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衆院選
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長距離レースならヒトはウマと互角に渡り合える。それほどの持久力をヒトはなぜ備えているのだろうか。(Photograph by Gerard Lacz, VWPics / Redux) 35歳のニコール・ティーニー氏の足は鉛のように重く、肺は呼吸するたびに焼けるようだった。50マイル(約80キロメートル)のウルトラマラソンは、最終コーナーにさしかかっていた。彼女は疲れ切っていたが、後続のランナーがすぐ後ろにいるので、ペースを落とすわけにはいかなかった。何しろこれは普通のレースではない。ティーニー氏の後ろを走っているのはヒトではなくウマだった。彼女はウマと競走しているのだ。 彼女にとってこのレースは、不可能とも思えることを成し遂げる5年間におよぶ努力の総仕上げだった。ゴールに近づく頃には「体は勝手に動いていた状態でした」と彼女は言う。「いちど立ち止まったら、再び走り出すのは難しいだろうと分かっ
私たち人間とイヌの関係は何万年も前にさかのぼる。確認されている最古のイヌの化石は、1万4000年以上前のものだと考えられている。写真は、イヌを連れた男性の絵がひつぎ(サルコファガス)に描かれたもの。(Photograph by Richard Barnes) イエイヌ(Canis lupus familiaris)の進化は長い期間にわたって起こった。その間、オオカミとイヌは交雑を続けたため、イヌ科動物の化石やDNAの分析は難しい。氷河期のオオカミとイヌの化石の中には、「初期イヌ(incipient dog)」と呼ばれるものがある。完全なオオカミでもイエイヌでもなく、その中間的な進化の初期段階のものだ。 初期イヌのうち、記録上最古の化石のものの1つは、1860年代にベルギーのゴイエ洞窟で発見された大きな頭蓋骨だ。この化石の年代は約3万6000年前で、現代のオオカミよりは先史時代のイヌに近く、
2024年の秋から東京・上野の国立科学博物館(科博)で開催される特別展「鳥~ゲノム解析が解き明かす新しい鳥類の系統~」。科博初の鳥をテーマとする特別展で、最新の系統分類をもとに600点以上の世界の鳥が展示される。同展の監修者が鳥の魅力、不思議やひみつなど、展示の背景にある興味深い鳥の世界を紹介する(編集部)。
カエルの絶滅種Notobatrachus degiustoiのオタマジャクシとおとなの復元図。現在のアルゼンチン、パタゴニア地域の水たまりに暮らしていた。(ILLUSTRATION BY GABRIEL LÍO) これまでで最も古いオタマジャクシの化石が発見された。外見はおなじみのオタマジャクシとそっくりだが、1つだけ違いがある。巨大なのだ。場所はアルゼンチンのサンタクルス州で、研究チームは10月30日付けで学術誌「ネイチャー」に論文を発表した。化石は1億6800万〜1億6100万年前のものだと推定されており、これまでの記録を3000万年ほど上回る。 この発見は、カエルが少なくとも1億6100万年の間、オタマジャクシの段階を経てきたことを示す確かな証拠だ。「多くの専門家が考えていたことが見事に証明されました」とドイツのボンにあるライプニッツ研究所の爬虫両生類学者アレクサンダー・ハース氏は話
動物園で眠るジャイアントパンダの赤ちゃんを一目見ようと、来園者たちが群がっている。 私たちは、絶滅寸前だったジャイアントパンダのように、かわいいと思う種の保護活動に投資する傾向が強い。(Photograph By Ami Vitale, Nat Geo Image Collection) コビトカバの「ムーデン」やキングペンギンの「ペスト」、フタユビナマケモノ の「モレ」、アザラシの「ビスケッツ」など、動物園や保護施設にいる動物のかわいい赤ちゃんを、インターネットは瞬く間に人気者にする。しかし、私たちがかわいいものを見たとき、脳の中では何が起こっているのだろうか? なぜ私たちはSNSでかわいいものを他人と共有したいと思うのだろうか?(参考記事:「話題のコビトカバとはどんな生きものか、普通のカバとどう違う?」) 「私たちがかわいさを求めるのは、それが気持ちいいからです!」と、中央大学の教授で
