写真に残る穏やかな笑顔とは裏腹に、毎日毎日酒に溺れ、母に声を荒げる姿がよみがえる。 周囲からは「怠け者」と言われ、38歳で亡くなった父。 戦争が父の人生を大きく狂わせたのではないか。 「怠け者」と言われた父 こう話すのは、千葉県茂原市に住む久野一郎(69)さんです。 これまで久野さんは、胸にしまい続けてきた記憶がありました。 父親の義男さんのことです。 真面目で責任感の強い性格だったという義男さん。 日中戦争が長期化し国内は戦争ムード一色だった当時、地元宇都宮の商業学校に通っていましたが、みずから志願して旧海軍の衛生兵として入隊しました。 まだ10代、「熱血な軍国少年」で危険も顧みず、国や社会のために役に立ちたいと考えるような人柄でした。 旧海軍の空母に乗って東南アジアの激戦地に送られ、そこで多くの仲間を亡くしました。 乗っていた空母が撃沈され、「自分は奇跡的に助かった」と話していたといい