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Google I/O
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米グーグルが米国で「AI(人工知能)検索」を全面導入した。ユーザーの質問に対してAIがウェブを検索して情報をまとめるサービスで、ユーザーが個別のウェブページを訪問する回数が減るといわれる。グーグルは検索に連動した広告が主力事業で、AI検索の導入で広告ビジネスが縮小する恐れもある。「イノベーターのジレンマ」に陥っているとも指摘されたグーグルがAI検索を本格的に採用する意図はどこにあるのか。 「数字は悪くない」。グーグル幹部は試験的に提供してきたAI検索によるユーザーのウェブページ訪問回数への影響についてこう語った後、「今のところはね」と注釈を添えた。 グーグルの検索窓に質問を入力すると、従来の検索結果に加えて「AIモード」の新たなタブが表示される。タブをクリックすると、AIによる回答が画面左側、その回答で参照したウェブページが右側に表示される仕組みだ。 加えて、専門家レベルのリポートを数分で
岡本 勝負となったら一気に出せるかどうかですね。 松尾 はい、その通りです。これからは生成AIの活用フェーズです。ロボティクスや工場現場だとか生産拠点などに徹底的にユースケースをつくり続ける。それで当然、社内のデータやシステムがボロボロだと分かってきますから、そこをまた直していきましょうとなる。そういうことを地道にやるだけだと思うんですね。 加えて、皆さんがあまりベストプラクティスを共有しないので、「こうやったらうまくいった」「こうやったらうまくいかなかった」という成功事例のようなものを共有していくとか。実は目新しい話ではないところにこそチャンスは眠っていると思います。 あとは、質のいいデータを整備することも重要です。現状の大規模言語モデルの戦いは技術やアーキテクチャではなくデータづくりの戦いになっているところがあります。英語圏のデータを整える作業は途上国で安価に行われていて、新たな搾取の
この記事の3つのポイント 「この国のかたち」の根本的な欠陥を問うた司馬遼太郎 国の形をつくるのは実は「文書」以外にはない 公文書を侮ると「日本のいちばん長い日」が再来する (文中敬称略) 司馬遼太郎(1923~96年)は、昭和後期から平成前期にかけての国民的作家と言ってよいだろう。初期は「梟の城」(1959年)に代表される奇想天外な忍者小説で名を上げたが、幕末を舞台とした「竜馬がゆく」(1962~66年)や「燃えよ剣」(1962~64年)からは歴史の流れを忠実に追う歴史小説を書くようになった。 特に、日露戦争で活躍した秋山好古・真之兄弟と同郷の歌人・正岡子規を中心に明治の人々を描く「坂の上の雲」は、近代に目覚め、“日本”という概念で国を統合し、国際社会に進出していく日本を描き、その歴史認識は若干の揶揄(やゆ)も含めつつ「司馬史観」とまで称された。 晩年は「街道をゆく」「この国のかたち」とい
人工知能(AI)やクラウドサービス、それを支えるデジタルインフラであるデータセンター(DC)市場が活況だ。だが、実のところ国内市場の成長を底上げしているのは外資大手クラウド事業者である。日本データセンター協会の理事長を務める、さくらインターネットの田中邦裕社長は、その構造から生まれる「デジタル赤字」やインフラのいびつさに、警鐘を鳴らす。 海外のIT(情報技術)サービスやウェブ広告費などの支払いが膨らむ「デジタル赤字」が、2024年に6兆円を超えました。なぜこれほど膨らんでいるのでしょうか。 田中邦裕社長(以下、田中氏):大きく2つの理由があります。1つは、日本におけるデジタル化進展の遅れ。もう1つは、日本の少子高齢化です。
恩讐(おんしゅう)の彼方に見えたのは、無情でしかなかった。 「あそこまで腐っているところに僕が出張るのは時間とエネルギーの無駄じゃないかな」――。16日午後、日経ビジネスの取材に応じていたSBIホールディングス(HD)の北尾吉孝会長兼社長がフジテレビについて問われると、こうそっけなく答えた。1カ月前にフジの改革案を熱っぽく語っていた時とはまるで別人。発言の節々からは、フジに対する諦念がにじみ出る。