妊娠は足にも負担をかける。むくんだり歩き方が変化したりするだけでなく、靴のサイズが大きくなったまま元に戻らなくなることもある。(Photograph by Alex Brosa, Getty) 妊娠すると足が大きくなり、出産後も元に戻らなくなることがある。なかには、靴のサイズが0.5~1センチ変わってしまう人もいる。変わるのは大きさだけではない。多くの女性は、妊娠中に足のひどいむくみや歩行の変化、扁平足(へんぺいそく)などを経験する。この問題は今まで見過ごされがちだったが、もっと真剣にとらえるべきだと、一部の科学者たちは警告している。 「妊娠も一時的な状態だから、出産すれば(足も)元に戻るはずだと軽く考える医師がいます」と、米アイオワ大学の整形外科・リハビリテーション学准教授であるニール・シーガル氏は言う。しかし、そうではない女性も多くいることは、これまでの研究で示されている。 そこで、妊
女優マーガレット・ハミルトン扮する『オズの魔法使い』の「西の悪い魔女」のスクリーンテストの様子。先の尖った黒い帽子をかぶり、顔にはイボという姿。この画像は、悪役魔女の象徴的な緑の肌に敬意を表してカラー処理したもの。(Photograph by WARNER BROS MGM / RGR Collection / Alamy) 古代ヨーロッパの多神教に基づくウィッカを信仰するジャーナリストのマーゴット・アドラー氏は著書『Drawing Down the Moon: Witches, Druids, Goddess-Worshippers, and Other Pagans in America(月に導かれて:米国における魔女、ドルイド、女神崇拝者、その他の異教徒たち)』で、こう書いている。(参考記事:「魔女の魔術に呪文詠唱…米国で人気急上昇の『ペイガニズム』とは」) 「『魔女』という言葉は、
ビタミンやミネラルを豊富に含むナッツ類には、血圧を下げ、認知機能を向上させ、コレステロール値を下げるなど、多くの健康効果がある。アーモンドは食物繊維が豊富で、クルミは心臓に良いなど、種類ごとの効果を知っておくことは有益だ。(Photograph by Tanja Ivanova, Getty) ナッツ類にビタミンやミネラルが含まれていることはほとんどの人が知っているが、どんなふうに健康に良いかについてはどうだろうか。ナッツ類を取ることには、がんリスクの低下、骨の強化、血糖値の安定化による糖尿病リスクの低下などの効果がある。2019年に学術誌「Advances in Nutrition」に発表された研究によると、毎日28gのナッツ類を食べることで、心血管疾患のリスクが21%も下がるという。 最も驚くべきは、ナッツ類はカロリーが高いにもかかわらず、適量の摂取であれば体重増加を促さないことかもし
第2次世界大戦時代の爆撃機「ホルテンHo229」の実物大の複製。この複製を製造したのは世界トップクラスのステルス爆撃機の専門家たちだ。 ノースロップ・グラマン社の復元プロジェクトチームは、この複製を用いて、“ヒットラーのステルス爆撃機”が第2次世界大戦時代のレーダーに対して、本当にステルス性能を持っていたのか調査した。その結果、実際にレーダー回避能力を持っていることが判明した。ただし、設計者にその意図があったのか偶然なのかは、謎として残っている。 Photograph by Linda Reynolds/Flying Wing Films 忘れ去られていたナチスドイツの先進的な戦闘爆撃機が、現代のステルス爆撃機の専門家たちの手により復元された。第2次世界大戦当時、ドイツの科学力は未来的な戦闘爆撃機「ホルテンHo229」を生み出したが、実戦配備には間に合わず、量産にまでは至らなかった。 今回
トゥグンブラクは、近年発見されたばかりのシルクロード沿いの中世の山岳都市だ。ドローンを用いたリモートセンシング技術のライダー(LiDAR、光による検知と測距)調査により、この都市の城壁や防御壁の存在が明らかになった。(Imaging by SAlElab, J. Berner, M. Frachetti) ナショナル ジオグラフィック協会から資金提供を受けた研究チームが、かつてヨーロッパと東アジアを結ぶ交易路として栄えたシルクロード沿いの標高2000~2200メートルの高地で、これまで知られていなかった中世都市の遺跡を発見したとする論文を2024年10月23日付けで学術誌「ネイチャー」に発表した。 ウズベキスタン南東部の山岳地帯でドローンを用いたライダー(LiDAR、反射光を利用して詳細な3D地図を作成するリモートセンシング技術)調査を行い、6世紀から11世紀にかけて繁栄した2つの都市の様
