獅子公だの熊公だのとブログに書いていたら、 中世ヨーロッパ史専門の先輩から 中世ヨーロッパのあだ名文化についての論文を紹介されました。 岡地稔「ピピンはいつから短躯王と呼ばれたか: ヨーロッパ中世における「渾名文化」の始まり ―プリュム修道院所領明細帳カエサリウス写本・挿画の構想年代について―」 『アカデミア』人文・社会科学編 南山大学 2007年1月 この論文はプリュム修道院所領明細帳のある写本の挿画が いつ頃描かれたか(あるいは現存写本が複製画を載せているなら原画が作成された年代) を論じるための前提の前提として、 Ⅱ節 ヨーロッパ中世における「渾名文化」の始まり を論じているのですが、 当該節の内容を短くまとめてしまうと、 もともと個人名のみで姓ないし家族名のなかったゲルマン社会の流れの中、 カロリング期に貴族たちは一族で限られた個人名を使用することで、 カールやルートヴィヒと聞けば
学内の仕事に関係した宿題で、「現代思想」という雑誌の今年の8月号の「ポスト・ノーマル時代のサイエンティストのお仕事」という記事を読む必要がありました。科学史家の塚原東吾先生と脳生理学者の美馬達哉先生の対談です。 論点は多技に渡っているのだけれども、そのなかで幾つかの話が、私が近年感じている絶望感、というと言い過ぎかもしれないが、居心地の悪さを、はっきり言語化する手助けになりました。 それで私の「ポストノーマル・サイエンスなうんざり感」について書いてみようと思います。この居心地の悪さ、鬱陶しさ、憂鬱さは、科学研究の前線で仕事をしている全ての人が、多かれ少なかれ感じているのではないかと思うからです。 美馬先生が「ソーカルのサイエンス・ウォーズ」に関して、とても面白いことを言っておられます。外部の批評家ではなく、自身が日頃生理学研究のカティングエッジに立っている方の発言です。若い人にはピンとこな
昨日(2014.5.27)政府が提示した、原子力規制委員会の次期人事案に関連して、「利益相反問題」について昨年の『科学』11月号「科学時評」に執筆した論説を公開します。 (編集部の承諾は得ています) 掲載時には2ページという紙幅の都合で入れられなかった情報も、いくつか補足しておきます。また、関連する情報やコメントをぼちぼち加えていきたいと思います(ただし時間があれば…) なお、この論説はあくまで利益相反問題を考える上で押さえるべき「原則」が何であるかを考えたもので、「ではどうするのか」という具体論は視野に入れていません。具体的な方策としては、明確な法規制(ハードロー)から、ガイドラインや自主規制など(ソフトロー)まで多様なやり方があり、現実にはそれらの組み合わせで対処していくものになるでしょうが(欧米の事例を見てもハードローとソフトローのせめぎ合い)、残念ながら日本ではまだ、そうしたテクニ
Md. Monirul Haque, Hironari Yamada, Ahsa Moon, Mami Yamada
①の方は分かりやすいですね。がん遺伝子を使うから、がん細胞になってしまう。しかし②はどうでしょう。何故、遺伝子を入れるのにウイルスを・・・最初にiPS細胞が作られた時、使用されたのはレトロウイルスなので、ここでいうウイルスとはレトロウイルスのことなのですが・・・を使うと、細胞のがん化が起こってしまうのか。 前々回で、レトロウイルスはヒトの細胞に侵入した後、ウイルスゲノムをRNAからDNAにコピーし、そのDNAをヒトゲノムへ入れてしまう、という話をしました。ところで、ヒトゲノムには当然ながら、元々ヒトの遺伝子があります。その部分に、もしウイルス由来のDNAが挿入されてしまったら、どうなるか。その遺伝子は、本来の正しい機能を失ってしまいます。昔、トランスポゾンについて解説した時の、「吾輩はベッドの上で一匹の巨大な毒猫である。名前はまだ無い」現象と同じです。いやこの現象名は勝手に私が名付けたもの
あまり代わり映えしないのですが、「心配する方が体に悪い」(引用元を探すのが面倒なくらい膾炙してますし、またつい最近、某栄養士さんが問合せをした保護者に語った言葉として伝え聞きもしました)とか、「年1ミリ・シーベルトは法的に放射性物質を扱う施設の管理基準に過ぎないのに」とか(こちらは読売新聞2月25日付・「原発風評被害 放射能の基準から考え直せ」(ママ))とか、捻れた主張が相変わらず跋扈しているどころか、そうした主張が声を強くしてさえいるように感じられるので、少しだけまとめておきます。 これらの捻れた主張にはあまり新規性もなく、基本的には同じパターンの繰り返しですので、こちらのまとめもまたそれに対応して、これまでにいくつかの場所で述べたことの繰り返しになります。それは仕方のないことなのでしょう。 一応、社会や法律の側面についてと、「科学的」と称する主張のいくつかに見られる非科学的な態度につい
イデオロギーと言説分析修士号(MA in Ideology and Discourse Analysis)(2003年4月 エセックス大学)
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