2024年3月に、北陸新幹線の金沢~敦賀間が開通したことを機に、JR敦賀駅と駅前がずいぶん変わりました。その象徴が、駅の西口前に広がる「otta(オッタ)」(TSURUGA POLT SQUARE「otta」)という、芝生の庭を囲んだ低層の複合施設です。そのottaにある書店「ちえなみき」(TSURUGA BOOKS & COMMONS ちえなみき)が、全国の本好きの間で話題になっています。 敦賀市まちづくり観光部 まちづくり推進課 西村勇人さん(以下、西村):今日は東京からですよね。どのようにいらっしゃいましたか? 東海道新幹線の米原経由で来ました。のぞみで出て、名古屋でひかりに乗り換え、そして特急しらさぎという乗り継ぎですが、意外と楽に、速くアクセスできました。 西村:北陸新幹線の金沢~敦賀駅間延伸で、その途中にある福井駅は東京までの所要時間が短縮されましたが、敦賀は東海道新幹線のルー
労働契約書は「本社勤務」。普段の業務は自宅でのリモートワーク。出社命令を拒否した社員と会社が争った裁判の判決はなんと「原則は自宅勤務」。一体なぜこのような判決に。最近増えてきた「出社回帰」を巡る動きとともに解説していこう。 アクセンチュアは2025年6月から、自社オフィスやサービスを提供する客先への週5日出社を原則とする。同社は新型コロナウイルス禍などを踏まえリモートワークを認めてきたが、23年10月から週3日出社を強く推奨してきた。 旧ヤフー時代の14年からリモートワーク制度を導入し、22年には全国でフルリモートを可能としていたLINEヤフーは、25年4月から全社員を対象に原則月1回以上の出社日を設けた。中でも営業職など事業部に属する社員については、週1回以上の出社を求める方針を掲げる。26年4月以降は全社員が週3日程度出社するように求める。メルカリも25年4月から週2日以上の出社を原則
この記事の3つのポイント 顧客のクラウド移行で国内IT(情報技術)大手のDC事業に転機 日立は社長直轄組織が推進。2030年までに売上高1兆円超へ 富士通は「水冷」技術を訴求。光伝送装置の新会社も 日立製作所や富士通、NECといった国内IT大手は、DC事業の老舗プレーヤーでもある。国内IT大手は、主な顧客である企業ユーザーに対してサーバーなどの機器を提供し、自社で運営するDCへ収容して、企業システムを動かしてもらうというビジネスを展開してきた。 だが米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)や米グーグルといった海外大手クラウド事業者が国内市場に参入して以降、顧客企業のシステムは、オンプレミス(自社所有)からクラウドへの移行が進んだ。それによって「顧客ごとの(サーバーを収容する)ラック数も減少傾向にある。国内IT大手による従来型DC事業は、市場規模は依然として大きいものの成長は鈍い」(業界関係者
人工知能(AI)やクラウドサービスの利用拡大によって、データセンター(DC)が急増している。だが、DCはその稼働に大量の電力を消費する上、都市部に集中して立地しているため、電力の逼迫が懸念されている。 一つの手は、関東近郊などで生産される太陽光発電といった再生可能エネルギーを活用していくことだ。ただ、電力の消費地と生産地のギャップをいかに埋めるのか。 その解決策の一つとして急速に注目が集まっているのが、電力・通信インフラを効率的に連携させる構想「ワット・ビット連携」だ。東京電力ホールディングス傘下の送電会社、東京電力パワーグリッド(東電PG)の岡本浩副社長が、2024年7月に提唱した。 通信でDCを再エネ地域へ ワット・ビット連携とは、発電所や送電網などの電力インフラと、DCや通信網などの情報通信インフラを連携させながら一体的に整備を進め、効率的なデジタルインフラの構築を目指す取り組みを指
ハイアールグループの日本法人は「第3の創業」と称し、洗濯機や冷蔵庫など大型白物家電の商品の拡充を進める。同社は世界中から価格と品質に見合う材料を調達できるネットワークや大規模な生産能力などを持ち合わせ、価格競争力を強みとする。日本での躍進のカギを握るのは2012年に買収した旧三洋電機の社員たちだ。 「私が入社した約40年前は、会社が設立されたばかりで社員は700人ほどだった。それが今では世界中に約12万人を抱える会社になった」。ハイアールグループの副総裁でハイアールジャパンセールス最高経営責任者(CEO)である杜鏡国氏は目を細める。 山東省青島市に本社を構える同社の家電事業は2024年度売上高が2859億元(約5兆6751億円)を誇り、16年連続で大型家電のブランド別世界販売台数シェア1位を獲得する「家電の巨人」だ。 中国や欧米だけでなく、アフリカやオセアニアなどにも研究開発(R&D)拠点