最新の研究によれば、週末に1日か2日運動するだけでも、1週間を通して規則的に運動するのと同じくらい病気の予防効果があるという。(PHOTOGRAPH BY DINA LITOVSKY, NAT GEO IMAGE COLLECTION) 忙しい1週間に運動する時間を組み込むのが大変だという人は、あなただけではない。だが2024年9月26日付けで医学誌「Circulation」に発表された最新の研究によれば、1週間の1日または2日に150分(2時間半)以上の運動を詰め込むいわゆる「週末戦士」には、150分以上の運動を週全体に分散させる人と同じくらいの健康効果があるという。どちらのグループも糖尿病、高血圧、精神疾患を含む200以上の病気のリスクが減っていたと判明した。 「身体活動は多くの病気のリスクに影響を与えることが知られています」と、論文の最終著者であり、心臓電気生理学と循環器学を専門とす
オリエントスズメバチは濃度80%のアルコールを代謝できることが、新たな研究でわかった。(PHOTOGRAPH BY NITZAN COHEN) 人間は通常、楽しみやストレス解消のために酒をたしなむ。一方、天然のアルコール(エタノール)を摂取する動物もいるが、主にカロリーのためだ。エタノールに含まれるカロリーは、砂糖のほぼ2倍。しかし、大半の脊椎動物は4%を超える濃度のエタノールを摂取すると悪影響を受ける。 ところが、アジア、アフリカ、ヨーロッパに広く生息するオリエントスズメバチ(Vespa orientalis)は80%という高濃度のエタノールを代謝できることが実験で明らかになった。論文は2024年10月21日付けで学術誌「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」に発表された。(参考記事:「“太陽光発電”するオリエントスズメバチ」) 自然界では、植物の果実や花蜜などが腐敗・発酵するときにエタノ
「ウーパールーパー」「アホロートル」とも呼ばれるメキシコサラマンダーは、飼育下での繁殖が簡単で、老化や再生医療の分野で人気の研究対象となっている。(Photograph by Iva Dimova, iStock / Getty Images Plus) 人間にとって、老化は避けられないものだ。しかし、かわいらしい姿で人気の両生類メキシコサラマンダー(ウーパールーパー、アホロートルとも)は、どうやらその運命をある程度回避できているようだ。査読前の論文を投稿するサーバー「bioRxiv」に発表された新たな研究により、わずか4歳で彼らの「老化時計」の一種である「エピジェネティック・クロック」が止まることが明らかになった。 メキシコサラマンダーはおとなになっても巨大な赤ん坊のような外観をしている。見た目が若々しいだけではない。絶滅の危機にひんしているこの生きものは、体の衰えや病気をほとんど経験せ
出血性脳卒中患者の脳内の出血(中央右の赤い部分)を示す、MRA(磁気共鳴血管撮影法)による彩色3D画像。動脈はピンク色で示されている。(Image by Zephyr/Science Photo Library) 脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)になる人が世界中で増えている。かかった後の生存期間は以前よりも長くなり、生存率も上がっている一方、患者の年齢層は若くなりつつある。 2024年10月号の医学誌「Lancet Neurology」に掲載された新たな研究によると、脳卒中後に生存している人は世界中で増えており、70歳以上の成人では発生率や有病率が増えていないどころか、むしろいくらかの減少が見られる。しかし、若い成人、特に55歳未満では脳卒中の発生率が増えているという。 「脳卒中は何歳であろうともかかる可能性があると知っておくことは重要です」と、米疾病対策センター(CDC)傘下の米国
最近の研究では、関節過可動性の人は、新型コロナウイルス後遺症や、体位性頻脈症候群、肥満細胞活性化症候群、筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群といった慢性疾患を発症するリスクが高いことが示唆されている。(Photograph by Inge Nandrup-Bus, Getty Images) 体の関節が普通よりも柔らかいことを、「関節過可動性」または「二重関節」というが、個人差は大きい。単に手足を人より大きく広げられる人もいれば、何度も脱臼を繰り返す人もいる。手足の可動域が広いだけなら、パーティーの話題作りにちょうどいいかもしれないし、ダンサーや体操選手なら有利になることもある。 しかし、多くの人にとって、関節過可動性は結合組織(全身の組織どうしをつないで体を支える組織)が弱いことを示しており、それが慢性的な痛みや胃腸障害など、さまざまな健康問題を引き起こすことがある。 さらに、新型コロナウイル
