまとめ、安倍晋三首相に提出した。道徳を正式な教科にすることや、いじめ生徒への懲戒にも踏み込んだ内容を評価したい。 一方、体罰問題については、やる気のある教員の手足まで縛ることのないよう、慎重に検討を重ねてほしい。 提言はまず、学校や教員によって充実度にばらつきがあった「道徳」について、「他者への思いやりや規範意識を育むよう」新たな枠組みで教科化することを求めた。実現を急いでもらいたい。道徳が正式の教科ではない現状こそ、異常なのだといえる。 いじめに向き合うため、学校や教育委員会には警察などとの連携協力態勢の整備を求め、重大な事案には第三者的機関が解決を図るとした。学校を「悪(あ)しき聖域」としないため、重要な提言だ。 深刻ないじめの被害者を守るため、加害児童・生徒を出席停止にする措置の活用など、毅然(きぜん)とした対応も求めている
園田監督辞任 選手を追い詰めた責任は重い(2月1日付・読売社説) 日本の女子柔道を担う選手たちに連名で暴力行為を告発された監督が辞任の意向を表明した。 選手たちを精神的にも追い詰めた監督に指導者を続ける資格はない。 告発されていたのは、警視庁所属で全日本女子監督の園田隆二氏だ。記者会見で「私の行動、言動で選手に迷惑をかけたことを反省している」と謝罪した。柔道界の信頼を失墜させた責任は重い。 ロンドン五輪の代表を含む15人の選手が昨年12月、「暴力とパワーハラスメント(職権による人権侵害)を受けた」とする告発文書を日本オリンピック委員会(JOC)に提出したことで「事件」が表面化した。 選手たちは五輪の強化合宿などの際、園田監督と男性コーチから素手や竹刀などで暴行を受けた。不服を訴えると、「代表から外すぞ」と脅されたという。 JOCから告発文書を受けた全日本柔道連盟(全柔連)は、監督からの聞き
桜宮高体育入試 深刻な体罰が招いた中止決定(1月22日付・読売社説) 試験日まで1か月を切る中で、極めて異例の対応である。 大阪市教育委員会は、体罰を受けて男子生徒が自殺した市立桜宮高校で体育系学科の今年の入試を中止することを決めた。橋下徹市長の要請を受け入れた。 入試を中止せざるを得ないほどに、桜宮高の体罰問題が深刻だという判断だろう。 橋下市長は「体罰を容認する風潮が残っている状況で新入生を迎え入れることはできない」と主張した。入試を実施する場合には、市長の予算執行権を行使し、入試関連予算の支出を凍結する可能性にも言及していた。 5人の教育委員のうち、教育委員長を除く4人が「入試を継続すれば、学校改革につながらない」などと市長に同意した。勝利至上主義の下、体罰を常態化させた学校の体質を根本から変えることを重視した結論と言えよう。 入試の中止に対しては、「受験に向けて準備をしてきた中学生
大阪市立桜宮高校2年の男子生徒が昨年12月、自殺した。この生徒は強豪で知られる同校バスケットボール部で主将を務めており、顧問の男性教諭から体罰を受けたと手紙に書き残していた。 亡くなる前日、男子生徒は母親に「今日も30~40発殴られた」と話し、遺体の顔面は腫れ、唇は切れていた。 遺体を前に、顧問は母親に「体罰です」と認めたというが、これはもう暴行、傷害事件である。市教委が部員に聞いたアンケートでは日常的な暴力が明らかになっており、そこに生徒に対する愛情はかけらも感じられない。顧問は厳しく罰せられるべきだ。 同校では平成23年にもバレーボール部で顧問の教諭による体罰が発覚し、停職3カ月の処分を受けていた。 同年にはバスケ部顧問の体罰についても市への通報があったが、市教委と同校は顧問への聞き取りだけで、生徒に事情を聴くことなく「体罰はなかった」と結論づけていた。 学校や教育委員会のおざなりで無
大阪体罰自殺 教師による犯罪ではないのか(1月11日付・読売社説) 教育現場であってはならない事態が起きた。 大阪市の市立高校2年の男子生徒が、所属するバスケットボール部顧問の男性教師から体罰を受け、その翌日に自殺した。 生徒が残した教師あての手紙には「体罰がつらい」という内容の記述があった。大阪市教育委員会は、体罰が自殺の主な要因とみている。警察も捜査を始めた。事実関係の徹底解明が求められる。 市教委によると、教師はこれまで、試合で生徒がミスをすると、頬を平手でたたく体罰を加えた。自殺した前日にも、生徒は母親に「30~40発ぐらいたたかれた」と話していたという。 教師は市教委に「発奮させようと思った」などと説明している。しかし、指導の一線を越えた許されぬ暴力行為というほかない。 学校教育法は体罰を明確に禁じている。暴力による指導では、子供たちの正常な倫理観を養うことができず、かえって恐怖
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