歴史上の人物の評価は、時代や研究の進展によって変わる。静岡大学名誉教授・小和田哲男さん監修の『日本史 格下げ偉人と格上げ偉人』(宝島社)より、評価が格下げされた幕末の偉人を紹介する――。 薩長の「仲介役」を担ったのは中岡慎太郎 幕末を代表するヒーローとして知られる坂本龍馬の最大の功績はなんなのか? 通説として有名なのは、「倒幕のため薩長同盟を仲介した」「明治維新後の新政府のヴィジョンとなる『船中八策』をつくった」という2点だろう。ところが、当時の文書をきちんと検証した結果、いずれも龍馬の手柄とは言い切れないという見方が有力になっている。 まず、1866年に結ばれた薩摩藩(現在の鹿児島県)と長州藩(現在の山口県)の盟約(薩長同盟)は、もともと福岡藩士の月形洗蔵が発案し、薩摩藩主・島津久光の側近を務める小松帯刀たてわきと、長州藩の伊藤博文・井上馨の間で交渉を進めていたものだ。 薩摩と長州を仲介