東太平洋海嶺の水深約2500メートル地点にあるティカ熱水噴出孔。チューブワームの塔のそばをゲンゲが泳ぐ。(PHOTOGRAPH COURTESY ROV SUBASTIAN / SCHMIDT OCEAN INSTITUTE) エビ、カニ、チューブワーム、シンカイヒバリガイなどの二枚貝、さらに、何百種ものユニークな生きものたちが見つかっている深海の熱水噴出孔。その地下にも、複雑な生態系があることを示唆する最新の研究が、10月15日付けで学術誌「Nature Communications」に発表された。これまで、熱水噴出孔周辺の地下に微生物が生息していることはわかっていたが、チューブワームや二枚貝などの大きな動物が実際に見つかったという報告は今回が初めてだ。(参考記事:「【動画】水深3800mの深海に奇妙な生物群集」) 熱水噴出孔は、2つのプレートの境界などに形成される海底の亀裂から、地熱で
抹茶をたてる女性。抹茶は、優れた健康効果で注目を集めるコーヒーに代わる飲み物の1つだ。朝に飲む1杯の抹茶は、活力を与え、思考力を高めてくれる。(Photograph by Liudmila Chernetska, Getty Images) コーヒーを飲まないと1日が始まらないと言う人は多い。しかし、健康への関心が高まるにつれ、コーヒーに代わる飲み物が注目されるようになっている。茶せんでたてて楽しむ抹茶から、腸内微生物のバランスを改善して健康に良い影響を与えるコンブチャ(紅茶キノコ)まで、朝から元気をくれる飲み物はいろいろある。(参考記事:「コーヒーを飲むと不眠や不安になるのはなぜ?」) マッシュルームコーヒー 『Easy Culinary Science for Better Cooking(より良い調理のためのやさしい調理科学)』の著者である食品科学者のジェシカ・ギャビン氏によると、活
写真家で映画製作者のジミー・チン氏率いるナショナル ジオグラフィックのチームが9月、エベレスト北壁のすぐ下で、行方不明となっているアンドリュー・アービンの登山靴と靴下を発見した。(Photograph by National Geographic/Erich Roepke) 2024年9月、エベレスト北壁の下に広がる中央ロンブク氷河で、ナショナル ジオグラフィックのドキュメンタリーチームが古い登山靴を発見した。靴のなかには足も残っていた。氷の中に閉じ込められていたものが、その氷が解けて姿を現したようだった。写真家で映画監督のジミー・チン氏が率いるチームには、映画製作者で登山家のエーリッヒ・レプケ氏とマーク・フィッシャー氏も参加しており、すぐに著名な登山家のジョージ・マロリーとともに100年前に消息を絶った「サンディ」ことアンドリュー・カミン・アービンのものであるとわかった。 「靴下を手に取
エウロパを探査するNASAのエウロパ・クリッパーの想像図。背後の空に浮かんでいるのは木星。探査機はエウロパには着陸しないが、25キロの距離まで接近する。(Illustration by NASA/JPL-Caltech) 米航空宇宙局(NASA)の探査機「エウロパ・クリッパー」が、日本時間10月15日午前1時6分に米ケネディ宇宙センターからスペースX社のロケットによって打ち上げられた。探査機は5年半かけて2030年に木星系に到達し、木星を周回しながら、その衛星エウロパの謎を解明するために3年半の間に50回近くフライバイ(接近通過)を行う。 エウロパは地球の月と同じくらいの大きさ。表面は氷の地殻(氷殻)で覆われ、その下には広大な海(内部海)があると考えられている。その水の量は、地球のすべての海水の量の約2倍もあるかもしれない。実は、このような構造の天体は宇宙に無数に存在している可能性がある。
