医療費が高額になった場合、自己負担額を一定に抑える「高額療養費制度」。疾患当事者や研究者の発信が幅広い批判を喚起し、石破政権時の2024年度〈見直し〉案は、土壇場で一時凍結された。しかし、若干の改善点はあるものの、依然として問題含みの2025年度〈見直し〉案は、さして注目を浴びることもなく、先日衆参両院を通過した。 この一連の出来事、さらに日本の現行医療保険制度の問題点を多角的に検証したのが、4月17日に刊行された『高額療養費制度 ひろがる日本の〈健康格差〉』(集英社新書)だ。 本書の著者で高額療養費制度利用の当事者でもある西村章氏と、近著『増補改訂版 「差別はいけない」とみんないうけれど。』(朝日文庫)で福祉排外主義の問題を取り上げた、文筆家の綿野恵太氏の対談をお届けする(全二回)。なぜ高額療養費制度の問題は、人々の認知がさほど進まなかったのだろうか? そして、思想的アプローチから見え