9日に同社は1万人の人員削減を発表した。国内拠点の5000人と海外拠点の5000人が対象で、早期退職の募集などを通じて2027年3月期までに実施する。26年3月期に人員削減を含む構造改革費用として1300億円を計上する。 楠見氏には人員削減について苦い記憶があった。かつて、市況悪化で不採算事業と化していたプラズマテレビ用パネルの事業縮小に伴う人員削減に携わった。「もう二度と(人員削減は)やるまい」。そう心に刻んでいたが、その「禁じ手」を自らの手で再び打つことになった。 なぜこの局面で人員削減という決断に至ったのか。過去に同社が人員削減をした際は大幅な赤字を計上するなど業績が切迫していた。だが、25年3月期の連結営業利益は前の期比18%増の4264億円で、足元は堅調と言える。だがそんな状況下でも楠見氏が見逃せなかったのが、収益改善の足かせとなっていた、売上高に対する人件費などの販管費比率の高
「指示通り」というゴールが難しい理由 苦労して必死でアウトプットを出したのに、 「求められているものと違うよ」 「うーん、そういうことじゃないんだけど……」 と言われたことはありませんか? 例えば、「現場のユーザのために手順をつくってほしい」と上司に言われ、1週間かけて一つひとつの作業を明らかにする細かい手順を作成したのに、本当に求められていたのは作業の流れを示すフローのようなもので、1日でできる簡単なものだった、というようなケースです。 どちらも同じ「手順」といえるものですが、アウトプットはまったく別物です。厳しい言い方になりますが、ゴールを捉え違えていればあなたの成果はゼロであり、かけた時間も労力も無駄だったと言わざるをえません。 こうした、「ゴールの捉え違いによる成果ゼロ」は、実はさほど珍しいことではありません。 私の感覚値でいえば、上司の指示に「はい、わかりました」とだけ言って作業
5月に入り、パナソニックホールディングス(HD)が1万人、日産自動車が2万人の人員削減を進めることを発表しました。 パナソニックHDは黒字下での人員削減になります。楠見雄規社長兼グループ最高経営責任者(CEO)は、「固定費構造に大きくメスを入れる必要がある」と述べました。これまでの改革の経緯は、「1万人削減のパナソニック 待ったなしの事業選別」をご覧ください。 一方の日産は、巨額赤字を計上すると共に人員削減を発表しました。「日産、2万人削減 『入社したばかりなのに』城下町覆うリストラの不安」では、玄基正記者が日産自動車九州の工場がある福岡県苅田町で聞いた従業員の肉声を紹介しています。 両社には共通点があります。名門企業でありながら、かつてのライバルに大きく差をつけられているという点です。市場の評価において、日産の時価総額はトヨタ自動車の30分の1以下に沈んでいます。 パナソニックHDの時価
この記事の3つのポイント サブスクは「ユーザーの権利を奪うやり方」とも言える ネットにはサブスク的な収奪を誘発する要素がある 搾取を排除する3つの原則を提案したい その前が2012年モデルのMacBook Proを12年使い続けていたので、最初はあまりの高速動作に目を回すほどだった。が、恐ろしいもので人間は慣れる。 1週間で速いとも思わなくなり、M4CPUの速度は当たり前のものとなった。 以来6カ月。ほぼ元通りの環境が戻ってきたが、たまにしか使わないソフトウエアは、必要になる都度、そろえなくてはならない。 先日、画像処理で写真の階調を整える必要が生じた。確か自分は、Affinity Photoという写真編集ソフトウエアを買って持っていたはず、と、ホームページにアクセスしてダウンロードしようとしたら、Affinity Photoがバージョンアップしており、新たにソフトウエアを購入しなくてはな
人工知能(AI)需要に伴ってデータセンター(DC)市場が急拡大している。DCとは、AIの学習や推論、クラウドサービスの利用時に送受信されるデータを保存し処理する施設だ。その一方でDCは莫大な電力を消費し、電力需給にひずみが生まれている。 国内企業からハイパースケーラー(大手クラウド事業者)まで、幅広い事業者のデータセンター(DC)が集積する、「DC銀座」千葉県印西市。この地にDCが多数集まるようになったのは、いくつかの理由がある。地盤が強固な北総台地に広がる用地、そして都心から30~40キロメートルというアクセスの良さ。だがそれだけではない。実は、地下に秘められた巨大なトンネルの存在がある。 距離にして10.1キロメートル。太いケーブルが複数横たわるこのトンネルは、東京電力ホールディングス傘下の送配電事業者、東京電力パワーグリッド(東電PG)が275キロボルト(kV)もの超高圧電流を送るた