米ニュージャージー州アナンデールにあるノースハンタードン地区高校の図書室で撤去処分を免れた5冊の本。現在、米国で一部の本を禁止しようとする動きがかつてないほど高まっている。なかでも標的にされやすいのが、この写真にもあるLGBTQ+を扱った本だ。(Photograph by Bryan Anselm, Redux) マーク・トウェイン、ハリエット・ビーチャー・ストウ、ウィリアム・シェイクスピア。いずれも古典文学を代表する作家として米国の学校で学ぶことが多いが、共通点はそれだけではない。内容が論争的、わいせつである、または人を不快にさせるなどの理由で、米国の一部の学校からその本が締め出された作家たちなのだ。 同様に、不適切とみなされた作家は数多い。アンネ・フランクによる『アンネの日記』ですら検閲の対象になった。ナチスドイツの迫害を受けたユダヤ人少女の家族が描かれているからではなく、10代のアン
スマートウオッチや指輪型ヘルストラッカーなどのウエアラブル端末は、自分自身の健康を知る貴重な機会を与えてくれるが、絶え間なく計測される数値に不安になる可能性もある。(PHOTOGRAPH BY NASTASIC, GETTY IMAGES) ウエアラブル端末の人気がかつてないほど高まっている。スマートウオッチ(腕時計型)やスマートリング(指輪型)のフィットネストラッカー(活動量計、ヘルストラッカー)を使えば、睡眠パターンや心拍数、さらには血中酸素濃度まで常に監視できる。これらの端末は運動量の増加や健康的なライフスタイルの促進につながるという研究結果がある一方で、絶え間なく流れてくるデータに圧倒されてしまうというデメリットもある。 2024年7月16日付けで医学誌「Journal of the American Heart Association」に発表された研究によれば、フィットネストラッ
米デューク大学の研究者が、人間の子どもの認知発達に関する実験から着想を得て、子イヌの発達を研究するプログラムを開発した。このプログラムはもともと、介助犬訓練の適性がある子イヌを判断することを目的としていた。(PHOTOGRAPH BY DUKE UNIVERSITY) 米国ノースカロライナ州の“特別な幼稚園”では、子どもたちが遊んだり、交流したり、昼寝をしたり、あるいは座る、じっとしている、教室の中でウンチをしないなどの方法を学んだりしている。 この幼稚園はデューク大学の「犬の幼稚園」で、園児は人間ではなくイヌだ。しかし、教室で子イヌたちが取り組むゲームや課題は、人間の子どもの発達を研究するために用いられるものとそれほど違いはない。(参考記事:「イヌはどうして犬になったのか、その歴史と進化」) イヌにとっても飼い主にとっても、新しいスキルの習得は成犬になるための重要なステップだ。デューク大
ナショナル ジオグラフィックのエクスプローラー(探求者)トマス・ペシャック氏は、ナショナル ジオグラフィック2024年10月号で発表された壮大なプロジェクト「アマゾン」のために、熱帯雨林で何年もかけて野生生物を記録した。ペシャック氏は、絶滅の危機にあるアマゾンカワイルカと地元住民の複雑な関係に興味を引かれた。アマゾンカワイルカを神聖視する人もいれば、魚を盗むため殺すべきだと考える人もいる。「フォトジャーナリストストーリー賞」に選出された「森の中で」は、ブラジルとコロンビアの国境付近で、季節的に冠水する森を泳ぐアマゾンカワイルカの姿を捉えた一枚だ。この地域では、ピンク色をしたこのイルカを見るツアーが地元コミュニティーによって提供されている。(PHOTOGRAPH BY THOMAS PESCHAK, WILDLIFE PHOTOGRAPHER OF THE YEAR) 毎年1割が密猟の犠牲に
アルゼンチン、ブエノスアイレスでのテイラー・スウィフトのコンサート会場で友情ブレスレットを見せびらかすマリアレとパウラのペルー人姉妹。テイラー・スウィフトのコンサートでの友情ブレスレットの交換は、音楽イベントで数十年行われてきたブレスレット交換の最新トレンドだ。(PHOTOGRAPH BY SARAH PABST, THE NEW YORK TIMES / REDUX) 友情は人間の経験の真ん中にあり、人は数千年もの昔からこの特別な関係を大切にしてきた。「友情ブレスレット」はそうした絆の証しとして友人同士が交換するものの1つだ。 夏のキャンプで編んだビーズのブレスレットであれ、2つのピースがパズルのようにぴたりとはまるチャームが付いたものであれ、友情ブレスレットはこの数十年間、さまざまな場面で交換されてきた。若者に人気のシンガーソングライター、テイラー・スウィフトのコンサートでは、一緒に見
