食料品売り場の一角は、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の最前線だった。選挙カーの演説が届く東京郊外のスーパー。米国産グレープフルーツやニュージーランド産キウイ、メキシコ産アボカドなどTPP参加国からの輸入果物がきらびやかに並び、商札には「使用添加物 防カビ剤」などの表示があった。 夫と買い物をしていた会社員、大西麻衣子さん(28)は「TPPへ参加して輸入品が安くなるのはいいけど、将来、母になるかもしれない身として、農薬や食品添加物のことは考えてしまう」と話した。 TPPは農業問題が注目されるが、農業は21ある交渉分野の一つにすぎない。参院選の投票日の2日後、23日からわが国が加わる交渉には、食品の安全基準を話し合う「衛生植物検疫」などわれわれの暮らしに直結する分野が少なくない。 食品に使える添加物は、日本が655品目なのに対し、米国は1612品目。わが国では新たな添加物を認める審査に1