昆虫というなじみのない食材にグリラスが可能性を見いだしたのは、人口爆発や新興国の成長に伴う肉や魚の需要増で、早ければ30年代にも人類に必要な動物性タンパク質が不足する「危機」が到来するという懸念があったからだ。国連食糧農業機関(FAO)も昆虫食を対策の1つに挙げ、欧州ではフードテック企業が17年ごろから昆虫食の商品化に着手し始めていた。 こうした中、徳島大学は30年ほど前から生物の増殖プロセスを調べる一環でコオロギを研究。牛や豚に比べ、短期間かつ少ない餌で良質なタンパク質を生産できることから、野地澄晴・元学長の下、食用化プロジェクトを立ち上げた。 当時、コオロギの食用化には壁があった。さらなる研究を進め、大規模な生産設備を設けるための予算の確保だ。国立大学は04年の法人化以降、国の予算が年々削減されている。ならばと、大学発のスタートアップを立ち上げ、ビジネスとして乗り出そうとした。19年、
2025年3月、トヨタの春季労使交渉の場で1つの大きなトピックになったのが、業務職(一般職)の制度見直しだ。「クルマの商品企画や新事業の運営で、一般職が総合職と同じような業務を担うことが増えている」との主張が組合側から会社側に投げられた。 トヨタは新卒採用で総合職とは別に定型・補佐的な業務を担う人材として一般職枠を設けており、24年も100人ほどを採用している。ただ実態は組合の主張するように定型・補佐的な業務かどうかの区別が難しい状況が生じているという。
この記事の3つのポイント 「日本学術会議法案」が国会に提出されてしまった 日本の政治における76年越しの怨念の最終局面である 「異論」を嫌う政治は次の敗戦にこの国を誘うだろう (文中敬称略) 「馬で金もうけした奴ぁないよ」とはハナ肇とクレージーキャッツの「スーダラ節」で、植木等が歌う歌詞だが、この世には絶対・確実に、高利回りの配当を出す投資が存在する。 科学と教育である。 とんちじゃなくて事実です この2つは、国が行う投資として最適、かつ、国以外が行うのは難しい。なぜなら、確実ではあっても投資が回収できるまで、長い時間を必要とするからだ。 「馬で金もうけした奴ぁない」のは馬券を買った経験者なら誰でも体験するところだが、今ではその理由を統計・確率論で説明できる。それどころか最先端の科学は、みな統計・確率論を利用する。そうなるまでには賭博師兼数学者のジェロラモ・カルダーノ(1501~76)から
まず、すでに述べたように、外資系企業による、日本企業のトップタレント獲得がこの10年で顕著になりました。当初、狙われたのはリクルートホールディングスや楽天グループといった一部の企業でしたが、外資系企業の日本国内での活動領域が広がるにつれ、人材のニーズも多様化しました。今や、そのハンティングの脅威はあらゆる日本企業へと及び、誰も無視できないレベルにまで進展しています。 たとえば、富士通では、2015年ごろから25~35歳の社員が外資系企業に転職するケースが増加し、大きな経営課題となっていたことが政府の「ジョブ型人事指針」に報告されています(*1)。2015年といえば、リンクトインの日本法人設立から4年後、楽天が桑原メリッサ氏の招聘(しょうへい)(*2)に成功した翌年。採用革命の国内上陸タイミングと符合します。
日本証券業協会(日証協)と証券大手10社は5月2日、証券口座のインターネット取引で乗っ取り被害が急増している問題を受けて、各社の約款などの定めに関わらず一定の被害補償を行う方針を共同で発表した。具体的な補償の水準については、顧客のIDやパスワードなどの管理状況や、各社の不正アクセス防止のための対策などを勘案した上で個別に決める。日証協の松尾元信専務理事は「約款で払わなくていいものを払うように各社にご決断いただいた。極めて異例の措置だ」と述べた。 方針に合意したのは、SMBC日興証券、SBI証券、大和証券、野村証券、松井証券、マネックス証券、みずほ証券、三菱UFJ eスマート証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、楽天証券(50音順)の大手10社。7日時点ではみずほ証券以外の9社で被害が確認されている。 SBI証券や楽天証券などの取引約款では、顧客自身が入力したか否かに関わらず、IDやパス
