安倍晋三首相が施政方針演説で雇用と賃金が改善しているという認識を示したことに驚きました。有効求人倍率が、あの20万人を超える大量非正規切りで雇用崩壊におちいった2008年のリーマン・ショック時から回復したとか、昨年冬のボーナスが連合調査で前年比3万9千円増えたとか、「アベノミクス」が着実に成果をあげているかのような言いぶりです。 これらの数字は実際は、成果として自慢するべきことではなく、むしろこのままでは「デフレ不況」から脱却できないという危機感こそ持つべきものです。 きびしさ増す実態 安倍首相がのべた昨年11月の有効求人倍率が6年1カ月ぶりに1倍を回復したという数字は、まったく喜べるものではありません。正社員の求人倍率はわずかによくなっているものの0・63倍です。正社員の仕事を求めている人1人にたいして、募集が0・63人分しかないということです。1倍になったのは、パートタイムの求人倍率が