【カイロ=伴安弘】エジプトの首都カイロで3日に初公判があったムバラク前大統領(83)の裁判は、「アラブの変革」で失脚した独裁者が初めて法廷に引き出されたものとして、エジプト内外で注目されています。 ムバラク被告の裁判は、民主化を求める青年組織らの主要な要求の一つでした。民主化要求デモ弾圧では約850人が殺害されています。 この日、ムバラク被告は法廷で、デモ参加者の殺害や不正蓄財、土地の不正取引など、すべての罪状について否認しました。弁護側は1600人の証人を出廷させ、審理を引き延ばす構えです。このなかには同被告の長年の盟友だったタンタウィ・エジプト軍最高評議会議長も含まれています。 テレビで放映 ムバラク被告の出廷をめぐっては、弁護士が心臓発作の病状が重いと裁判長に伝えていましたが、国民の強い要求を無視できずに、政府が出廷は可能と判断。同被告は保養地の病院からヘリコプターで搬送されました。