「明治維新」のごとき焦燥感 日本企業の採用力は、残念ながら現状では米国をはじめとするグローバル企業に比べて、大きな差があるといわざるをえません。グローバルな採用の現場で働く人々にとって、この力の違いは日々の業務において痛感される現実です。少し大げさかもしれませんが、グローバル採用の現場を知る日本の人々が抱く焦燥感は、まさに明治維新の志士たちが、工業化の遅れによる欧米との国力差に感じたものに匹敵するのではないかとすら感じます。 「日本にもグローバル企業が多数存在するのに、本当にそれほどの差があるのか?」と疑問を持たれるかもしれません。 実際、たとえば、海外現地法人が、その土地で現地スタッフを採用するといった場合は、大きな問題が生じることは少ないのです。これは、本社が口を出す必要はなく、現地法人だけで採用プロセスが完結するからです。 繰り返される「初歩的なミス」 しかし、問題は日本企業のグロー
「はたらけど猶わが生活楽にならざり」。歌人・石川啄木はかつてこう嘆いた。日本は、同様の窮乏化成長の道を歩んできた――。 日本経済研究センターの岩田一政理事長の分析によると、1990~2023年の間、日本の1人当たり労働生産性は毎年平均0.6%ずつ伸びてきた。これに対して実質賃金は、1996年をピークに同マイナス0.4%の下落基調にあるという。 労働生産性の伸びと実質賃金の伸びは通常、比例関係にある。90年の以降の日本経済は、この比例関係に反した動きを経験してきた。実質賃金の伸びがマイナスならば、1人当たり実質消費の伸びもマイナスになる。 岩田氏はこの1%の差が生じる理由を「0.6%は交易条件の悪化。0.4%は社会保障費の負担増」と見る。交易条件の悪化は、原油をはじめとするエネルギー資源価格の上昇や円安が原因だ。社会保障負担率(国民所得比)は90年の10.6%が2024年には18.4%に上昇
中国による「日本侵略」は始まっていた──。日本企業の支配構造を調べると、中国政府の手がすでに日本国内に及んでいる事実が浮かび上がってきた。 中国政府が2023年中に1%以上の支配力を持っていた日本国内にある企業は合計303社。ここから中国企業日本法人と中国人が経営する企業などを除くと217社。さらに中国以外の国の日本法人を排除すると162社。残る日本企業の中で、16社(海外日本法人4社も含めると20社)と多かった業種が太陽光発電だった。
会計監査のような採用 グーグルと仕事を進める中で驚かされたのは、その徹底したデータ主義でした。候補者のバックグラウンド情報について、他の企業とはまったく違うレベルの詳細さを求められました。 たとえば、卒業大学については厳格な基準があり、日本の大学も海外の大学と同じ基準で仕分けされ、それぞれがどのレベルに位置づけられるかについて独自のランキングを持っていました。時には出身高校の情報も参考にされるほどです。また、大学時代の成績表(GPA:Grade Point Average)は、採用の最終段階で必ず提出を求められました。 また、職歴においては、どの企業で何年働いたかだけでなく、その勤務先が業界内で「トップ・ティア」、つまり上位層の企業であるかにも強くこだわっていました。 こうして学歴と職歴が、自前のデータに基づいて評価され、グーグルにふさわしい人物かどうかが厳密にジャッジされていたのです。
2000年代の中頃、グーグルが始めた新しい採用手法は、まるで核分裂のように猛スピードでシリコンバレーのテック企業コミュニティーに広がっていきました。それは、技術革新であるだけでなく、時代を揺るがす波となり、やがて世界中のグローバル企業へと浸透していったのです。大手企業にもスタートアップ企業にもその影響は広がり、先鋭化し、採用という概念そのものを以前とはまったく異なるものへと変えてしまいました。 採用に働く外部ネットワーク効果 採用という活動は、強い外部ネットワーク効果が働きます。新しい面接手法は、それを体験した人々を通じて価値を増幅させながら広がっていくのです。グーグルの採用面接を受けた人たちは、その衝撃的な体験を語り、シェアしました。その結果、そのやり方を真似ようという企業が次々と現れました。異質な面接体験そのものがコンテンツへと変化し、共有されていったのです。 採用革命はこうして、あっ
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