◇根幹に政治の不在 昨年4月から、公文書管理法なる法律が施行されていたことを知る人は、あまり多くなかったのではないか。だが、昨年3月の東日本大震災にあたって政府内に設置され、重要な意思決定を行っていたはずの原子力災害対策本部や政府・東京電力統合対策室が、政策決定の経緯を示すに足る文書を作成していなかった事実が岡田克也副総理によって問題とされるや、同法の存在はがぜん注目を浴びるようになってきた。 公文書管理法はその第4条で、行政機関の職員による文書の作成義務を定めている。この場合、最終的な結論部分にあたる決裁文書のみを残すのでは駄目で、「経緯も含めた意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、または検証」可能な文書の作成が義務づけられた。 政策決定過程がわかるような文書の残し方を義務づけた第4条は、法律の条文としてはくどいほど配慮の行き届いた表現となっている。そ