政府が厚生年金や国民年金の支給額を2012年度から段階的に引き下げる方針を打ち出し、高齢者は怒りに震えている。これは過去の物価下落時に支給額を下げなかったために、払いすぎになっている特例水準を本来水準に戻すための当然の措置である。金融危機以降、物価は大幅に下落し、11年度は支給額と本来水準との差は2.5%にまで達している。少子高齢化によって支え手が減り、年金財政は高齢者に対する給付抑制と現役世代に対する保険料の引き上げを行なわないと立ち行かなくなってきている。これまでの年金改革では保険料引き上げのみが行なわれ、現役世代の負担感は強まるけれど、受給者に対してはデフレの影響で実質的に受給額が増加しているのだ。果たしてこのような不公平感が高まる状態で、社会保障に手をつけずに増税だけを行なうということで理解は得られるのだろうか。 世間はデフレを悪者として捉えているけれど、僕は常々「福の神」だと思っ