かつては難破したポルトガル船の乗組員が作ったと考えられていた、マダガスカルのテネキー遺跡に残る岩のくぼみ。新たな研究は、この遺跡がペルシャから逃れてきたゾロアスター教徒のものであることを示唆している。(Photograph Courtesy Raphael Kunz) インド洋に浮かぶマダガスカル島のテネキー遺跡は、長い間科学者たちを悩ませてきた。初期の説では、岩にうがたれたくぼみや石壁を最初に作ったのは1500年代に難破したポルトガル船に乗っていた人々とされていた。しかし、2024年9月11日付けで学術誌「Azania: Archaeological Research in Africa」に掲載された研究では、それよりも数世紀も早い時代の遺物が見つかり、ペルシャを追放されたゾロアスター教徒たちが楽園を築こうとした可能性が示唆された。 テネキー遺跡は、マダガスカル島の南西部に広がる熱帯雨林
マインドフルな食事法と直感的な食事法。研究からは、これらふたつのアプローチはどちらも心身にさまざまなメリットをもたらすことがわかっている。(Photograph by Lemis Lee/Alamy) 「直感的な食事法」と「マインドフルな食事法」。これらは、テーブルの上にある食べ物よりも、むしろわれわれの心を重視するという、最新のコンセプトに基づく健康的な食事法だ。体重管理に注目するのではなく、自分の食べ物の選択や、体が発する空腹感や満腹感のサインを信じるよう促す。そうした食事法が、体と心の両方に幅広い健康上の利益をもたらすことを、多くの研究が示している。 2024年8月に学術誌「Appetite」に発表された研究によると、これらの食事法は、BMI(体格指数)の低下、食生活の改善、活動量の増加と関連していることがわかったという。また、摂食障害やうつ病の症状の軽減、ボディイメージ(自分自身の
詩人であり作家であったエドガー・アラン・ポーは、1849年10月7日に死去した。その早すぎる死は、いまだ多くの謎に包まれている。(Photograph by Superstock, Bridgeman Images) 「エドガー・アラン・ポー死去」という書き出しで始まったニューヨーク・デイリー・トリビューン紙の記事は、さらにこう続いた。「このニュースに驚く人は多いが、悲しむ者は少ない」。不気味な探偵小説や「大鴉(おおがらす)」などの詩でよく知られていた米国人作家で詩人のポーは、1849年10月7日、米メリーランド州ボルチモアで死亡した。40歳だった。 偉大な作家としてのポーの地位は、当時すでに明らかだった。にもかかわらず、その死を取り巻く状況は多くの謎に包まれている。ポーはなぜ、自分のものではない衣服を着ていたのか。そもそもニューヨークに住んでいたポーが、なぜボルチモアにいたのか。そして、
ブラジルのアマゾン川流域にすむピラルクーのウロコのクローズアップ写真。自然界の中でも、特に丈夫な素材として知られている。(Photograph by Andre Dib) 巨大な淡水魚は、地球上で特に絶滅が危ぶまれている動物のひとつだ。しかし、緑豊かなアマゾンの河川で、それに反する事例が生まれている。体長3メートル、体重200キロ以上になるピラルクー(ピラルク、アラパイマとも)は、わずか10年前、乱獲によって激減し、絶滅の危機に瀕していた。しかし、地域に根ざした保護活動が功を奏し、大幅に数が増えている。 ブラジルの生態学者で、ナショナル ジオグラフィックのエクスプローラー(探求者)でもあるジョアン・カンポス・シルバ氏の研究によると、持続可能な漁に切り替えた地域では、ピラルクーの数が11年で425%も増えた。カンポス・シルバ氏は、ナショナル ジオグラフィック協会とロレックスによる「パーペチュ
土星は146個、木星は95個など、太陽系にある衛星の数は合わせて数百個になるが、地球には1個しかない。毎年数千個の小惑星が地球に接近しているが、月と同程度の大きさの小惑星が地球の重力に捕捉されて第2の月となる可能性はきわめて低い。(Photograph by NASA/JPL) 最近、地球に「第2の月」あるいは「ミニムーン」ができたというニュースを皆さんもご存じかもしれない。「2024 PT5」と名付けられたこの小惑星は、2024年9月29日から11月25日まで、地球を回る軌道にとどまる。 とはいえ、2024 PT5の大きさは約10メートルとスクールバスほどで、地球に最接近しても月までの距離の5倍以上遠くにあるため、肉眼や家庭用望遠鏡では見ることができない。米航空宇宙局(NASA)本部の太陽系小天体主任研究員であるトーマス・スタトラー氏は、この天体を「ミニムーン」と呼ぶことさえ大げさだと言
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