朝まで元気だったのに…忍び寄る血管の危機 秋から冬の気配を感じるような気候になるとき、私は救急現場での密着取材を思い出す。7年前、今と同じ10月だったのだが、1日に8人も脳出血を起こした患者が運び込まれてきたのだ。その模様を執筆した当時の記事(『文藝春秋』2019年1月号)から、意識不明の50代男性を搬送した救急隊の言葉を引用しよう。 〈ゴルフ場の打ちっぱなしで、ベンチで座ったままいびきをかいて寝ていたそうです。隣のレーンの人がうるさいなぁと思って、しかし30分経ってもいびきをかいていて……やがてベンチからずり落ちていったのでこれはおかしいと。ゴルフ場の受付に報せて、救急車を呼んだとのことでした〉 この男性は、CT撮影で私が見てもはっきりわかるほど脳内に大量の出血があった。しかも呼吸などをつかさどる脳幹部からの出血で、脳の手術を行うなどの積極的な治療は見送られることになった。手術をしても命