言葉にもっと神経質でありたい(1/3) ささいなことながら、最近の紙面で気になっている言葉がある。「対向」である。 朝日新聞の地方版に、バイクに乗っていた人が軽トラックと衝突、全身打撲で死亡した、という事故が載っていた。 警察の調べとして、「(バイクの人が)右折しようとして、対向してきた軽トラックにぶつかったとみられる」とある。 おそらく警察が「対向してきた」と発表したのだろう。 昔々、私が駆けだし記者だった頃もそうだった。「対向してきた軽トラック」と記者1年目の私も、警察発表に沿って書いた覚えがある。すると支局のデスクは「こんな言葉、ふつう使うかい?」と言って「前から来た軽トラック」と原稿を直した。 指摘されてみれば、その通りだ。「対向車」とは言うかもしれないが、日常、「対向してきた車」なんて聞いたことがない。そうか、警察発表と新聞記事は用語からして違うんだ、と目からウロコが落