「中国は米中2大国時代を狙っている。日本が環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に参加しないで中国が参加したらどうするんだ」 日本のTPP交渉初参加を23日に控え、ある政府高官は参院選の論戦でTPP参加の意義が十分に浸透していないことに不満を漏らした。背景には中国から最近、TPP交渉参加に前向きな発言が出始めるなど経済圏をめぐる駆け引きが本格化していることがある。 日米主導で世界の約4割に達する自由貿易圏を構築するのが日本政府の戦略だ。共産主義国家の中国が高いレベルの市場開放を目指すTPPにはなかなか入れないとの目算がある。 ただ、6月14日、ソウルで開かれたシンポジウムで中国政府系シンクタンクの中国社会科学院の研究者、張蘊嶺氏は、約200人の聴衆を前にこう断言した。 「中国がTPP締結後に参加するとしても、条件をすべて受け入れる形にはならないだろう」 張氏は中国の通商政策研究の第一人者。パ